なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

RUSH『Time Machine 2011:Live In Cleveland』

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カナダのプログレッシヴなロック・トリオの、
米国北西部オハイオ州クリーヴランドでの今年4月15日のライヴを収めた2枚組CD。
RUSHの80年代までのアルバムの中で最も米国でチャートを上昇(ビルボード3位)した、
81年の8作目『Moving Pictures』の“再現コーナー”を中盤に設けているのもポイントだ。

ディスク1が約80分15曲入りで、
ディスク2が約67分11曲入り。
長きゃいいってもんじゃないしライヴで曲をたくさんやりゃいいってもんじゃないが、
一回のライヴでこれだけのヴォリュームのパフォーマンス。
解散せずに今年結成43年目でメンバー全員57~58歳。
地に足の着いた誠実なバンドならではの
音楽に対する尽きることのない情熱と凄みがじわじわ迫ってくる。


RUSHはLED ZEPPELINが大きなルーツのバンドだが、
時代時代でリアル・タイムの“旬の音楽”の要素を取り入れてきたバンドである。
だから“70年代プログレ・スタイル”とは一線を画し、
長い曲をやったとしてもコンパクトに凝縮した“プログレッシヴ・ロック”と言える。
80年代前半あたりアルバムはニューウェイヴの色も少なからず感じられた。
影響力は幅広く、
DREAM THEATER以降のプログレッシヴ・メタル系のバンドは言うまでもないが、
90年代以降のプログレッシヴなヘヴィ・ロック系やポスト・ハードコア系にもつながっている。
曲によっては複雑にも聞こえるが何気に庶民的で、
GASTUNKが「Dead Song」で歌い込んだ言葉の“heartful melody”に貫かれているバンドだ。

RUSHは84年11月の目下唯一の日本ツアーを行なっており、
ぼくも日本武道館まで観に行った。
それぐらい好きだったのだが、
ただその後のRUSHがモダンな路線を推し進めたというのと、
当時どんどん自分の音の好みの過激化が進んで整合感のあるメタル/プログレから離れ、
しばらくぼくはRUSHから遠ざかってしまった。
だが再びここに舞い戻ってきた。


オリジナル・アルバムをほぼコンスタントに発表してきているRUSHは
ライヴ盤もこれで9タイトル目に数えられそうだが、
以前のライヴ・アルバムとの曲の重複を多少考慮したようなセットリストだ。
適宜観客の歓声を挿入して臨場感も重視した仕上がり。
どの曲でファンが特に盛り上がっているのかわかるが、
やっぱり80年の『Permanent Waves』以前の曲は盛り上がるなぁとしみじみ。
だがむろん懐メロには終始しないバランスの取れたセットリストで、
来年リリースの新作『Clockwork Angels』収録予定の曲「BU2B」「Caravan」もやっている。

アルバムに忠実に演奏するバンドというイメージもあるし、
代表曲「The Spirit Of Radio」もアルバム・ヴァージョンのSEと同じ部分で歓声が大きくなっている。
とはいえ長いことやっているだけにスタジオ録音ヴァージョンのコピーで終わらず
マイナー・チェンジしているところも楽しめる。
そもそもライヴ盤が多いのは、
その時代時代のRUSHが以前の曲をどう“リメイク”してきているかを伝えたいからにも思える。
本作も
よりヘヴィに迫り、
特にベースの音がよく動いている。
あくまでも現在進行形なのだ。

まさにミュージシャンシップとショーマンシップにあふれた“ロック・アドヴェンチャー・ライヴ”。
と同時にレゲエ調で始まるデビュー・アルバム『Rush』(74年)収録曲で、
生活感あふれる歌を綴った一種の労働者賛歌の「Working Man」で終えるのも彼ららしい。
まだまだ働き続けるRUSHの意志を示しているかのようだ。


★ラッシュ『タイム・マシーン:ライヴ・イン・クリーヴランド』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-14311/2)2CD
初回生産限定で
CDブックレット大の36ページの“タイム・マシーン・ツアー”ミニチュア・ツアー・パンフレット封入。
その他に8ページのオリジナル・ブックレットと、
日本盤は新曲も含む全曲のオリジナルの歌詞とその和訳付。
3つ折り紙ジャケット仕様。


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コメント

RUSH

DVDとはどう内容が異なるんですか?

これ読んで自分も舞い戻ってもいい気になってるから性質が悪い
行川さんに騙されながらなんでもない日常をちゃっかり楽しんでる
このブログ憎めないけど憎らしいよ ほんと

書き込みありがとうございます。
>mistyさん
その点に関してはDVDを見てないので正確なことは言えません。申し訳ないです。
>三休さん
楽しんでいただいてさいわいです。ぼくにとって楽しむことは大変なことなので。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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