なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『第九軍団のワシ』

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現在のイギリス北部スコットランドを舞台にした2010年の歴史ミステリー映画。
西暦140年の激闘を描いた女流作家ローズマリ・サトクリフの歴史小説が基になっている。

『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』(99年)で長編映画デビューした、
ケヴィン・マクドナルドが監督。
『アンチクライスト』も撮ったアンソニー・ドッド・マントルが撮影監督。
『ステップ・アップ』(2006年)や『G.I.ジョー』(2009年)で知られる
チャニング・テイタムが主役のマーカス役。
『リトル・ダンサー』(2000年)で主役を射止め、
『タンタンの冒険 ★ユニコーン号の秘密★』では主役タンタンの声優も務めた、
ジェイミー・ベルが相方のエスカを演じている。

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西暦120年にローマ軍はブリタニア(現在のイングランドとウェールズ)の侵略を進めるも、
部族の抵抗に遭ってカレドニア(現在のスコットランド)まで突破するのには難航していた。
そんな中でローマ帝国最強と言われた第九軍団はカレドニアに進攻するが、
ある日、シンボルの“黄金のワシ”と共に兵士5000人が姿を消す。
20年後、消えた軍団の指揮を取っていた男の息子のマーカスは父の意志を継ぐかのように、
ブリテン島(イングランド)の小さな砦に百人隊長として赴任。
だがある晩、先住民族との戦いで脚に重傷を負って軍人としての人生を絶たれてしまう。
無気力になっていた最中、
観戦していた剣闘の試合に出場していたブリタニア人の奴隷戦士エスカの命を救う。
エスカはマーカスの奴隷になるが、
敵対関係の人物とはいえ命の恩人のマーカスに忠誠を誓う。

ブリテン島北端の神殿に“黄金のワシ”があるという噂を聞いたマーカスはエスカを連れ、
誰もが恐れるカレドニアの荒野に向かう。
大切なシンボルの“黄金のワシ”を取り戻すためであり、
大切な父が“敵前逃亡した”とされる汚名を晴らすためである。
馬に乗りながらの“旅”を続けるうちに、
“黄金のワシ”を持っているとされる未開の部族のアザラシ族と出会って緊張は一気に高まる。
マーカスはアザラシ族が敵意を剥き出しにして殲滅せんとする“侵略者”のローマ人。
エスカは実のところ父親がローマ軍と戦った軍の隊長でアザラシ族と手を結べるブリタニア人。
必然的に二人のポジションは逆転する。

例によってネタバレを避けるため物語の説明はここまでにさせていただく。


膨大な数のエキストラを含まずに一定のセリフを言う人物だけに限っても多数登場するが、
主要人物は限られているから覚えにくいことはないし、
ストーリーも意外とわかりやすくベタなほどまっすぐだ。
上記したブリタニアとカレドニアが現代ではどの地を指すかという程度のことが頭に入っていれば、
他に予備知識は必要ない。
それどころか知らず知らずのうちの当時のちょっとした世界史/英国史が学べるし、
歴史ものが苦手な方も圧倒的なパワーと熱情に持っていかれること必至だ。

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とにかくエキサイティングで一瞬たりとも目が離せない。
ヘルツォークの映画すら思い出すスペクタクル映像に殺られっぱなしの114分間であり、
見られる環境にある方はやっぱりどでかいスクリーンで見ることを大スイセンする。
映画ならではの超絶的な迫力に飲み込まれあっけにとられる恍惚感は映画館でしか味わえない。
とりわけ『第九軍団のワシ』は、
奥行きのある風景のシーンと動きの激しいシーンと無数の人間がカオスと化すシーンの連続だから、
映画ならではのダイナミズムに満ち溢れているのである。

必然的に戦闘シーンも数回に及ぶ。
時代が時代だから火薬系の武器はなく剣系の武器がほとんどだ。
現代兵器みたいに殺す人間の顔も知らないで殺すのではなく、
殺す人間の顔を見ながら殺す緊迫感。
ピストルみたいに楽はしない。
体力勝負の接近戦はまさに死に物狂いで顔もゆがむ。
無数の血と汗が鼻を突く。
まさに死闘である。

一部をハンガリーで撮った他は
映画どおりにスコットランドで撮影。
“最果ての地”を体現したロケーションも筆舌に尽くしがたい素晴らしさ。
ロマンすらはらんで気絶するほど美しく、猛々しく、荒々しく、
土と川と植物と動物の匂いが立ちこめている。
衣装もクールだ。
時代が時代だけに一般民衆の服装もプリミティヴな面白さがあるが、
戦士たちの衣装が強力だ。
ローマ軍の重装備もさることながら、
アザラシ族の衣裳は見ているだけで原始の響きが聞こえてきてゾクゾクするのである。

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アイスランドの音楽家アトリ・オーヴァソンによる重厚な音楽が静かに映画をふくらませているが、
実際には鳴ってない音楽もぼくには聞こえてくる。
この映画に共振するスピリットとドラマを内包する真剣勝負の音楽だ。
古代的あるいは神話的な戦士のアートワークをよく使う各方面の勇壮な“ヘヴィ・メタル・バンド”が、
見ているうちにどんどんどんどん頭の中に湧いてきた。
MANOWARであったり、
MOLLY HATCHETであったり、
BOLT THROWERであったり、
HIGH ON FIREであったりする。
さらに
モヒカンのアザラシ族のヴィジュアルは気合満々のジャパニーズ・ハードコア・バンドも思わせる。
共通するのは戦う男から滲み出る涙流さぬ“泣き”。
この映画自体の肝がまさにそれなんである。

産まれた“場所”“地位”“家族”“時代”で背負わざるを得ない戦いの運命。
ストイックなまでの
おのれの名誉、責任を伴う自由。
国家や民族を超えて最終的には“個”と“個”の信義に基づく自己犠牲。
自己保身のために下心を隠し持つエゴと虚栄心とやさしさが入り込む余地はない。
ほとんど死語と化している“integrity”という言葉に命を吹き込んで再生させる。
“誠実、正直、高潔、品位”といったものが今でも十二分に、
いや今だからこそ有効であることも示す。

オススメ。


★映画『第九軍団のワシ』
2010/イギリス・アメリカ/114分/カラー/シネマスコープ/ドルビー/35㎜/原題『THE EAGLE』
3月24日(土)より、渋谷ユーロスペースにてロードショー。他、全国順次公開。
http://washi-movie.com/index.html
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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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