なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

FUCK THE FACTS『Die Miserable』

FUCK THE FACTS『Die Miserable』


女性ヴォーカルを擁したカナダの“グラインダー”の9作目に数えられるアルバム。

グラインド・コア・バンドとして認知されてきているが、
適宜エレクトロニクスの音も絡ませて実験的なアプローチも果敢に見せるバンドだ。
このアルバムではRELAPSE Records発の作品ならではの多角的なヘヴィ・アプローチを強めて
いつにも増してデス・メタリックな重量感で突き進みつつ、
ハードコア・パンク濃度が高めである。

DISCORDANCE AXISのギター、
MORBID ANGELののドラム、
後期NASUMのメロディックな疾走感を、
DILLINGER ESCAPE PLANのテクスチャーでブレンドしたかのようだ。
金属片が粘膜に次々と突き刺さってくるかの如き残虐な音の質感は
サウンドのリアリズム体現のためであろう。
ドゥーミーなスロー・テンポでうねりを作ってアルバム一枚で一つの流れを成し、
全体的にはカオティックなハードコア・パンクとしてもイケる。

ヴォーカルはデス・ヴォイスというよりスクリーム。
たおやかな旋律の中からも
“惨死”というアルバム・タイトルにふさわしい喉の震えが見える。
歌詞は政治的/社会的なニュアンスの強い内容だが、
米国と適度な距離感を保っているカナダのオタワ拠点という強みを活かし、
ナイーヴな主張とは一線を画す“複雑な不条理のパズル”を解き放つ表現で素晴らしい。
フェミニズムと“家族制度”の抜き差しならない関係に切り込んだ曲「Census Blank」が特に強烈。
「95」という曲でヘタレ・パンク・バンドのFYPの名前が出てくるところも面白いところだ。

さらにエンハンスドCDになっていてPCなどでさらに4曲聴ける。
本編のようなグラインド・サウンドとは一味違う落ち着いた佇まいで、
美しいほど荒涼とした音の揺れと波がFUCK THE FACTSの本質を浮き彫りにしているのであった。


★ファック・ザ・ファクツ『ダイ・ミゼラブル』(リラプス・ジャパン YSCY-1228)CD
12ページのブックレット封入。
日本盤は本編の歌詞の和訳(言葉数が多いバンドだから有難い)が付き、
ボーナス・トラック1曲追加の約38分9曲+4曲入り。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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