なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『ピープル vs ジョージ・ルーカス』

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超ビッグ・ネーム映画監督/プロデューサーのジョージ・ルーカスに対する愛憎だけで埋め尽くした映画。
正確には代表作『スターウォーズ』シリーズだけに対するエキサイティングな論議を
エンタテインメントに仕上げた作品である。
自身も“スターウォーズ・コレクター”のアレクサンドレ・オー・フィリップが監督している。


ゲイリー・カーツ(製作:『スターウォーズ』他)、
ニール・ゲイマン(『スターダスト』他)、
デイヴ・プラウズ(ダース・ベイダー役)、
アンソニー・ウェイ(『007』シリーズの製作総指導)、
デール・ポロック(ジョージ・ルーカスの自伝『スカイウォーキング』の著者)
らの証言の他、
たくさんの一般の“ダイハード”なファンが次々と登場して放言を繰り広げる。

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今回の企画に際して公募でファンの協力を仰いだところ、
何千通もの電子メールに加えて膨大な数の映像が届いたという。
“ファンの主張”を撒き散らす“自家撮影”と思しき映像も使われているが、
みんな一流の“パフォーマー”なのがルーカス・ファンならではとも言える。
他には、
操り人形を使った寸劇、
3Dのアニメーション、
クレイアニメ、
低予算のコマーシャル、
何十時間にも及ぶウェブカメラ越しの口ゲンカ、
ファンの解釈で編集された“映画”、
ファンが制作した映像、
子供の描いた絵などが寄せられた。

以上の中から数ヶ月かかって厳選して編集し、
オリジナル『スターウォーズ』の公開時の映画館周辺の異様な盛り上がりの映像から
グッズ・コレクターの偏執狂的な姿までを織り込みつつ、
92分にまとめ上げたのである。

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基本的にジョージ・ルーカス自身は登場しない。
だからファンと彼との間のタイマン論争はない。
だがまさに80年代以降のUSAを象徴するビッグな壁に挑むかの如きファンのパワーが凄まじい。
死ぬほどオリジナル『スターウォーズ』3部作が好きだからこそ
死ぬほどいわゆる『スターウォーズ』新3部作を憎むファンたち。
いやファンというより熱狂的なマニアである。
むろん擁護する声や全面肯定の声も盛り込まれているが
アメリカン・コミックみたいな調子で罵言暴言が放たれる。
匿名当たり前のインターネット時代ならではの言いたい放題とも言えるが、
大半の出演者は顔を出しているから“匿名”とは違う。
逆に実際問題インターネット時代だからこそ顔を見せて悪口を言うのは命がけでもあるから
みんな覚悟を決めている。
筋金入りなのだ。

日本や欧州や南米など米国以外のファンも登場しているが、
まさにアメリカンな映画である。
ジョージ・ルーカスのファンだったら共感or反発でディテールを楽しめるだろうが、
ジョージ・ルーカスに特別な関心がなくても、
アメリカン・ドリームの爆発!とも言うべきエクストリームな馬鹿馬鹿しさがファニーだ。
一つのシリーズ作品に人生を賭けた情熱を注ぎ込むマニアたち。
マジだからこそナンセンスな娯楽映画になっている。

皮肉にもというか何かの偶然か、
日本では近い時期にドキュメンタリー映画『コーマン帝国』が公開され、
そこでも反発心を滲ませる映画監督/プロデューサーのロジャー・コーマンの映画みたいなノリである。
そんな仕上がりでジョージ・ルーカスに対する痛烈な“ラヴレター”にも思える作品だ。


★映画『ピープル vs ジョージ・ルーカス』
2010年/アメリカ・イギリス/カラー/ビスタ/92分
3月10日(土)より渋谷シネクイント他にて公開
http://www.finefilms.co.jp/peoplevslucas/


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コメント

スターウォーズは何故か手が出ずこれまで1度も観ていません。友人にも熱狂的ファンがいてかなり薦められていたのですが・・・。行川先生は新旧のシリーズは観られましたか?しかし、「コーマン帝国」は是非観たいですね。

chumbaさん、書き込みありがとうございます。
旧シリーズの何かを大昔テレビで見た程度ですよ。だから「スターウォーズ」そのものについて突っ込んだことはいえないので、そういう文章になっています。何にしてもそうですが、映画も基本的に大勢の人が食いつくネタみたいなものよりは、埋もれがちなものに興味が向くので。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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