なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

VOIVOD『To The Death 84』

VOIVOD『To The Death 84』


カナダの“プログレッシヴ・アグレッシヴ・メタル・バンド”が
84年の1月に録音した約71分15曲入りの驚愕のデモ音源集。


まずリリース先が元DEAD KENNEDYSのジェロ・ビアフラのレーベルというのが非常に興味深い。

波紋を投げかけるカオティックなリリースぶりに共感して一時レーベル買いもしていたぼくとしては、
ここ2000年代以降のALTERNATIVE TENTACLESの静けさは非常に寂しい。
DEAD KENNEDYSのアルバムを出す権利が他のメンバーの元に移ったのも大きいのだろうが、
ビアフラの片腕だったグレッグ・ワーックマンはマイク・パットンとIPECAC Recordingsを始め、
NOMEANSNO、D.O.A.、NEUROSISなどの看板バンドが自分らのレーベルでの活動にシフトするなど、
“仲間”も次々と去ってしまった。
アルバムのリイシューの仕事はさすがだったが、
DVD-Rで発売されたAMEBIXの映像作品をDVDで出すという話も立ち消えになっている。

ともあれVOIVODのアルバム・デビュー前のデモである。
昔からファンであることを公言していたとはいえ、
ビアフラはAMEBIXの『Arise!』を出す際に“以前の音よりもメタル過ぎ”て困惑した人だけに、
ALTERNATIVE TENTACLES史上最もメタルな作品『To The Death 84』のリリースは感慨深い。


『To The Death 84』の内容は、
“メタル・パンク”という言葉を裏返して“パンク・メタル”である。
ALTERNATIVE TENTACLESのサイトが引き合いに出している
VAN DER GRAAF GENERATOR、FAUST、CANあたりの“非主流派プログレ”のニュアンスも、
曲の長さやストレンジな曲展開に表れているが、
破天荒な突然変異型“ドライヴィング・パンク・メタル”だ。
このデモの半年後に録音するファーストの『War And Pain 』の9曲はすべてこの時点でやっているが、
他の4曲のオリジナル曲のうち86年発表のセカンドの『Rrröööaaarrr』には1曲しか収録していない。
プログレ化で音楽の新陳代謝が速かったVOIVODの進化のスピードが恨めしくも思う盤でもある。

曲によっては露骨なBLACK SABBATHっぽさを漂わせつつ、
82~83年頃のDISCHARGE
アルバム『In Darkness, There Is No Choice』の頃のANTISECT
デモからファースト・アルバム『Death Metal』までのONSLAUGHTといった、
ダークな英国勢と共振していた。
少なくてもMETALLICAからの影響は感じられないし、
ほとんどが速い曲ながらもスラッシュ・メタルとは一線を画すドライヴ感とカオス。
多少変態テイストとはいえ、
やはりMOTORHEADVENOMやTANKといった
英国の“ロックンロール・メタル”をベースとする暴虐のメタル。
うなりを上げるエレクトリック・ギターの恐るべき金属音がクラスター爆弾の如く襲い掛かる。
生きているまま人間を解体しているみたいな生々しい息吹、
鼻が曲がりそうなほど強烈な金属臭を拡散するプリミティヴな鉛色の音塊。
映画になぞらえればこの危険な響きは“R18+指定”のメタルである。

VENOMとMERCYFUL FATEのカヴァーをやっているが、
特に後者のテイクはフリーキーなヴォーカル・スタイルのルーツがキング・ダイアモンドとも想像できる。
そんな甲高い声のヴォーカルも、
今となってみればブラック・メタルの先を行っていたみたいでグッ!とくる。
となるとスイスのHELLHAMMER~CELTIC FROSTと並び称されてしかるべき
エクストリーム・メタルの先駆け。
規格外のバンドは得てして日本も含む米英以外の国から出てくるものなのだ。
当時のメンバーたちと思しきインナーの無邪気な写真群はVENOM~初期SLAYER直系。
その頃の日本のメタリックなハードコア・パンク・バンドやスラッシュ・メタル・バンドみたいでもあり、
ヴィジュアルも含めて世界同時発生の動きだったと再認識させられる。


メタルもパンクもハードコアも好きな方は迷うことなく必買!だし、
言霊ならぬ“音霊”を信じるすべてのロック好きは必聴。
カラダの火照りが収まらない。


★VOIVOD『To The Death 84』(ALTERNATIVE TENTACLES VIRUS 432)CD
マスタリングの関係かALTERNATIVE TENTACLESの商品は、
今までの経験上同作品だとレコードよりCDの方が鮮烈でクール!な音のことが多い。
本作のLPは聴いてないので比較してないが、
少なくても今回のCDは殺意の火花が飛び散る音の仕上がりで言うことなし。


スポンサーサイト

コメント

こんにちは!

VOIVODデモ、私はまだ聞いていませんが楽しみです。
MORGOTH INVASIONとはどのように異なるでしょうか?
教えて下さい。

リアルタイムで2ndから聴いていたぼくとしてはまさかこんな事態になるとは思ってませんでした。個人的に1番好きなアルバムは「NOTHING FACE」です。あの冷たい感じがお気に入りです。今回のVOIVODは一発録りっていうのはやっぱりパワー出る方法だなって事と特に今回のはガレージ感が良い味出しててパンク度に貢献してると思いました。最近リリースされたVENOMの新譜も実は気になってます(笑)。しかし、凄いブツが出たもんです。

書き込みありがとうございます。
>KAZ Pさん
当然ラフですが、やはりスタジオ録音なのでこちらのほうが音が骨ばっていてハードコア・パンクっぽい印象ですね。CDに関してしかいえませんが、丁寧にマスタリングしていると思います。
>かくさん
ぼくは最初の2作がやっぱり一番好きですが、ただVOIVODのイメージのクールな変態性はその後に出てくる感じですね。それぞれによさはありますが、ぼくは曲が完熟した状態になってからレコーディングしたものより不完全な状態がすきなのかもしれません。VENOM新作は保留状態です。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/629-5dc39352

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (291)
映画 (254)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (413)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (94)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (121)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん