なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

JURASSIC JADE『天の咎』『地の仇花』

“女帝シンガー”がフロントに立って85年から東京を拠点に活動を続けている
“リアル・エクストリーム・メタル・バンド”のJURASSIC JADEの97~2004年の4作が、
2作ずつ1枚のCDにまとめた2タイトルでリイシューされる。
リマスタリングされた4作が“2 in 1”の状態で2枚のCDに分けられ、
再録音した2曲がそれぞれに加えている。
2つともライナーを書かせてもらいました。
例によってライナーとあまりダブらないよう簡潔に紹介させていただく。


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★『天の咎 THE B.Y.S. YEARS 1997~1998』

サード・フル・アルバム『After Killing Mam』(97年)と
ミニ・アルバム『ドク・ユメ・スペルマ 』(98年)をカップリングし、
「Chaos Queen」と「ドク・ユメ・スペルマ」の“2012ヴァージョン”を加えた約57分22曲入り。
共にリアルDIYレーベルのBANG YOUR SOULS Recordsからリリースしていたアルバムである。

JURASSIC JADEを“パンク・バンド”と言い切ったヤスノリがベーシストの時代で、
特に『After Killing Mam』では意識的にラフなレコーディングが行なわれ、
リフが不穏に聞こえるザラザラヒリヒリしたヘヴィなサウンドだ。
SLAYERの『Reign In Blood』ばりのスラッシュ・チューンを残しつつ、
KING CRIMSONもよく使ってきている三連リフも目立ち始めた時代である。
むろん身を削ったストイックな音使いに磨きをかけ、
解き放たれていったかのようにヒズミ(vo)のヴォーカルも歪みながら多様な表情をたたえている。
DIE YOU BASTARD!加入前後のキムラもゲスト参加。


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★『地の仇花 THE HOWLING BULL YEARS 2000~2004』

4作目のフル・アルバム『Wonderful Monument』(00年)と
5作目のフル・アルバム『Left Eye』(04年)をカップリングし、
「G.D.G」と「Left Eye On The TV」の“2012年ヴァージョン”を加えた約58分21曲入り。
かつて社長がバンド仲間だったという縁もあり、
共にHOWLING BULL Recordsからリリースしていたアルバムである。
『Wonderful Monument』では前任のヤスノリ、
『Left Eye』では現メンバーのジョージがベースを弾いている。

速い曲でもスラッシュとはちょっと違うリズムでギターが走る。
KING CRIMSONとKORN
『Reign In Blood』~『Seasons In The Abyss』の頃のSLAYERでリンクさせたら、
期せずしてDILLINGER ESCAPE PLANとも共振したかのようなサウンドでもある。
いわゆるマス・ロック~カオティック・ハードコアとも接点を持つ曲だが、
テクニカルなアプローチが目的化しているようなバンドも目立つ米国勢とは違い、
ヴォーカルも楽器もすべてが“うた”。
硬質なレコーディング・プロダクションで音質がクリアー(≠クリーン)になったことで、
根源的な“生”を表現しているのだからどうしたってナマナマしくなるJURASSIC JADEの本質が
よりクリアーに伝わってくる。
ゲストの女性ヴォーカルが歌う歌ものでDOOMの故・諸田コウを悼み、
スピリチュアルなインスト・ナンバーでSUNS OWLの故SATOOを悼む、
アコースティックな響きの曲もさりげなくポイントだ。


今回のリイシューが、
2作を一枚のCDに合理的にまとめた単なる“2 in 1もの”とは一線を画して一つの流れになっていることは、
JURASSIC JADEの表現がいかにつながっているかの証明でもある。
「After Killing Mam」「香港庭園」(以上、『天の咎』収録)、
「微量原子分裂(Scum Radioactive Version)」「9月の詩」(以上、『地の仇花』収録)などの曲で表した、
子供の虐待と親殺し、中華人民共和国、核、テロリズムと戦争など、
いつでもJURASSIC JADEは様々な問題が“トレンド”になる前から音楽にしてきた。
“先見の明”と呼ぶにはあまりにもリアルである。

物事はそんなに単純ではない。
たとえば「After Killing Mam」に象徴されるように、
アダルトチルドレンにとって“絆”はあまりにも重い。
人はそれぞれが違う痛みを抱える。
と同時に音楽で苦しみは解き放たれ得る。
そんなことをあらためて思うディープなグレイト・リイシューだ。


★JURASSIC JADE『天の咎 THE B.Y.S. YEARS 1997~1998』(BxTxHx BTH-045)CD
★同『地の仇花 THE HOWLING BULL YEARS 2000~2004』(同 BTH-046)CD
共に収録された2タイトルのオリジナル・アートワークをミックスした
9つ折りのポスター・ジャケット仕様。
3月7日(水)発売。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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