なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

SLIPKNOT『Slipknot~10th Anniversary Edition』

Slipknot-10th Front Cover-LR


99年にリリースされたファースト・フル・アルバム『Slipknot』の10周年記念エディション。
10年前にぼくが書いたオリジナル・ライナーも付いています。


実際は本作の前に自主制作で1枚発表しているが、
メンバー自身が本作を正式なデビュー・アルバムとみなしている。
KORNのアルバムの欝な音作りで脚光を浴びたプロデューサーの、
ロス・ロビンソンのレーベル第一弾アルバムでもある。

といっても当時はほぼ無名。
けど「凄い存在になりそうな予感がする。」というフレーズでライナーを結んだ。
やはりまったく無名だったKORNのデビュー・アルバムのライナーで、
「個性的すぎて活動は苦労するだろう」みたいなことを書いて大ハズレした“反省”も踏まえ、
前向きな言葉で締めたという気持ちも少しはあった。

でもこのアルバムの音をもらってヴィジュアルを見た瞬間、実際何かが起こる予感がした。
ターンテーブルやサンプラーも使ったサウンドも、
フック十分のソングライティングも、
不謹慎な歌詞も、
ルックスも、
得体の知れない存在感でありながら微妙にポップなフィーリングを含み意外とキャッチーだったからである。

とはいえ、むろんSLIPKNOTの肝はプリミティヴな“ファック・ユー!”アティテュード。
だから日本のパンク/ハードコア系のバンドで活動してきているベテランにもファンが少なくない。
唯一無二のブラストコア・バンドのドラマーの人は昔SLIPKNOTのTシャツを着てライヴで叩き、
自分がいかにSLIPKNOTを好きか熱弁をふるってくれたことがある。
あとこちらはプライベートな場で話したときに聞いたことだから名を伏せるが、
某著名ジャパコア・バンドのドラマーの人もSLIPKNOTを観にラウドパークに行くほど好きだと語ってくれた。

なお今回のCDは、
面倒な諸問題が発覚して初期発売盤以外は削除されていた名曲「Purity」が復活しており、
さらにシングルのサブ・トラックや未発表デモなどの9曲が追加となっている。


一方、DVDは3部構成である。

まず<of the (sic): Your Nightmares, Our Dreams>と題されたセクションは、
“ピエロ男”ことリーダーのショーン・クラウンが監督した約52分のドキュメンタリー。
ライヴ映像にオフ・ステージの模様や熱狂するファンの様子を加え、
『Slipknot』リリース後の時期のSLIPKNOTとその周辺を様々な角度から捉えている。
ナンセンスなシーンやお馬鹿な痴態もひっくるめてごった煮ながらもクールな進行は、
SLIPKNOTの音楽そのものだ。
あらためて思ったのはプリミティヴなハングリー精神と本気のパフォーマンス。
サイン会も気合が入っている。
当然のことながら日本語の字幕付だが、
言葉で過剰な説明はせずにあくまでも映像で押す仕上がり。
高みに向かって加速していく時期ならではの巨大なエナジーの膨張を冷静に伝えることで、
逆に説得力を生んでいる。

<Full Live Concert filmed at Dynamo Open Air, Nijmegen, Holland, June 3, 2000>というセクションは、
初の日本ツアーの4ヶ月後のライヴが45分入っている。
でかいフェスだろうが何度もヤるクラウド・サーフをはじめとして、
会場内のどこで観ていても楽しめるライヴ・パフォーマンスであることを再認識。
野外ステージの録音ならではの“宙に飛んでいくデッド気味なサウンド”も気持ちいい。

そして4曲分のミュージック・ヴィデオも収録。
まだ初々しく妙に緊張しているメンバーの様子が興味深い。


●スリップノット『スリップノット~10thアニバーサリー・エディション~』(ロードランナー・ジャパン RRCY-29191/2)CD+DVD
20ページの新装ブックレットに掲載の歌詞の和訳付で3面デジパック仕様だ。
日本でも米国でもリリースは9年9月9日。
逆立ちすると666。
こういう粋な発売日設定もひとつの表現なのである。

スポンサーサイト

コメント

当時1st出た時、何気に購入して聴いて、しょっぱな 3~4回し 連チャンで聴いた記憶があります。ナリからサウンドから ふてぶてしさが プンプンで まさに FUCK YOUアティテュード全快で かなり衝撃でした。そんな根っこがあるから ある意味 PUNK/HARD COREサイドの方々も 聴けるBANDなのかもしれませんネ。カーカスなどのデスメタルや 個人的に大好きなナパームデスなどのグラインドなんかも やはり HARD COREサイドからの音だし なによりFUCK YOU!の姿勢、そのものが PUNKSに響くのでしょうか?

RYO CRUDO様
ていねいな書き込みありがとうございます。
とてもオシャレとは言えないですし、ふてぶてしいというのもポイントでしょうね。
そのへんはプリミティヴなパンク/ハードコア・サイドの人は敏感です。
初来日公演の時から「ナカユビタテテミロ~!」というMCをしていたような、素朴さにもヤられました。
SLIPKNOTは田舎臭さも持ち味というか。
だから何ふり構わず死に物狂いでやれてきているのだと思います。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/68-54e26d05

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (295)
映画 (262)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (48)
PUNK/HARDCORE (420)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (99)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (124)
FEMALE SINGER (43)
POPULAR MUSIC (27)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん