なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

PRAHA DEPART at 東高円寺・二万電圧 3月1日

プラハデパート


2004年からコンスタントに活動している東京拠点のポスト・パンク/オルタナティヴ・ロック・バンド、
PRAHA DEPARTの約1年ぶりで2度目のワンマン・ライヴ。
昨年のワンマンの入場者にCD-Rで配布した音源のリミックスCD『Dot.』の発売記念ライヴでもある。

その初ワンマンのときは専任ベーシストが加入していて4人編成だったが、
トリオ編成に戻ってヴォーカルのMaiが再びベースを手にしながら歌うようになった。
ベーシストが在籍していたときのライヴが最高だったし、
また歌とベースを兼任することになって大丈夫だろうかという不安もぼくの中にはあった。
だがそんなことはパーフェクトなまでに杞憂であった。


PRAHA DEPARTはリズムに重きを置いたポスト・パンクをグレイトに日本語解釈したバンドとも言える。
The POP GROUPや、
MAXIMUM JOY、PIG BAG、RIP RIG & PANIC、GLAXO BABIESといったその“派生バンド”、
もちろんセカンドの頃のSLITSやセカンド~サードの頃のRAINCOATS
あとCABARET VOLTAIREやDELTA 5、AU PAIRSなどを連想。
要は70年代末から80年代初頭にROUGH TRADE Recordsから音源をリリースしていたバンドを
次々とイメージする。
ぼくがハマるのは当たり前なのだが、
PRAHA DEPARTからポスト・パンクなファンク・ビートは聞こえてこない。
“他の誰かさん”になろうとする底意地も聞こえてこない。
そういったバンドたちをあくまでも2012年のPRAHA DEPARTで鮮やか&密かにアップデートしている。

ダブとテクノの最高のブレンドの音が貫く。
ブラジルものなどのラテン音楽のリズムで振動する。
もちろんSUGARCUBES~ビョークのコケティッシュで艶やかなニュアンスにたっぷり覆われている。
ドゥーム・ロックのヘヴィネスのウイルスも侵入しているようだ。
そんなふうに自由だから無理やりコンパクトにまとめることはなく、
曲を縛らずにその“命の流れ”を尊重してうねりにまかせて続く長尺チューンも多い。
そういったサウンドを活かしながら日本語でしっかり歌っているところも高ポイント。
歌ものでは昔の歌謡曲みたいなニュアンスも感じられる。

「何でも聞きます」とばかりに節操のないトリッキーな“ミクスチャー”とは違い、
音選びがストイックだ。
たとえそういう音楽を聴いているにしてもクラブ・ミュージックに媚は売らないサウンドだし、
いわゆるトランスの感覚とは一線を画す。
PRAHA DEPART自身が無意識だとしてもパンクとロックの肉体的なパワーでポップにハジけている。


もう色々聴いてきているからもうちょっとやそっとでは驚かないし音楽で感動もしなくなっているが、
こんなバンド世界中どこにもいない・・・・とホントあらためて実感したライヴだ。


以前かなりマメにやっていたライヴが去年あたりから減ってきているのは、
数をこなすよりメリハリを付けて一つ一つを大切にやる意識になっているからだと想像できるほど、
このライヴのために熱い気持ちが集中された凄まじいパフォーマンスだった。
昨年米国や欧州でライヴをやったことも大きいと想像できる。
もちろん今や外国でライヴをやったところで何かのステイタスになるわけではないが、
違いがはっきりとわかる。
メンバーがでかくなった。
以前にも増して堂々と演奏して堂々と歌っている。
もともと身内の馴れ合いで終わってないバンドが、
さらに殻を真正面からブチ破っている。

トリオ編成ならではのギリギリのコンビネーションが
ひたすらカッコイイ。
ギターで出しているとは思えない音を次々と繰り出すTsukasaは、
リズムもメロディもロックンロールのフォーマットから解き放たれていて種々雑多な民俗音楽風だが、
それでいてロックのグルーヴを創造している。
パンク/ハードコアばりのパワフルなビートをJunpeiは打ち鳴らし、
ロックンロールのフォーマットから解き放たれたプリミティヴなリズムで発射しながらも
やはりロックのダイナミズム叩き出す。

そして強靭なMaiのベースは、
中低音の鳴りが素晴らしいライヴ・ハウス・二万電圧の音響システムを活かして艶っぽく強靭だ。
歌いながら弾くことで相殺される危惧を超えてヴォーカルとベースが共振していた。
ヴォーカルにインスパイアされてベースも“歌い”、
ベースにインスパイアされてヴォーカルのヴァイブレイションも高まる。
なによりMaiのベースを弾く姿がめちゃくちゃクール。
ステージでの見栄えはとても大切なのだ。

本編終盤は初期のようにベースレスでMaiが歌うセットだったが、
全編エキセントリック&トリッキーなヴォーカルとは完全に一線を画す
前に前に伸びていって突き抜けていくヴォーカル。
だからMaiの声から歌心がこんこんと熱くあふれ出ていた。


10分ほどの休憩(≒衣裳替えタイム)をはさんでの2部構成で、
アンコールを含めて実質2時間。
まさに堂々たるパフォーマンス。
小さなライヴ・ハウスで満員というわけでもなかったが、
そんなの知ったこっちゃないPRAHA DEPARTの“WeDon’tCare!”の大きな囁き声がぼくには聞こえた。
でもMCでも表していたように、
ワンマン・ライヴを立ち上げ、
ワンマン・ステージに立ち、
ワンマン・パフォーマンスを2時間やることができる喜びを歌と演奏で濃厚に表すことで、
集まったお客さんに最大限の感謝をしている。
そんな無限の外に向けた放射状のホット&クールなエナジーは必然的に国境をトリップして届く。

PRAHA DEPARTは今月末から来月上旬にかけて4日間のニューヨーク・ツアーを敢行し、
さらに5月にはZAZEN BOYS、GROUP_INOU、チャラン・ポ・ランタンと4日間のカナダ・ツアーを決行。
世界は広い。
たくさんの人に至福のエナジーがナマで届くとまたつながりが広がる。
ゆっくりと夢をふくらませているバンドだからこそ未知の“つながり”の大切さを知る。
PRAHA DEPARTは確固たる自分があるから世の中で何が起ころうと流されない。
我が道をゆっくりと進んで次々とネクスト・ステップに走っている。

PRAHA DEPARTに出会えて良かった。
5月以降にリリースされると思われる新作も心から楽しみだ。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/691-e371ee83

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (239)
JOB/WORK (287)
映画 (237)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (41)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (395)
EXTREME METAL (127)
UNDERGROUND? (88)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (117)
FEMALE SINGER (41)
POPULAR MUSIC (24)
ROCK (77)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん