なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

GAUZE、the 原爆オナニーズ at 東高円寺・二万電圧 3月10日

二万電圧


ライヴ・ハウス・二万電圧の企画“CHAIN REACTION #29 -春の陣-”を観てきた。
30年以上コンスタントに活動を続けている日本のパンク・バンドの共演で、
ぼくも両バンドのメンバーの平均年齢ぐらいの歳だからやっぱり気持ち的に共振するものは多い。

言うまでもなく場内は130~140人のキャパシティのギリギリで超満員だが、
息苦しくて観るどころじゃないほど詰め込みすぎないライヴ・ハウスの配慮がありがたく、
ちゃんとステージに向き合うことができた。
開演時間も5分押し程度で、
ライヴとライヴの間のステージのセットチェンジも早く、
両バンドとライヴ・ハウスのビシッ!とした姿勢のなせるわざである。
トラブルが起きた場合は致し方がないにしても時間などがルーズだと雰囲気がダレるし、
ライヴ全体の緊張感にもつながるから大切なのだ。



GAUZEの企画の“消毒ギグ”に出演する際は後にやることが多いthe 原爆オナニーズが、
この晩は先にプレイ。
ステージに現れたタイロウ(vo)の開口一番は「今日は東京大空襲の日」である。
昔はEPやアルバムをリリースするのに“そういう日”を選んで出していたほど
ポリティカルな“記念日”に敏感なthe 原爆オナニーズ。
今の日本だと致し方がないと承知はしつつ、
ほとんど“一色”の状況の中で埋もれてしまいがちな3月10日の話題をいきなり持ってきたのは
さすがと言うほかない。

続けざまに「GOGO 枯葉作戦」でスタート。
否が応でも枯葉剤をイメージするお馴染みのオープニング・ナンバーだ。
84年のデビューEPから目下の最新作『Solid』(2010年)までの曲をプレイしていき、
中でも『All The Way』(93年)の曲は自分が一番好きなアルバムの一枚だからうれしい。
特にこの日は比較的よくライヴで聴ける「Misunderstand」はともかく、
the 原爆オナニーズの激レアなハードコア・パンク・ナンバーでライヴでもレアな「Genocide」もやったが、
再びMCで絡めたように
その曲を3月10日に披露したのも米国による67年前の東京大空襲の日というのを意識してのことだった。

もちろん基本はお客さんに楽しんでもらうステージである。
ステージでもよく「おじさんだから」と言ってきているが、
この晩は「おじいさんだから」と一言断りながら“水飲みタイム”を設けたタイロウ。
だが時に三島由紀夫や高倉健に見えたほど精悍で血色が良かったタイロウはよく動き、
お客さんにマイクを向けて歌ってもらったりするほか、
クラウド・サーフで観客の波にも乗った。

演奏もまさに伝統的で最新型の現在進行形のパンク・ロック。
それにしても気持ちいいビシッ!とした音だ。
エイト・ビートと呼ぶには独特だし、
メンバーも含めてthe 原爆オナニーズのことを“原爆”と省いて呼ぶ人が多いので略させていただくと、
最初から最後までずっと貫かれる“原爆ビート”に酔うしかない。

普段よりタイロウのMCは少な目で話しても簡潔だったためか、
いつも以上にライヴ全体のリズム感が良かった。
時間が長めのライヴだとカヴァーをたくさんやることも多いが、
この日はカヴァーが外道の「香り」とRAMONESの「Psycho Therapy」だけだったのも、
全体の締まりが良かった一因かと思う。
「50分はやりましょう」という取り決めみたいな話を両バンドでしていたらしいが、
色々な曲ができる50分強のステージに
ぼくは時代に流されたことがないパンク・バンドの凄みも見た。

なお5月19日(土)には
かつて東京の拠点だった渋谷のLA MAMAで結成30周年記念ライヴを敢行予定とのこと。
あっ!と驚くスペシャルな企画をいくつか考えているみたいだから楽しみである。



GAUZEのライヴは、
「言いなり」~「Children Fuck Off」という
セカンドの『Equalizing Distort』のラストの流れそのままでスタート。
「Children Fuck Off」は初期の曲でもあるから否が応でもいきなりヒートアップした。

新旧織り交ぜた曲をまさに次々と連射。
セットリストの展開が心憎い。
「Pressing On」~「Crash The Pose」という流れも『Equalizing Distort』の頭の曲順だった。
ちなみに後者はNAPALM DEATH
『The Code Is Red... Long Live The Code』の日本盤ボーナス・トラックでカヴァーしたことでも知られる。
もちろんアルバムどおりの曲の並びばかりではないが、
「Fuck Head」~「Coretic」というファースト『Fuck Heads』の曲が続いたところでは燃えずにはいられない。
やっぱり昔の曲は特に感慨深いものがあり、
オリジナル・アルバム未収録の極初期の曲「アンチ・マシーン」も披露。
ひたすら目頭が熱くなってきた。
自分の中から何かがこみあがってきた。

フック十分の楽曲クオリティの高さにもあらためて感嘆した。
長年ライヴを続けて磨かれてきている曲の数々は
アルバムの焼き直しとは別次元で深化した“最新のアレンジ”でますます鮮度と強度が上がっている。
サビに英語も多用したセカンドまでの曲も、
日本語の深さを体現しているサードの『限界は何処だ』以降の曲も、
恐ろしく小気味よく身体を打つ。

言わずもがな決してノイジーな連射ではない。
ヴォーカルも含めて信じられないほど緻密なリズムは多彩だし、
曲によってねじこまれる簡潔なギター・ソロにも痺れる。
音楽としてホント優れていると思うが、
優劣で語ることをファックしたのがパンクだからそういう物言いはふさわしくないだろう。

完全ノンストップでまさに次から次へと曲が繰り出されてくる。
まるでワン・ステージすべてで一曲の如しである。
ライヴの全体の強烈な加速度が息をつく間や気がたるむすきを与えない。
恫喝や暴力で脅すことなく強烈なサウンドだけで持続させる緊張感により、
ステージに向き合ってバンドと対峙する真剣勝負のハードコアな空間が生まれていた。

トータル・ジャスト60分40曲。
むろんいつもと同じく曲間0秒。
むろんいつもと同じく能書き無し。
姿勢変わらずである。

個人的にGAUZEのライヴには印象に残るものがいくつかあり、
GAUZEにしては異例の大会場の今は亡き新宿リキッドルームにおける
SxOxBのヴォーカルだったトッツァンの追悼イベントのステージもその一つ。
対照的にかなり小さなライヴ・ハウスでのこの晩のライヴは、
30年観てきて最高のステージだったと言い切れる。
常に今がベスト。
おのれを律していなければできないストイックなほどビシッ!と引き締まったステージに、
感動すら覚えた。



それにしても二万電圧の出音は抜けがよくて気持ちいい。
音がでかすぎてバンドが何をやっているのかわからなくなるというのではなく、
音がでかいにもかかわらずいい意味で分離がよくてハジけている。
“パンクな音”というより、
あくまでも“パンク・ロックの音”をステージからフロアーにしっかりと放射。
ナイス!なライヴ・ハウスだ。


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コメント

チケットがとれず、その日は行けませんでした。

消毒GIGや、GAUZEのGIGは都内に結構観に行きますが、音で考えさせられる、思わされるGIGです。


現在進行形とは正直、難しいです。

それをGAUZEは貫き通していると思います。

聴いたことがない、聴く機会がない、購入する手段がわからない、ライブハウスが入りにくい、等の人々は沢山居ると思います。


行川さんの記事で少しでも聴く機会が訪れれば、ガーゼサポーターとしては嬉しく思います。


関西のGRIFFINも同じ同上に当てはまります。


この2バンドを極少量の人々でも良いので、聴いてもらいたいものです。


レポート、楽しかったですo(^-^)o

ALL THE WAYって1番ハードコアテイストを感じるアルバムでぼくも好きです。昔は客に唾を吐いてMCなんかやらなかったのに数年前見て優しいMCの多いライブに驚きました。ガーゼはライブでもアイデアが豊富ですよね。テクニック的にも上手いんですが、ライブの曲の流れには「間」を感じます。時々、ガーゼが世界一のハードコアバンドだと感じます。

書き込みありがとうございます。
>ITOさん
当日券は多少余裕があったようです。昔も少なかったわけではないですが、ライヴのお客さんが増えていますし、何より「昔は良かった」というのと対極なところにインスパイアされます。歳を重ねるごとにレイドバックどころか強力になっていますから。タイプは違いますが、確かにGRIFFIN~VANQUISH SOUND ENTERPRISEも、わが道を行っていて近いものを感じます。
>かくさん
『All The Way』あたりからソリッド感が増した気がします。ツバを吐いていたとは知らなかったです。GAUZEは音楽性もライヴの方法、パンクとしての活動姿勢も独自のDIYな開拓者だと思います。

おひさしぶりです

行川さんごぶさたしてます
長崎在住のKxHxRです。
臨場感のあるライブレビューでうらやましい限りです。
最後のリキッドのくだりを読んで思わず懐かしくてコメントした次第です。
あの日僕も観に行ってて行川さんに合いましたよね!
もちろんガーゼも良かったけど僕的にはリー・ドリアンの最後のグラインドボイス(勝手にそう思ってます)が観られたことが強烈に記憶にのこってます。ケヴィン・シャープ もよかったけどやはりS.O.B+リー・ドリアンは凄かったですよね。ちなみにあの日以来ガーゼ観てません(泣)

KxHxR@長崎さん、書き込みありがとうございます。
彼への特別な思いもあって、その新宿リキッドルームでのS.O.B.トッツァンへの追悼ライヴは様々なことが蘇ってきます。『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』でも書いてもらった担当編集者の方の尽力で、プレイヤー誌でライヴ・レポートも書かせてもらいました。
あの日、リー・ドリアンは飛び入りみたいな感じでちょっとだけのステージでしたが、それでもぼくも震えました。あの唯一無二のグラインド・ヴォイスを使わないのはホントもったいないです。その直後のインタヴューでも本人に言いました。CATHEDRALが解散した来年以降、本気で検討してほしいものです。

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Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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