なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Charles Hayward『One Big Atom』

Charles Hayward『One Big Atom』


70年代後半から80年代初頭にかけて活動したTHIS HEATでポスト・パンクの域を超えた表現を行ない、
以降もマイペースかつコンスタントな活動を続ける、
ドラマーでありシンガーソングライターでもある英国出身の音楽家チャールズ・ヘイワードの新作。
ソロ名義では9年ぶりのオリジナル・アルバムということになりそうだが、
今回も間違いなし!である。


マスタリングとアートワークのデザイン以外はヘイワードの自作自演。
クレジットによれば担当パートはヴォイス、ドラム、メロディカ、あと“zig-zag and swirl”。
タイプはまったく違うが、
それこそMOTORHEADのように変わらないと同時にいつも違うことをやっている。
だがなんなんだろうこのにじりよってくるちからは。

ほとんどがゆったりしたパートだが、
2秒で背筋が正される。
ダブを応用したような音像は研ぎ澄まされており、
静かなる躍動感とともにヘイワード特有のポップ・センスにも貫かれている。
THIS HEAT時代は難解なイメージも持たれていたが
ドラムをはじめとして実際は当時からハジけていたのだ。

ヘイワードのプレイは、
ぼくが数回観た来日公演から察する限り遊び心もこぼれ落ちるものだ。
今はデジタル機材も使っているのかもしれないが、
素朴な道具を駆使した汗まみれの奮闘ライヴ・パフォーマンスは微笑ましくもあり、
オチャメだからこそ痺れるものがある。
そんな素朴な風情が本作にも表れている。
原始的なのだ。

ドラムにも意志が宿るということを、
ぼくはチャールズ・ヘイワードで知った。
ドラムも単なるリズム楽器ではない。
前述のTHIS HEAT、
その次にやったバンドのCAMBERWELL NOW、
90年代以降の数々のソロ・ワーク。
いずれも強靭な意志がビートに刻まれ、
ビートがリスナーの肉体を刻む。
巧いのか下手なのかと問われれば上手い。
でも五線譜に縛られてないドラム。
惚れ惚れする。
手数多くもすべてを包容する。

憂いを秘めたストロングな歌声は歌詞がわからなくても諦観を超えた祈りを感じる。
今回のアルバム・タイトルに込めたヘイワードの思いをぼくは知らない。
ただアルバムに入れなかったTHIS HEAT時代の名曲シングル「Health And Efficiency」(80年)が
いわゆる自然エネルギーを肯定的に説いたようなものだったことを思えば、
色々と深読みができる。
穏やかな佇まいながらも終始張り詰めていて
声高に語らずとも伝わるべきものは伝わる。

生命のヴァイブレイションの一枚。


★Charles Hayward『One Big Atom』(CONTINUITY TINU002)CD
デジパック仕様。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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