なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

HUSKER DUの日本仕様版リイシュー5タイトル(1/2)

80年代に活動していた米国ミネアポリス拠点のトリオ・バンドが、
グレッグ・ギン(BLACK FLAG)のレーベルから出した作品の日本仕様版でのリイシュー。
すべて歌詞とその和訳と“バックカヴァー”まで覆った帯と、
TAYLOW(the 原爆オナニーズ)執筆の全タイトル別内容のライナー付だ。


KKCP-238_⑤ジャケット写真
★『Land Speed Record』
81年8月のライヴを収めて82年初頭に出した約27分17曲入り。
トラック単位では2トラック入りの仕様で、
LPでのA面とB面とで分けていて曲単位でトラックを分けてない。
要は“好き嫌いしないで全部喰え!”ってことである。
スタジオ録音のアルバムにしてもそうだが、
1曲だけ抜き出して聴いたら全体の勢いも何も感じ取れるわけがない。
いわばGAUZEの『限界は何処だ』のSELFISH Records盤CDのライヴ・テイクみたいな感じで、
曲単位でピックアップして聴くことはできない。
そのGAUZEのライヴと同じようにMC無し。
たぶん編集してMCをカットしたわけではないだろうし立て続けにやりまくっている。
曲やる前に“ワンツースリーフォー!”のカウントを入れていたRAMONESより徹底している。

本作以前にリリースした盤はシングル1枚だけで、
ここでしか聴けない曲がほとんどだから実質的なファーストと言える。
初期UKハードコア・パンクとRAMONESを混ぜこぜになったかのごときムチャな凄まじいサウンド。
ONE WAY SYSTEMを思わせるキャッチーな曲もあったりするが、
この時点で
DISCHARGEの『Why』『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』と共振した曲もやっていたことに驚く。
そんでもってこの後に出すファースト・アルバムで聴けるフリーキー・テイストも紛れ込んだのだから、
音楽的に優等生でお行儀のいい“ハードコア・パンク様式美”のカケラもない。
聴いてきた色んな音楽が整理つかないまんまフラストレイションの加速で炸裂し続けとる。
どこをとってもムチャクチャで痛快なのだ。

よく聴くとメロディックなカケラが粉々になったまま聞こえてくるが、
何しろグレイトなほど粗削りで、
ボブ・モールド(vo、g)とグラント・ハート(vo、ds)が競い合うように歌うヴォーカルも汗だくなのだ。
唯一のミディアム・テンポ・チューンの「Data Control」は、
The STALINの『Stop Jap!』における「ワルシャワの幻想」のようなポジションで最後に盛り上げる。

日本盤のブックレットには、
政治的なものに対するスタンスも読み取れてバンドの意識が滲む歌詞とその和訳と共に、
かつてリリースした盤によっては封入されていたインナーに基づくクレジットも印刷されており、
“サンクス・リスト”の面々に当時の状況が表れていてあまりにも興味深い。
HUSKER DUの世間的なイメージとはあまりにもかけ離れているアルバムだが、
全世界を敵に回しても名盤!と言い切りたい。


KKCP-239_⑤ジャケット写真
★『Metal Circus』
83年リリースの約19分7曲入り。
HUSKER DUにはどれをアルバムと呼ぶのか迷う作品がいくつかあるが、
曲が短いハードコア・パンクの世界では現在に至るまでその流れが必然的に続いている。
そもそも既成のアルバムの仕様をデストロイ!したのが
ハードコア・ムーヴメントがしでかした一つだ。
てなわけで本作は
83年初頭に出した『Everything Falls Apart』に続く3作目ってことでいいわけである。

甘くノイジーでメロディアスな金属質のギターがリードして滑走する、
HUSKER DU独自のサウンド・スタイルをここで世に叩きつけた。
その音でシーンに切り込んだ一曲目の「Real World」は、
同時代のUKポリティカル・パンク/ハードコア勢に対する回答!とも言うべき
HUSKER DU流の“individualism”を叩きつけた。
ぼくは感動すら覚える。
他の曲も時代に逆行しているようでハードコア・パンクの次に進んだ加速するパンク・ロック。
メロウな曲もヤワなんかじゃない。
歌心があふれすぎているだけである。
最後にやっている道を踏み外した混沌チューンの「Out Of A Limb」は
JOY DIVISIONの曲が元ネタだとわかる終盤が微笑ましいが、
本作の後にHUSKER DUが未踏の道に挑む意志をさりげなく歌詞で示してもいたのだ。

BLACK FLAGの代表作群をはじめとしてSST Recordsの作品を多数手がけ、
以降しばしHUSKER DUとも付き合いが続くスポットが共同プロデューサーに就いて、
尖った粗さも気持ちいい。
個人的にHUSKER DUの中で一番よく聴くし、
7曲でも濃密なマスターピースである。


★『ランド・スピード・レコード』(キング KKCP 238)CD
★『メタル・サーカス』(同 KKCP 239)CD
すべて歌詞とその和訳と“バックカヴァー”まで覆った帯に加え、
TAYLOW(the 原爆オナニーズ)執筆の全タイトル別内容のライナー付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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