なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DEATH『Vivus!』

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デス・メタルのオリジネイターである米国フロリダのバンドのDEATHが2001年にリリースした
2つのライヴ盤の新装アートワークでのカップリング。
LAで98年の12月に録音した約72分13曲入りの『Live In L.A.(Death & Raw)』と
オランダで98年5月に録音した約57分11曲入りの『Live In Eindhoven』が、
一つのパッケージにまとめられた2枚組CDである


7作目にあたるDEATH最終章の
ラスト・アルバム『The Sound Of Perseverance』のリリース前後のステージ。
ディスク1とディスク2とで9曲ダブっているが、
そのアルバムの曲は3曲のみ。
サードの『Spiritual Healing』(90年)以外のすべてのアルバムの曲が入っており、
6作目の『Symbolic』(95年)からは4曲やっている。

その『Symbolic』をリリースした後にDEATHは一度だけ来日している。
ぼくはクラブチッタ川崎でライヴを観た。
プレイ自体は素晴らしかったが、
曲によってギターを取り換えるためかほぼ一曲終わるごとにステージが暗くなって曲間が空き、
パフォーマンス全体の加速度が途切れてライヴの流れはイマイチだった。
でもこの2枚のCDはその点でも問題無し。
めちゃくちゃカッコイイ。

リーダーのチャック・シュディナー(vo、g)以外のメンバーの変動が非常に激しいバンドだったが、
どちらのライヴも『The Sound Of Perseverance』のレコーディング・メンバー。
すなわちDEATHの最終ラインナップである。
むろん全パートしっかり聞こえるが、
かなりラフに聞こえるCDだ。
残虐でありながらもデリケイトなサウンドをリアルに記録するために
DEATHは他のデス・メタル・バンドよりも緻密なレコーディングをしていたから、
同じ曲でもオリジナル・アルバムとの大きなギャップが素晴らしいのだ。

特に『Live In L.A.(Death & Raw)』の方はタイトルどおりで、
“これがDEATHなのか!”と信じがたいほど鳴りが“生硬”だ。
楽曲をしっかり残すことも大切だったと想像できるスタジオ録音盤よりも
中低音を含めて各楽器の音がよく出ていて“格闘のダイナミズム”がたまらない。
伝説のライヴ・クラブのウィスキー・ア・ゴー・ゴーでのライヴをナマ録りしたためか
かなりナマな響きで、
ギター・ソロもまさに命懸けに聞こえる。
“絞殺ヴォーカル”も荒れていて素晴らしい。

世に出たのがチャック他界の2ヶ月前で生前最後のリリースになった『Live In Eindhoven』の方は、
4万人近くの観衆が集まったダイナモ・オープン・エア・フェスティヴァルでのステージ。
このメンバーによる4回目のライヴということでアルバムの再現に近い感触だが、
野外録音ならではの開放感が漂う音のバランスのいい仕上がりだ。


かなり曲がダブっていても2枚でかなり違う表情を見せるのはバンドが生きているからで、
同じ曲でもLAでのライヴの方が速く聞こえるのは
ツアーを重ねてバンド全体が加速したからに他ならない。
DEATHがテクニカルなアプローチを極めた時期であると同時に、
意識のレッド・ゾーンを振り切るカッコいいパフォーマンス。
当時はまだ自覚症状はなかったようだが、
チャック・シュルディナーが脳の癌に侵され始めていた時期とも推測できる。
ホラー映画系のデス・メタルとは別次元で、
バンド名からしてシャレではなく死に向き合うストイックな本気の表現を続けていたDEATH。
一つ一つの音に対する誠意と責任すら生々しく伝わってくる2枚組である。


★デス『ヴィヴァス』(リラプス・ジャパン YSCY-1236)2CD
日本仕様版は、
当時のドラマーのリチャード・クリスティとマネージャーによるライナーの和訳が付き、
1枚ものCDと同価格。
ツヤ出し加工ジャケット封入で紙ケース付だ。


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コメント

ライブ観たことがない私には最高の作品で、最高のセットリストですね♪♪


改めて、DEATHを聴いてみたくなりました。
ライナー等も購入の楽しみの一つですo(^-^)o

DEATHのライブ音源って実は前から気になっていました。スピリチュアルヒーリングをアナログで買って当時気に入って(まだ持ってます)、結局シンボリックがぼくが1番好きなアルバムになったんですが、ライブアルバムの雰囲気がようやくわかりました。録音状態も2枚とも惹かれます。ありきたりですが、チャックの繊細さがたまらないです。

書き込みありがとうございます。
>ITOさん
今日ブログでアップしたGAUZEもそうですが、ぼくにとってライヴは全体の流れも大切なのでDEATHの川崎ライヴは最高とは言いがたかったですが、このCDはそのへん問題ないです。
>かくさん
ぼくも一番よく聴いているのは『Symbolic』です。このライヴ音源のリリースはチャックの治療費捻出のためでもあったという話も聞きますが、興味深いものです。それぞれ音の感触がまったく違うだけに、バンドは一つの音源や一つのライヴだけでは判断できないことも再認識させられます。やっぱりメタル的な豪傑が多そうなデス・メタル・シーンの中でチャックの繊細さは際立ちますね。

チャックの狂気

はじめまして、こんにちわ。
先日輸入版のVIVUSが届いてググってたらここに着きました。
Live In LA はDVD盤を持っていて、映像から来るあのチャックの凄まじい狂気に圧倒されまくり、何度も繰り返し見たものです。
95年の来日行かれたんですね?うらやましい限りです。
ジーン・ホグランとかが居た時期ですよね。
生のデスを体感されているのは非常に貴重ですね^^

sochanさん、書き込みありがとうございます。
ぼくもそのDVDを持っていて、全身全霊のプレイが目でもわかって惚れ直した記憶があります。日本公演はジーン・ホグランの爆裂ドラムも目立っていましたが、DEATHのメンバーとしては比較的長く在籍したジーンとの方向性の違いも、今思えばあったのかもしれません。
書いたように最高!とは言いがたかったですが、いい思い出です。

>全身全霊のプレイ

そう、まさに”全身全霊”、、全てを込めて愛機ステルスを掻き鳴らすチャックの姿があまりに強烈でしたょ。

彼のギターソロは、1ハムピックアップ仕様のステルスならではの金属的な音と正確無比なフィンガリングからなっていて、それがまさにチャックたらしめてる所以ですね。

しかし、あれほどテクニカルかつスピーディな楽曲を弾きながら、あの狂気のヴォーカルを同時にやってのけるのはやはり凄いとしか言い用が無いです。

sochanさん、書き込みありがとうございます。
あのギターとチャックとの組み合わせは見栄えもいいですね。ただ巧いだけでないから引き付けられるのです。
ヴォーカルとギターはスタジオ録音は別にレコーディングできますが、そうでないからこそライヴの醍醐味。歌とギターを同時にやっているからこそ、ヴォーカルもあの生々しさでギターと共振したリズムで声が解き放たれていると思います。そういう点でやはりCONTROL DENIEDは微妙に違う感触がありますね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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