なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ANGEL WITCH『As Above, So Below』

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ヘヴィ・メタル的に女性を称える究極のバンド名を冠して80年にアルバム・デビューした
英国のバンドのニュー・アルバム。
オリジナル・メンバーはケヴィン・ヘイボーン(vo、g)のみで5作目に数えられるが、
初心者にもわかりやすく書かれた奥野高久執筆のライナーによれば
“前作”『Resurrection』(98年)は未発表曲を録音したものとのことだから、
『Frontal Assault』(86年)以来のオリジナル・アルバムという解釈もできる。
だが、これはヘヴィ・メタル以前にロックとして天啓とも言うべき作品だ。

IRON MAIDENをはじめとする
NWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)のムーヴメントの中から出てきて頭角を現した中でも、
最もダークで妖しい光を放ってきたバンドである。
本国ではリー・ドリアン(元NAPALM DEATH、現CATHEDRAL)主宰のRISE ABOVE Recordsからリリース
というのも納得の“たそがれの佇まい”だ。
70年代のヘヴィ・メタルとスラッシュ・メタルとドゥーム・メタルの間を、
ブリティッシュ・ロック伝統の侘び寂びとパンク・ロックの攻撃性を携えて突き抜けるようなサウンド。
古き良きヘヴィ・メタルとメタル・クラストの金属臭を鼻から吸い込んだかの如き、
嗅覚をくすぐるフック十分のソングライティングにより
やや長めでじっくり展開する曲もたまらない。
魔術的で麗しくもある。

トリオ編成によるレコーディグでアンサンブルも良く、
悲哀の色合いのヴォーカルや
多重録音で艶っぽい掛け合いをするギターをはじめとして、
様式美なんて完膚なきまでに凌駕した魔力的な歌心に満ちている。
サンプリングの類いに頼った“音楽”がいかにイージーかもあらためて思い知らされる。
自分自身が紡ぎ出す音と声の響きのひとつひとつが表現だともあらためて知らしめる“調べ”の
おくゆかしき連打なのである。

3作目『Frontal Assault』収録の「Rendezvous With The Blade」を改題+リメイクした曲と、
80年のデビュー作『Angel Witch』収録の「Devil’s Tower」の日本盤ボーナス・トラック新録で、
さりなげなく不変性もアピール。
アンダーグラウンドの現行UKドゥーム系ヘヴィ・メタル・バンドでNWOBHが引き合いに出されるのも、
ANGEL WITCHがイメージされていることが明らかなアルバムでもある

目下ライヴでは、
元CARCASS~NAPALM DEATHでFIREBIRDを率い、
GENTLEMANS PISTOLSの一員でもあるビル・スティアがサポートしているという。
こういう一見意外で意識が共振したつながりこそが時代を切り開く。
トレンドがどうあろうと時代の流れがどうあろうと揺らぐことはない、
音楽が好きロックが好きという誠実な同志たちこそが時代を切り開く。
だから響きの奥の方から限り無き光が見えてくる。

永遠に聴き継がれてしかるべき佳作。
ORANGE GOBLINの新作とともに目下のヘヴィ・ローテーションだ。


★エンジェル・ウィッチ『アズ・アバヴ、ソー・ビロウ』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10020)CD
日本盤は、
歌詞とその和訳が付き、
前述のようにボーナス・トラック1曲追加の約56分9曲入り。
CDだからどうしても小さくなってしまうとはいえ、
ジョン・マーティンの1853年の絵画『The Last Judgment』を引用した8ページのブックレットも、
音楽のイメージを無限に増幅させる。
オススメ。


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コメント

これはもう...(笑)

ITOさん、書き込みありがとうございます。
パンク/ハードコアも含めてブリティッシュ・ロックの深さを感じさせる一枚です。

はじめまして。
久々にフルで楽しめるアルバムが嬉しいです♪
今週末は、いよいよライブ参戦です。
最後に観たのが、ちょうど30年前のマーキーでした…

Booさん、書き込みありがとうございます。
アルバム全体で楽しめるのもポイントですね。使い捨ての音楽にはない誠意も感じます。
今週末は個人的に微妙なのですが、30年前のマーキーなんて最高のシチュエーションですね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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