なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ANGELIC UPSTARTS at 下北沢GARDEN 1月14日

2012japan.jpg


イギリス、いやイングランド臭さがたまらないパンク・ロック・バンドであり、
Oi!、いや英国ストリート・パンクを代表するパンク・ロック・バンドの、
ANGELIC UPSTARTSの初の日本ツアー中日に行ってきた。
これがまた期待を上回るクレイトなライヴだった。

77年に結成したときからの唯一のメンバーであるメンシ(vo)を中心に
ツイン・ギターを擁する5人編成でのステージで、
ギタリストの一人はH.D.QやLEATHERFACEで演奏してきているディキー・ハモンド。
こういうつながりは意外なようで必然だし、
英国のパンク・ロックの奥深さと歴史を思い知らされる事実だ。


ライヴはサード・アルバムの頭の曲「Two Million Voices」でスタート。
否が応でもぼくは一気にヒートアップした。

『Teenage Warning』(79年)、
『We Gotta Get Out Of This Place』(80年)、
『2,000,000 Voices』(81年)
という最初の3枚のアルバムの曲がセットリストのほとんどを占めたのは、
名曲揃いだから客観的に見て必然だろう。
特に『2,000,000 Voices』の曲は半分以上やっており、
ヴァラエティに富む楽曲のクオリティも含めてリーダーのメンシの自信作だと再認識した。
むろん5作目の『Reason Why?』(83年)収録の人気曲「Woman In Disguise」もプレイ。
昨秋リリースしたCRASHED OUTとのスプリット・アルバムに収めた
「Red Flag」「King Of The Rats」も披露した。


COCKNEY REJECTSのメンバーによれば、
ANGELIC UPSTARTSのファーストをプロデュースしたSHAM 69のジミー・パーシーは
ワーキング・クラスではなかったという。
もしそれが事実だとしたら、
ANGELIC UPSTARTSが最初のリアル・ワーキング・クラス・パンク・バンドと言えるし、
ワーキング・クラスを核に歌った最初のパンク・バンドである。

ANGELIC UPSTARTSは
Oi!ムーヴメントの到来を告げた80年のオムニバス・アルバム『Oi! The Album』に参加したし、
ワーキング・クラスのパンク・ロックゆえにOi!パンクとも呼ばれるが、
レコード・デビューが78年だからOi!ムーヴメントよりも早い。
逆に言えばOi!の元祖と言うことも可能だが、
音楽的にけっこう多彩だ。
激しいパンク・ロックも速いパンク・ロックもハードコア・パンクやヘヴィ・メタルとニアミスせず、
いい意味で暴力的な音になる一歩手前で踏みとどまり、
イングランド特有の侘び寂びの利いた“ハード・パンク”を推し進めてきた。
90年代後半以降はコンスタントなリリースをしているわけではないが、
35年磨き上げてきた筋金入りのパンク・ロックがこの晩も
いぶし銀の如く輝いていた。

イケイケのパンク・ロック・ナンバーばかりではないのがANGELIC UPSTARTSの魅力で、
もの悲しいレゲエ・チューン「I Understand」やイングランド賛歌の「England」といった、
デリケイトな旋律が光る繊細な曲では琴線を揺さぶる。
特にステージ前のお客さんが次々と肩を組み
この晩のライヴで最も盛り上がったオリジナル曲の「England」は感動的で、
イントロのギターが鳴った時点でイングランド人じゃないぼくでも背筋が正されてグッ!ときた。
何しろ次々と名曲が繰り出されるから確かなソングライティングを実感させられたのである。


メタボを超越した巨体のメンシは、
オッサンそのものの風貌や体形であることを強みにしたかのような堂々たるステージングを展開した。
スタンディング・マイク中心であまり動かず、
まっすぐに前を見据えて歌う姿がぼくの中に刻み込まれていく。
“労働者の風格”みたいなものを漂わせつつ恐持てのようで愛嬌を隠し持つメンシ。
曲の説明をはじめとするMCを適宜挟み込んでいたが、
身振り手振りを交えながら平易な英語でゆっくりとわかりやすく語りかけてくれたから、
ユーモアもけっこう伝わってきたのだ。

メンシはボディだけでなく声もデカイ。
そして当然歌心もたっぷりで、
芝居がかったパンク歌唱とは一線を画していることもナマで体感できた。
演奏もナイス!であった。
絶妙のパッキング・ヴォーカルも取る二人のギタリストは曲によってリード・ギター・パートを分け合い、
両脇に立った見栄えも渋かった。
さらにメンシは別格として他の3人より一人だけ若く見えたドラマーのリズム・センスがまた抜群で
メンシ以外では最古参のベーシストとのコンビネーションも良かったのである。


昔からやっているCLASHの「White Riot」を本編でカヴァーし、
アンコールではSHAM 69の「If The Kids Are United」をカヴァー。
ベタな選曲もANGELIC UPSTARTSらしい。

トータル約90分。
毎日の生活を実感すればするほどANGELIC UPSTARTSの曲が身に染みてくる昨今だけに
個人的には惚れ直したし、
早くも今年のベスト・ライヴにノミネートである。


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コメント

行きましたか...。

羨ましいです(;_;)


大好きなバンドだけに悔いが残る1月です(;_;)


こんな時に行けなかった人の為に「DOLL」があればなぁ何て思いました。


昔の映像を観ながら想像でもして今夜は一杯やります...

ITOさん、書き込みありがとうございます。
たしかに、ライヴの様子が振り返られたりインタヴューが読めたりできる落ち着いた紙媒体の必要性を痛感する昨今です。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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