なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

STORM CORROSION『Storm Corrosion』

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スウェーデンのOPETHのミカエル・オーカーフェルトと、
英国のPORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンによる、
フロントマン同士のプロジェクトのデビュー作。

PORCUPINE TREEといえば元JAPANのリチャード・バルビエリが鍵盤楽器を弾く、
現在進行形のサイケデリック/プログレッシヴなロックを追求するバンドだ。
そのリーダーがデス・メタルから進化したスウェーデンのOPETHのリーダーと組んだのだから、
以前からお互いの作品に関わって交流が深いとはいえ世の中何が起こるかわからない。


PORCUPINE TREEのメンバーで2000年代後半以降のKING CRIMSONの一員でもある、
ギャヴィン・ハリソンもメンバーがドラムでささやかに参加。
ストリングスのゲストも呼んでいるが、
ほとんど二人だけで演奏している。
エレクトリックな楽器も使って局所的にヘヴィになるとはいえ
ギターをはじめとする弦楽器を中心にアコースティックな肌触りを大切に奏でる。
インスト・パート主体ながら共にリード・ヴォーカルをとったと思われ、
デュエットのように聞こえるところもある。
もちろんデス・ヴォイスは使わずに歌声はまろやかだ。

OPETHやPORCUPINE TREEのプログレ要素の純度の高めたかのようで、
特にOPETHの近作の曲に通じるムードが漂う。
ただしアルバム全体を見れば多少ドラマチックとはいえ落ち着いた趣で
派手な炸裂プレイはないし抒情的というのともちょっと違う。
強引に70年代初頭のKING CRIMSONのアルバムを引き合いに出すとしたら、
『Lizard』や『Island』の世界。
たそがれのクラシカルなギター・ソロも聴かせる。
JAPANで思い出したがデイヴィッド・シルヴィアンのソロ作に通じる詩的な枯淡の味わいも滲む。

それでもダイナミックなのは二人の意識がそうさせるからだ。
二人ともチマチマチマチマした息苦しい内向き志向なんかハナっから持ち合わせてない。
世界は広い。
誰であろうと生きている限りは世界のすべての人間と関係があるし邂逅はいくらでもありえる。
そんな中で必然的に出会った二人のアーティスティックな宴だ。

スイス出身のアーティストであるハンス・アーノルドの絵のジャケットからイメージできる空気感がふくらんでいき、
伊藤政則執筆のライナーで引用されたスティーヴンの言葉の
「背中合わせに存在する美しさと身の毛もよだつ醜さといった不一致の調和」そのものである。
目の前で鳴らされているような生々しい音の仕上がりも特筆すべきで、
ノイズ・アンビエントのパートも効果的だ。
長めの曲ばかりにもかかわらず時間の長さを感じさせない。
静謐なヴァイブレイションに貫かれて命が宿る欧州の絵画的な映画の如き律動が聞こえる。

付和雷同の世の流れとは関係なく音楽を追求する者同士の人間的なつながりの深さを知らしめる一枚。


★ストーム・コロージョン『ストーム・コロージョン』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-14459)CD
本編はトータル約48分の6曲でまとめられているが、
日本盤は本編の曲の興味深いデモ・トラック2曲追加の約67分8曲入りで歌詞の和訳付。
5月9日(水)発売。
ちなみに実際の日本盤のCDのジャケットは↑の画像と違って上にプロジェクト名は入ってない。


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スウェーデンのOPETHのミカエル・オーカーフェルトと、英国のPORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンによる、フロントマン同士のプロジェクトのデビュー作。PORCUPINE TREEといえば元JAPANのリチャード・バルビエリが鍵盤楽器を弾く、現在進行形のサイケデリック/プロ...

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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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