なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ISIS『Live Ⅰ-Ⅵ』

DYMC-150.jpg


一昨年解散した米国のISISの6枚のライヴCDで構成したボックス・セット。
“Ⅰ”~“Ⅴ”は基本的に通信販売とライヴ会場だけで販売された音盤の再プレスで、
“Ⅵ”は今春LPとデジタル配信のみで発表される予定の音源だ。

ISISはスタジオ・レコーディング作品とライヴのギャップの大きさも魅力だった。
前者は端整な作りだが後者では、
スタジオの中では封印しているかのようなISISの中に潜むハードコアの血が横溢。
徐々にポスト・ロック化していったように見えて熱い血は年を追うごとに激しくなった。


Ⅰ『09.23.03』
2003年9月23日のサンフランシスコでのライヴを収めた約41分4曲入り。
このシリーズの中で特にラフなレコーディングだが、
ときおり観客の話し声も聞こえてくるように客席の中で録音したと想像できる生々しさがたまらない。
収録されている4曲はすべて当時の最新作であるセカンド・アルバム『Oceanic』の曲で、
原曲よりもやや長めにアレンジされている。
後期よりリフも曲のテクスチャーもわかりやすい演奏が当時の彼らを象徴していて興味深い。
「Weight」ではMOGWAIのベーシストのドミニク・アイチソンがギターで参加している。

Ⅱ『03.19.03』
2003年3月19日のスウェーデンでのライヴを収めた約66分6曲入り。
観客の前で行なったパフォーマンスだが、
ラジオのオンエア用にレコーディングされたものだから音質は万全でいわゆるスタジオ録音に近い。
『Oceanic』にも参加した27のメンバーが女声などで「Weight」に参加している。
時期的にやはりその『Oceanic』の曲が中心ながら、
ファースト・フル・アルバム『Celestial』の2曲も披露。
前記の『9.23.03』の半年前のパフォーマンスだが、
ハードコアな強度とドゥーミーな地点から起ったISISがネクスト・ステップに進んだ頃ならではの
刺激的なカオスが楽しめる。
「Celestial」がややレゲエっぽいアレンジになっているのも面白い。

Ⅲ『12.17.04』
2004年12月17日の米国ニューメキシコ州アルバカーキでのライヴを収めた約70分7曲入り。
『Oceanic』収録の代表曲「The Beginning And The End」を間に挟みつつ、
一曲外してはいるが、
この日ちょうどリリース前後だった3作目『Panopticon』をほぼアルバムの曲順で再現している。
ヴォーカルが前面に出きらないのも当時のISISのリアルな姿だろうし、
と同時にネクスト・レベルに進んだISISの飛翔が堪能できる。
適度に観客の歓声が聞こえて臨場感十分の録音状態もナイスだ。

Ⅳ『Selections 2001 - 2005』
2001年録音の4曲、
2002年録音の2曲、
2005年録音の1曲で構成の約64分7曲入り。
5回分のライヴから抜粋したCDながらも違和感のない流れになっているのは、
根が不変ということも意味する。
NIRVANAの「Endless Nameless」にもインスパイアされた「Improv 1 / Endless Nameless」を収め、
『Celestial』収録の「cft」「Celestia」のたおやかでトランシーなテイクも聴きどころだし、
『Panopticon』に参加したTOOLのジャスティン・チャンドラーが「Weight」にベースで参加した。

Ⅴ『07.23.06』
2006年7月23日のロンドンでのライヴを収めた約67分8曲入り。
4作目の『In The Absence Of Truth』のレコーディング終了直後のライヴと思われるが、
その収録曲を一切外しつつもバランスのいいセットリストである。
このCDのポイントの一つはジャスティン・K・ブロードリック(JESU)の参加だ。
ISISの最大ルーツの一つであるGODFLESHも率いたミュージシャンで、
「Weight」でギターを弾き本作全体のミックスも行なっている。

Ⅵ『11.16.07』
2007年11月16日の米国オレゴン州ポートランドでのライヴを収めた約75分9曲入り。
アーロン・ハリス(ds)が録音とミックス、
ジェイムズ・プロトキン(元KHANATE他)がマスタリングを手がけている。
「Weight」では“Ⅱ”でも顔を出した27の女声シンガーとギタリストが参加
(クレジットされてないがラストの「Carry」から女声が聞こえてくる気がする)。
当時の最新作『In The Absence Of Truth』のキラー・チューンである
「Not In Rivers, But In Drops」と「Holy Tears」は言うまでもなく聴きどころだが、
初期の曲「Red Sea」の披露もうれしい。
ロックのグルーヴとダイナミズムが増したドラムのポイントも大きく、
全体として“Ⅴ”から一気に突き抜けた凄みのパフォーマンスがまさに圧巻。
これぞISISである。


このシリーズで『Ⅲ』以外のすべてに収録されてライヴでゲストが加わる定番曲になっていた
「Weight」で見せる表情の違いで明らかなように、
進化と深化を続けたISIS。
それはアーロン・ターナー(vo、g)がヴォーカリストとして自覚的になっていく過程でもあった。
特に“Ⅵ”は声で表現することや声に何かを託することを体得したがゆえの念を感じさせる。
だがISISは今回のCDの“Ⅵ”の時期が絶頂ではない。
ヴォーカルもバンド内のテンションもピークだった解散直前の
2010年のライヴ作品がリリースされることを待ちたい。


★アイシス『ライヴⅠ-Ⅵ』(デイメア・レコーディングス DYMC-150)6CD
CD一枚一枚がオリジナル盤の端整なデザインをアレンジした薄手の紙ジャケット
(LPの紙ジャケ・リイシューによくある内袋のミニチュアみたいな体裁)に入っており、
それらが小型の紙のケースに収納されている。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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