なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

JK FLESH『Posthuman』

DYMC-163.jpg


NAPALM DEATHのデビュー作『Scum』の前半を占める86年録音の曲のギタリストで、
その後にGODFLESHやJESUなどで活動してきている英国出身の音楽家、
ジャスティン・K・ブロードリックの実質的なソロ・ファースト・アルバム。
マスタリングとアートワーク以外のすべてを一人で手掛けている。

ジャスティンには、
NAPALM DEATH加入前の80年代初頭からやっているFINALというプロジェクトもある。
ただFINALもソロっぽいとはいえゲストが入ったレコーディングを含むが、
本作のレコーディングは完全独演だ。


“flesh”という言葉を名前に付けているだけに、
やはり80年代後半から2000年代初頭に率いていたGODFLESH(特に前期)を思わせる。
とりわけ最初の3曲のスロー・ヘヴィ・チューンは“2012年のGODFLESHサウンド”だ。
ISISのリーダーだったアーロン・ターナーとのGREYMACHINEを一人で展開したかのようでもある。

ただし4曲目以降はダブやダブステップなどの“ベース・ミュージック”の要素が強まっていく。
だがそもそもGODFLESH自体が一種の“ベース・ミュージック”だったではないか。

ジャスティンはかつて、
PANTERAの「Fucking Hostile」と「By Demons Be Driven」のリミックスもやった。
PANTERAが93年に数種類出したEP『Walk』のうちの一つに収録されていて、
インタヴューしたときに本人は半ば“仕事”だったと言っていたが、
その経験が無駄になったとは思わない。
もっと前にGODFLESHのEP『Slavestate』(91年)でリミックスものを入れたりしたとき、
ぼくは初めて彼を単なるロック野郎じゃないと思ったが、
本作は『Slavestate』に入っても違和感がないリズム・パターンの曲にも彩られている。

80年までのPiL
サード以降のKILLING JOKEをさらに先鋭化させた“ハーシュ・ギター(≠ノイズ)”や、
80年代初頭のKILLING JOKEのキーボードのようなエレクトロニクスも聞こえてくる。
言ってしまえばその頃のPiLや初期KILLING JOKEも一種の“ベース・ミュージック”だったから、
英国ポスト・パンクの流れをヘヴィに進化させた音とも言えよう。
というわけでマーク・スチュワート(The POP GROUP)のサウンドとも十分に共振している。
マークほど情念が渦巻くことはなくシャープ&クールな肌触りだが、
むろん暗黒重量級なのだ。

ヴォーカルも生々しい。
名前に“flesh”を含めているのは“生身の人間”という思いを込めたからではないか、
とも勝手に想像したくなるアルバムだ。
歌詞は不明だが、
“PostHuman(人間が終了した後にくるもの)”というタイトルにふさわしく、
浮ついた世のメッセージを吹き飛ばすサウンドであることは間違いない。

Play loud.
できればスピーカーから肌も感じたい。
少なくて頭で聞く表現じゃない。
耳だけでなく五感で聴く音楽だから。


★JK・フレッシュ『ポストヒューマン』(デイメア・レコーディングス DYMC-163)2CD
デジパック仕様。
本編約56分9曲入りで、
日本盤のみ本編の曲のダブ・ヴァージョンなどの5曲を収めた約32分のボーナスCD付。


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NAPALM DEATHのデビュー作『Scum』の前半を占める86年録音の曲のギタリストで、その後にGODFLESHやJESUなどで活動してきている英国出身の音楽家、ジャスティン・K・ブロードリックの実質的なソロ・ファースト・アルバム。マスタリングとアートワーク以外のすべてを一人で?...

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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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