なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ALICE COOPER(Alice Cooper)の紙ジャケ・リイシュー(1/4)

米国デトロイト出身の元祖“ショック・ロッカー”である
アリス・クーパー(vo)のキャリア初期の12タイトルのアルバムが、
日本盤で紙ジャケット・リイシューされている。
2011年に日本でリマスタリングされたSHM-CDで
(音がパワフルかつデリケイトに出ていて違いがわかる)、
オリジナル盤のLPのパッケージと
発売当時のムードが味わえる日本盤LPの帯のデザインを再現。
一風変わった体裁が多いジャケットがミニチュアとはいえ細部まで丁寧に復刻されているから、
ほんとプラケースのCDとはアルバムの印象が違ってくる。
日本盤のブックレットも紙質含めてシンプルだからこそ味がある作り。
いつも言うようにトータルで作品なのだ。


まずはアリス・クーパーがフロントに立ち、
LAで活動を開始した“バンド”のALICE COOPER時代のアルバムから。


WPCR14299.jpg
★『Pretties For You』
69年にフランク・ザッパのレーベルからリリースされたファースト・アルバム。
60年代から70年代に移る時代そのままのカオスを真空パックしていて強烈だ。
セルフ・プロデュースということで持っているものを全部詰め込んだかのようだが、
それが逆に生々しくリアルに響いてくる。
R&Bの残り香を鼻から吸いつつ、
“BEATLES meets PINK FLOYD”なサイケデリック風味を身にまとい、
世に産まれる直前のグラム・ロック、ハード・ロック、プログレなどなどを
インタープレイ込みで混沌のままポップにまとめ上げている。
既に演劇的な構成のアルバムになっていて、
やはりトータルでシアトリカルなロックンロールなのであった。
アリス・クーパーの甘い歌声もたまらない。

A式セミダブル・ジャケットで、
WB/STRAIGHTモスグリーン・レーベル仕様の13曲入り。
今回のリイシュー・シリーズの中で本作だけは初の日本盤リリースとのことだ。


WPCR14300_convert_20120205123712.jpg
70年リリースのセカンド・アルバム。
前作にあったインタールード的な短い曲を排して焦点を絞っている。
6分台と7分台の曲も含み、
ポップながら意表を突く展開や時折見せる怪奇SF映画みたいな仕掛けはいい意味で奇妙だし、
特に最後の「Lay Down And Die, Goodbye」はキテレツでゾクゾクする。
ほのかなサイケデリック・テイストも天然だろう。
ニール・ヤングの諸作を手がけたことで知られる
プロデューサーのデイヴィッド・ブリッグスがピアノを弾く曲も濡れ具合がイイ感じだ。

一方ハードな曲が増えたことで
アリス・クーパーのヴォーカルもワイルドな歌唱が目立つ。
とりわけ前身バンドのThe SPIDERSを意識したと思しき曲「Return Of The Spiders」は、
スピード感が格別だ。
内ジャケットのメンバー写真を見ると、
バンドにとってのイメージの大切さを再認識させられる。
ちなみにNEGATIVE APPROACHのシンガーとして知られるジョン・ブラノンが
90年代後半から2000年代前半にやっていた“ハードコア・ロックンロール・バンド”の、
EASY ACTIONのバンド名は本作のタイトルを引用したものだ。

A式セミダブル・ジャケットで、
WB/STRAIGHTモスグリーン・レーベル仕様の9曲入り。


WPCR14301_convert_20120205151113.jpg
71年1月リリースのサード・アルバム。
ボブ・エズリンがプロデューサーとして脚光を浴びるきっかけになった作品であり、
アリス・クーパーの片腕になった最初の一枚でもある。
一皮剥け、
上昇していくバンドならではの高揚感に覆われていて聴いているとこっちも高揚してくるのだ。
9分強の祭祀的な曲や、
オーストラリアのシンガーソングライター/漫画家ロルフ・ハリスの6分台のカヴァーにもシビレつつ、
ハードな方向性でベタな言い方をすれば前よりもずっとロックしている。
シンガーのアリス・クーパーは肉体派とは一線を画しているが、
何しろジャケットどおりにALICE COOPERというバンドが黒くギラギラしたロックの光を放っている。

歌詞の言葉数が増えたのは歌を前面に出した曲が中心になったからだろうし、
曲同様に歌詞にもモヤモヤ感が減りダイレクトな表現が目立つ。
だから先行シングルになったバンド最初のヒット曲「I’m Eighteen」は、
80年代ボストン・ハードコアの急先鋒のSSD(SS DECONTROL)にカヴァーされ、
70年代のロンドン・パンクのEATERに「Fifteen」という替え歌にされたのである。
むろん大半はストーリー性を帯びた歌詞だが、
早すぎたパンク・アンセムの一つとも言える「I’m Eighteen」をはじめとして
ガキの視点とわかる歌が増えている点も特筆したい。
小学生みたいにおちゃめなアリス・クーパーが指をちんちんみたいに突き出したジャケットも含めて、
ロックンロールとしてあるべきアティテュードのアルバムなのであった。

A式セミダブル・ジャケットで、
WB/STRAIGHTモスグリーン・レーベル仕様の9曲入り。
特殊な帯の作りも復刻されている。


★『プリティーズ・フォー・ユー』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-14299)SHM-CD
★『イージー・アクション』(同 WPCR-14300)SHM-CD
★『エイティーン』(同 WPCR-14301)SHM-CD
いずれも2011年に日本でリマスタリングされたSHM-CDで、
オリジナル盤のLPのパッケージと
発売当時のムードが味わえる日本盤LPの帯のデザインを再現。
歌詞/和訳付で非常に読みやすいブックレット封入。


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コメント

SCHOOL'S OUTでしか確認してませんがSHMで久々に良いなと思いました。今回のジャケ復刻を考えるとダイハードな事やってたんだなぁと思います。作品にお金を払いたいですね。

かくさん、書き込みありがとうございます。
初心者にはやや敷居が高い価格設定ではあると思いますが、以前から流通しているプラケースのCDを普及盤/廉価盤という感じに解釈すると、こういう感じの大胆なリイシューはあり!だと思います。紙ジャケだから何でもかんでもいいわけじゃないですが、このシリーズは制作者の愛がこもったリイシューです。
特に今日紹介したアルバムのパッケージはすごいです。本文中にも書きましたが、プラケースで作品に接したときと印象が変わります。今アンダーグラウンドのエクストリーム・メタル系バンドがよくやっているダイハード盤を、まさに当時から作っていた感じですね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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