なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

SEX MACHINEGUNS at赤坂BLITZ 12月11日

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今春リリースした↑のDVDのジャケットに書かれているように結成20周年の年を締めくくる、
“TOUR 2011 ~こんにゃくパンチ~”の最終日。
世の動静に揺るがぬSEX MACHINEGUNSの強靭な底意地が見えるナイス!なライヴだった。


キワモノと言われることもあるヘヴィ・メタル・バンドだが、
20年やってんだから際物の対極なわけで、
キワめているだけである。
人は極めれば極めるほどその界隈から“アウトロー”になってゆく。
世間の動きを読んで活動して注目を浴びる要領のいいバンドとは別次元の覚悟を決めている。

歌詞はともかく(だが一部エロ接点あり)このブログのコメントで言及された方もいたように、
メタルが持ち得る馬鹿馬鹿しさを極端に際立たせている点でSTEEL PANTHERともダブる。
だがあくまでも我流である。
ADRENALIN O.D.とGARLIC BOYSの間を行くような日常的ナンセンス紙一重の歌詞は、
80年代以降の“非主流派USパンク/ハードコア”的な面白さだったりもする。
てなことを考えつつライヴを観ながら、
SEX MACHINEGUNSは非メタルな人も引き付けていることを思い返した。
百万通りの切り口でいじり楽しめるバンドなのだ。

MELT-BANANAのメンバーによれば、
テレビで見て衝撃を受けたジョン・チャン(元DISCORDANCE AXIS)にせがまれて、
彼をSEX MACHINEGUNSのライヴに連れて行ったことがあるという。
ジョンがライヴを満喫したことは言うまでもない。
グラインドコア進化形バンドのGRIDLINKはともかく、
80年代のジャパニーズ・メタルを高速化したみたいなジョンの同時進行バンドHAYAINO DAISUKIには
SEX MACHINEGUNSの影響を感じずにはいられない。

この晩のライヴのオープニング・ナンバーは、
GUITAR WOLFのリーダーのセイジもうならせた名曲「みかんのうた」。
自分がやっている音楽ジャンルに対する愛が強すぎるがゆえに
その音も肝もエクストリームに展開している点で、
SEX MACHINEGUNSはGUITAR WOLFとも確実に共振している。


その「みかんのうた」でSEX MACHINEGUNSの演奏が始まった瞬間、
近くで観ていた幼女が泣きそうな顔をして気の毒なほど耳をふさいでいた。
まず何しろ音がでかい。
ステージ上はマーシャル・アンプを何台も並べたり積んだりのバンドとは違ってシンプルだが、
KEN’ICHI(ds)のドラミングを核にした音圧にもひれ伏すばかりだ。

日本語の歌詞のいわゆるジャパメタ、
ジャーマン・メタル、
メロディック・スピード・メタル、
スラッシュ・メタル、
日本のメタルコア、
の大げさな構成を削ぎ落としてストレートに凝縮したようなサウンドの塊だ。
曲のスタイルもヘッタクレもない。
めまいがするほどの鋼鉄音に埋め尽くされていた。
たるい曲無し。
米国産メタルコアや“エモメタル”とかみたいに
サビとかの途中でフツーのポピュラー・ミュージックっぽくなったりもしない。
明らかに日本語の歌メロのヴォーカルだが、
と同時にイイ意味で日本語に聞こえないヴォーカルになっているのも
楽器の音とナマで対決するライヴならでは。
すべて行き先知らずで走り抜くのみなんである。

ともすればウザったく思うエンタテインメント精神旺盛も天然で嫌味がない。
SHINGO☆(b)と元メンバーでこのツアーのサポート・メンバーのSUSSY(g)は、
コーラスだけではなくピッタリ息の合った同じステージ・アクションでも盛り上げる。
「メリーゴーランド」では、
ANCHANG(vo、g)以外の3人が馬の被り物着用(さすがにドラムのKEN’ICHIは曲が終わった後着用)。
ショーアップされたステージ運びだが、
すべてが計算し尽くしているわけではない。
「熟女ビーム」の前にやった熟女の観客に挙手させる強引なようでナチュラルな流れのMCも、
曲が終わった後のステージ上での会話から察するに打ち合わせなしでSHINGO☆がやったらしい。

数曲ごとに行なうそういったMCはMC嫌いなぼくをも引き込む。
「おまえら」という言葉を放っても傲慢な“上から目線”を感じないのは
リーダーのANCHANGをはじめとするメンバーのキャラと意識ゆえのことだ。
同じ空間で息をしている人間すべてに対する敬意と感謝が、
時に外しつつも実直な言葉と熱いサウンドから滲み出る。
漫才っぽくもなるシーンでも、
決して“一見さん”をはじめする観客を置き去りにしてメンバー+身内だけが楽しんで終わりにはしない。
まったりした間(ま)の取り方がオールドスクール漫才風で開かれた“侘び寂びトーク”でなごめる。
そこからグレイトな落差で鋼鉄の世界に突入するのがSEX MACHINEGUNS流儀のライヴなんである。

2時間以上のパフォーマンス。
魂を込めてやっているという言葉にウソはない。
それは揺るぎ無き響きでわかる。


SEX MACHINEGUNSは
来年1月25日に2曲入りCD『雨の川崎(あめのかわさき)』をリリースする。
音をもらったが、
リリース前にライヴで披露するのもアリ!と言いたくなるナイス!な2曲だ。


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コメント

まさか行川さんがこのバンドを扱うとは思っていませんでした(笑)
4枚目がピンとこなくて離れてしまったバンドなんですが、レポートを読む限り、メンバーは変わりつつもブレずにやってるみたいで、久々にチェックしてみたくなりました。
ところで気になったのですが、サポートメンバーのスッシーは3枚目まで加入していたSUSSYとは別人なんでしょうか。

当時、これほど影響受けたアーティストは彼等だけでした。初めてライブを観に行ったのもこのバンドです。
聴くという楽しみプラス、観るという楽しみを与えてくれたバンドです。

書き込みありがとうございます。
>eristさん
色々な角度からとらえると色々なバンドの良さが発見できますね。スッシーはまさにその元メンバーの人ですので、手直しして名前表記もSUSSYにしておきます。
ぼくは彼らの熱心なリスナーではないですが、too much感や、これは日本のバンドによくあるいい意味での“勘違い感”から生まれた面白さが好きです。得てしてスタイル的に“優等生”はつまらないものです。色物っぽくも観られますが、やっぱり音は正直です。
>ITOさん
「楽しませよう!」みたいなバンドは下心が見える不自然なやさしさみたいにうっとうしく思うぼくですが、彼らは和食みたいなさっぱり感がありますね。それも音そのものに力があるから活きるのです。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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