なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Patti Smith『Easter Rising』

Patti Smith『Easter Rising』


78年5月9日の米国オレゴン州におけるライヴをフル・セットで16トラック収めた約80分のCD。
昨秋発売されたものだ。

これまた怪しいCDである。
おそらくいわゆるブートレッグとは違って権利関係はクリアーし、
イギー・ポップやジョニー・サンダース関連に多くて最近ではルー・リードも増えてきた“灰色盤”と思われる。

ライナーによればラジオ・オンエア用に録音されたものらしいが、
当時発売されていたブートレッグを現代のデジタル技術で補正したような音質である。
痩せた音に無理やり筋肉を付けたような感じだから、
一般的なライヴ盤のクリアーな音像を期待されると落胆するかもしれないが、
アンダーグラウンドものを聞き慣れている方であればナマナマしくてイケるだろう。
当然ながら70年代のブートレッグLPよりも各パートのメリハリがあって分離はよく、
ベースの音は小さめだがキーボードは他の音に埋もれず大きめだし、
どういう演奏をしているのかはよくわかる。


いきなりパティ・スミス(vo他)が一人で8分強のポエトリー・リーディング。
彼女のパフォーマンス活動の原点のスタイルということで楽しそうにやっている。
そのタイトルが「The Salvation Of Rock」というのも“いかにも”だが、
聞きとれる言葉の端々の意味をくみとるだけでも面白い。

この2ヶ月前にリリースした彼女にとっての3作目『Easter』の曲が半分を占める。
彼女にとっての2作目『Radio Ethiopia』の曲はまったくやってない。
その代わり、
ジョン・レノンの「It's So Hard」、
The WHOの「The Kids Are Alright」と「My Generation」、
デビー・ブーンの歌(その邦題:恋するデビー)で当時大ヒットしたばかりの「You Light Up My Life」、
RONETTESの「Be My Girl」
THEMの「Gloria」のカヴァーを披露。
アルバムのセールス的にもピークの時期だが、
バンドとしてピークに達する直前ならではの高揚感に覆われている。

ぼくにとって
アルバムをLPで全部持っているにもかかわらずCDで買い直した数少ないアーティストの一人だ。
ただキャプテン・センシブル(DAMNED)やメイヨ・トンプソン(RED CRAYOLA/RED KRAYOLA
灰野敬二のような数少ない“パティ・スミス否定派”に感化されたわけではないが、
90年代に入ってパッタリ聴かなくなってしまった。
これを聴いてパティ・スミスというよりはPatti Smith GROUPが好きだったんだなとも再認識した。
細かい話だが、
ファーストの「Hoses」も含めてパティ・スミス名義のアルバムと、
Patti Smith GROUP名義の『Radio Ethiopia』『Easter』『Wave』とでは違うのだ。
メンバー5人で何かを創造するパワー、
そういう素朴なことを考えてしまった。
このCDの時期はもちろんPatti Smith GROUP。

同タイトル同内容で今年頭にCDでもリリースされた
これまた“灰色盤”っぽいDVD『Live In Germany』でも明らかだが、
バッキング・ヴォーカルでも大活躍するレニー・ケイとアイヴァン・クラールが
曲によってギターとベースを換えていることも、
ギターの音の違いで想像できる
「25th Floor」ではパティが弾いていると思しきギターの音が
まるで機材トラブルかCD製造ミスであるかのようにギーギーギーギー鼓膜を引っ掻く。
Patti Smith GROUPは同じ曲をステージで披露しても時期によってアレンジが違い、
ステージ運びも違う。
予測不可能なパフォーマンスもお楽しみのバンドだったのだ。
当時“お約束”の展開だったのかもしれないが、
6分以上やるラストの「My Generation」の破壊的なプレイは音だけだとさらに狂暴だ。

良くも、そして悪くもかもしれないしスタジオ録音盤よりはストレートな歌唱だが、
パティ・スミスがなぜパンクと呼ばれたかを
あらためて痛感させられる歌い方が、
なんかかわいくも映る。


色々とオイシイ聴きどころいっぱいだから少しでも気になった方にはオススメ。


★Patti Smith『Easter Rising』(LEFT FIELD MEDIA LFMCD513)CD
紙ケース付。


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コメント

パティスミスグループがやはり一番しっくりくるので気になります。


カバー目当てで購入したいとも思いました。


ジャケがグレイトですねo(^-^)o

ITOさん、書き込みありがとうございます。
定番カヴァーのほかに、あまり披露してないと思われるカヴァーもありますね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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