なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

LOINCLOTH『Iron Balls Of Steel』

DYMC-148.jpg


日本でも一部に熱狂的なファンを持ち、
LAMB OF GODのドラマーのクリス・アドラーやNILEのリーダーのカール・サンダースも大ファンの、
CONFESSORという“ストレンジ・ドゥーム/プログレッシヴ・メタル・バンド”が居る。
ぼくもDVDやEPを買うぐらい大好きなバンドだ。
そのベーシストとドラマーを擁する
米国東部ヴァージニア州リッチモンドが拠点のインスト・トリオの、
“ロインクロース”によるファースト・アルバムが本作である。
2003年のデビュー7”『Church Burntings』以来の音盤と思われるが、
米国でのリリース元はそのレコードと同じくSOUTHERN LORD Records。
その頃は4人組だったが、
このアルバムはトリオでのレコーディングである。

『Iron Balls Of Steel』なんて、
STEEL PANTHERとそのセカンド・アルバムのタイトル『Balls Out』も連想させるフレーズだが、
むろん“鋼鉄のタマ”の扱いは全く違うメタリック音楽である。
『Iron Balls Of Steel』という言葉からイメージできる実にクールなサウンドで大気を斬る。
“クール”というのは冷たくもありカッコイイという意味でもある。

冷厳かつソリッドな音ゆえにHELMETも頭をよぎるが、
オルタナティヴ・ロックよりもっとヘヴィ・メタル寄りのヘヴィ・サウンドだ。
表面的に似ているところはあまり聞こえてこないとはいえ、
VOIVODのデニス“ピギー”ダムールとDEATHのチャック・ショルディナーの名前が
影響を受けた思しき故人として“サンクス・リストに”の最後に挙げられているのも納得。
さりげなくストイックかつテクニカルなのである。
ギタリストは担当パートとしてギターの他に“6 & 4 Strings”もクレジットした機材で、
シャープなリフを弾き出す。

取っ組み合いみたいな演奏とは一味違い、
タイトロープの上でのスリリングなバトル。
CANDIRIAを思い出すところもあり、
“制限時間3分で加速を義務づけられたトリオ編成のKING CRIMSON”もイメージし、
鬼怒無月とナスノミツルと吉田達也がやっているバンドの是巨人が
メタルにファック!されたみたいでもある。

というわけで
デス・ヴォイスの類いも入ってないから変拍子系プログレのファンの方でもイケると思うが、
テクスチャーが複雑とはいえ、
長い展開はせずに核だけを簡潔に凝縮しているから曲が短めなのもポイント。
昔から曲は長くなかったようだが、
日本盤に追加されている4人編成時代の2003年に録ったデモ4曲を聴くと、
いかに彼らが贅肉を削ぎ落として研ぎ澄ましていったかがわかる。
CONFESSORで使えないリフやリズムを持ってきているとは思わないが、
やはりヴォーカルに縛られず“楽器ですべてを表現する”自由な作曲だ。
CONFESSORでお馴染みのグレイトなまでに変態なドラミングも披露してくれ、
タイミングの計り方、間(ま)の取り方、音のすき間の入れ方、空間の使い方が超人的で、
曲のスピード感を自在に操るビートに痺れるしかない。

インストといっても当然のことながらポスト・ロックと呼ばれるものとは違い、
ポジティヴな意味で暴力的なロックを感じるダイナズム。
そして凛々しい。
音作りも含めて目が覚める一枚だ。
オススメ。


★ロインクロース『アイアン・ボールズ・オブ・スティール』(デイメア・レコーデイングス DYMC-148)CD
日本盤は前記のとおり4人編成時代のデモ4曲(本編とダブる曲は無し)追加が嬉しい約51分20曲入り。


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コメント

お邪魔します

はじめまして
voivod検索でたどり着きました、
「紹介文がうまいな・・・誰?」と思ったら行川さんだと知ってびっくり、ブログやってたんですねぇ
某音楽雑誌でのハードコア、メタル系の紹介は購入時の参考にしてます
自分はcoronerとかAnekdotenなども愛聴しとりますので
この作品も聴いてみようと思います

>ZITADAさん
書き込みありがとうございます。
今ぼくがハードコア、メタル系を定期的に紹介しているのはPLAYER誌の連載輸入盤コーナーだけですが、あそこを参考にしていただいているのもうれしいです。
Anekdotenが好きなイケると思います。

こんにちは

King Crimsonを引き合いに出されちゃいましたので例によって購入しました(笑)が、これはいいですね。一聴Meshuggahとかも想起させはしますが、行川さんが言われるように曲が短く引き締まっているのがポイントで、緊張感は高いけど押しつけがましくない、というか(Meshuggahが押しつけがましいというわけではないが)...
どこがどういいのか、言葉にしにくいバンドだと思いましたが、それだけ個性的ということですね。
日本盤は1月の発売だったようですが、私が目を通しているメディアには全く取り上げられていなかったので、行川さんに教えてもらってよかったです。ありがとうございました。

>Fripperさん、書き込みありがとうございます。
押し付けがましくない≒クールとも解釈できますが、ポスト・ロックによくある気の抜けたオシャレなビールみたいなのじゃないですね。
たぶんミュージシャンだったら音楽的に解明する言葉で説明できるでしょうが、それはそれで複雑な文章になりそうです。言葉にしにくいバンドはグレイトなものが多いですが、非トレンディで言葉にしにくくて根がメタルという一般メディアが遠ざける要素が彼らには揃っています。でも、そういうバンドこそ積極的にプッシュしていきたいのです。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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