なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

NIG HEIST『Nig Heist』

NIG HEIST『Nig Heist』


カリフォルニアの初期ハードコア・シーンから出てきた“害毒パンク・バンド”のリイシュー盤である。
これまた昨夏発売されたものだが、
レコード・コレクターズ誌の“リイシュー・アルバム・ガイド”で取り上げそびれたからここで紹介。

ジャケットも含めて84年にリリースされた唯一のアルバム『Snort My Load』が元で、
今回は97年に2枚組CDで再発された曲を本編+αを収めたLPとライヴCDに分けてのリイシューだ。

映画『アメリカン・ハードコア』の中でもセクシストすれすれの猥褻歌詞で目立っていたバンドである。
このジャケットも児童ポルノに厳しい今の欧米圏ではキワドイのではないのだろうか。
LPのレーベル面とCDの盤面のデザインも昔の三流エロ劇画、
いや公衆便所の壁の落書きみたいに下品極まりない。


BLACK FLAGのローディやサウンドマン、そのプロデューサーのスポットによるバンドとのことだが、
『アメリカン・ハードコア』の本などによればライヴではそのメンバー自体も演奏していたという。
というわけでBLACK FLAGのメンバーだった
グレッグ・ギン、チャック・ドゥコウスキ、デズ・カデナ、チャック・ビスキッツ(元D.O.A.
が書いた曲が半数を占める。

後期BLACK FLAGに初期GERMSが“悪いモノ”を打ち
ますすます道を踏み外されたかのごときフリーキーな曲だが、
演奏はけっこうビシッ!と執り行われている。
リマスタリングしてあるのか音はけっこうカッチリしていて、
サウンド・プロダクションはBLACK FLAGよりも“良”と言える。
SST Recordsからリリースされても不思議はない支離滅裂な音楽性だが、
ジャズやファンクやメタルを取り入れるにしても意外と巧く、
調子に乗って音楽的にパンクから逸脱して歌もふざけすぎだからSST不可!だったとも想像できる。

ルー・リードがVELVET UNDERGROUND時代に書いた
「Here She Comes Now」のカヴァーも原曲のメロディを活かしてやっているが、
「If She Ever Comes」と変えた曲名から察するに卑猥な替え歌にしてそうだ。
そもそも基本的に“乱交パーティ・バンド”のノリで、
“プッシー!プッシー!”のお馬鹿さんバンド・・・
いや、そうとは言い切れないストレンジな本格派の音楽性に驚き笑うしかないのであった。


ライヴCDはヘンリー・ロリンズが編集したもので、
約73分のパフォーマンスが1トラックに詰め込まれている。
ステージに立っているメンバーは不明だが、
BLACK FLAGそのもののリフもけっこう聞こえてくるから彼らも演奏しているのかもしれない。
終始ザワザワしていてトークが多く、
「pussy!」「cunt!も頻発のグダグダの俗悪ライヴが楽しめる。


BLACK FLAGのアートワークで知られるレイモンド・ペティボンの97年執筆のライナーとイラスト封入。
ジャケットの作りも含めてDRAG CITY Recordsらしい丁寧なグレイト・リイシューだ。


★NIG HEIST『Nig Heist』(DRAG CITY DC30)LP+CD


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コメント

バンド名もギリギリですね。ラプチャーのレーベルから出てたHEISTっていうバンドはかなり聴きました。公衆便所に落書きするような人は今はネットに書いてるのか、ずいぶん減りましたよね。落書きが充満してた時の公衆便所は場所だけに色んな感情になりましたね。そんな例えのバンドは聴かないわけにはいきません。

かくさん、書き込みありがとうございます。
HEISTというバンド、名前はここからなのかもしれませんね。
ネットが広まって公衆便所の落書きは激減したでしょうが、密室ならではの情念に満ちていて気合入っていましたね。ポップ・カルチャーみたいに賞賛されるようなやつじゃなく・・・・ポップになりえない・・・・だからこそみんな本気で緻密に書いていたのです。そんなに他人に迷惑かけてない落書きでしたし、理想のアナーキズムみたいなもんでした。このレコードもそんな感じです。

ホント、情念、気合いの手書きでしたね。やり場のない、居場所もないようなそんな感じでした。当時、自分の中ではADKのバンドとスターリンがそんな落書きとリンクしていました。今週の奇形児は楽しみですね。

かくさん、書き込みありがとうございます。
なるほど・・・・ADKとスターリンとの接点は気づかなかったです。まさに、やり場のない・・・・・落書きでもそういうものは心に満ちていますからね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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