なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

SOULFLY『Enslaved』

Enslaved+Cover_convert_20120229160712.jpg


マックス・カヴァレラ(vo、g)率いる“スピリチュアル豪腕メタル・バンド”の
『Omen』に続く1年10ヶ月ぶりの8作目。
SEPULTURA時代から数えればバンド・キャリア28年のベテランでありながらも、
ツアーをやりコンスタントに新作を出し続けるマックスの精力絶倫アティテュードそのもののアルバムだが、
バンド内の体制は新しくなっている。

まず7年ほど不変だったベーシストとドラマーが、
長年STATIC-Xのメンバーだったトニー・カンポス(b)と
MALEVOLENT CREATIONでも叩いていたことがあるデイヴィッド・キンケイド(ds)に替わった。
プロデュースと録音とミックスを、
SHADOWS FALLHATEBREEDなどの90年代以降のハードコア/メタルの音を作り上げてきた
ゼウスが手がけているのもポイントである。
さらに特筆すべきは自分でもやりたがるマックスが珍しくプロデュースに一切タッチしてないことで、
少なくてもプロデューサーとしてマックスはクレジットされてない。
押しの一手だから通して聴くのは体力が必要なアルバムも多いSOULFLYだが、
渾身のサウンドでありながら
いい意味で風通しのいい音作りが成功しているのだ。


新メンバーが加わったとはいえ大半の曲はマックス一人で作っているが、
SOULFLYらしい“グルーヴ・メタル”な音は健在ながらも多彩な曲で構成。
楽曲も風通しがいい。
SEPULTURAの初期を思い出すブラスト・ビートも数曲で使って
CELTIC FROST~デス・メタル調のギターも織り込む一方、
その中に民俗音楽タッチの旋律をナチュラルに忍ばせるなど
SOUFLYでしかできないサウンドにあらためて引き込まれる。
スラッシーな曲をやってもスラッシュ・メタルそのものから外れるのは、
進取の精神を絶やさないマックスならでは。

ライヴで盛り上がりそうな曲が多いが、
さりげなく演奏の小技も利かせる。
マックスが挿入するシタールやマーク・リゾ(g)が奏でるフラメンコ・ギターに加え、
ボーナス・トラックの静かなインスト・ナンバーでゲストがヴァイオリンを弾いて彩りを添えている。
CATTLE DECAPITATIONのトラヴィス・ライアン(vo)、
DEVILDRIVERのデズ・ファファーラ(vo)、
さらに例によってマックスの子供たちもゲスト参加し、
毎度のことながら人が集まっていて賑やか。
だが決してゆるくはないし、
むろんビッグ・スケールで展開される。

ジャケットがSOULFLYにしては珍しくシンボリックなデザインではなく、
エクストリーム・メタルやメタル・ハードコア風の画になっているのも本作の言葉を象徴している。
本人にそういうつもりがなくても押しつけに聞こえるぐらいヴォーカルも気を抜かないマックスだが、
今回は怒号も聴く人間のことを考えているかのように耳を傾けさせる意識も感じさせるのだ。
適宜SEを挿入してムードが高められた曲で一つの流れになっており、
歌詞から察するに政治家云々に限らず“圧制”の歴史と世界がテーマと思われる。
自分の出身国のブラジルや現在住む国のアメリカと直接関係ないことも
マックスは当然たくさん歌っている。
アウシュヴィッツから広島・長崎、中東、
かの国の公用語のスペイン語で南米コロンビアの”コカイン王”パブロ・エスコバルを歌った曲までと多彩だが、
根っこでは全部つながっている問題だから“外向きの視点”になるのは必然なのである。

16ページのオリジナル・ブックレットに載せた担当パートのところに
ヴォーカルと4弦ギターとシタールに加えて“soul”“lyrical terrorism”ともクレジットした、
マックス流のヴァイオレントなヒューマニズム炸裂!の一枚。


★ソウルフライ『エンスレイヴド』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-14381)CD
日本盤は、
スタジオ録音の2曲と「Downstroy」のライヴのボーナス・トラックが追加され、
そのすべての歌詞の和訳が付いた約65分14曲入り。
3月7日(水)発売。

スポンサーサイト

コメント

新作を発表するなんて知りませんでした。

予約して、是非聴いてみます(^O^)

ITOさん、書き込みありがとうございます。
幅広く聴く方は情報漏れが多くなるぐらい色々出ていますからね。意外とこういう中堅大物バンドの情報が抜けたりします。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/690-9ac27e66

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (291)
映画 (254)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (413)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (94)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (121)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん