なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

TERRIBLE FEELINGS『Shadows』

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女性ヴォーカルを擁するスウェーデンのパンク・ロック・バンドのファースト・アルバム。
3枚の7”レコードで発表した8曲とのダブり無しの真っ向勝負で、
さらに奥底へと進んだ珠玉の作品である。

GORILLA ANGREBやVICIOUS~MASSHYSTERI、BOMBETTESのラインの
2000年代後半以降の北欧パンク・ロックの流れを感じさせる。
と同時にジャケットのメンバーの風貌からもイメージできるような、
サイケデリックやトラッドや60年代のブリティッシュ・ビートとも触れ合った深いサウンドに身震いするのだ。
ほとんどが内に秘めたエナジーを静かに燃焼するパワフルな疾走ナンバーだが、
いい意味でパンク云々を超えた一つの音楽として一つの表現として涙が出るほど素晴らしい。
幽玄とすら言える世界が広がり、
ある種の“魔法”が漂うほど音楽の可能性にあふれている。

CDや他のレーベルのLPだとどう鳴るのかわからないが、
ぼくが買ったLPだと呼吸すら聞こえてくるほど深すぎる音の彫りに痺れる。
ギターとベースとドラムの響きにここまで命が宿るものなのか。
しっかりしたレコーディング作業の賜物というだけではなく、
TERRIBLE FEELINGS自身のピュアな表現力と真摯なミュージシャンシップによるものだ。
ヴィブラフォン、グランド・ピアノ、タンバリン、ハモンド、ハーモニカが彩りを添える
アレンジ・ワークも筆舌に尽くしがたい。

たおやかで翳りを帯びたヴォーカルはますますディープに迫り、
パンクによくある芝居がかった歌い方とは別次元のまっすぐな歌唱に胸が打たれるばかりだ。
歌詞は英語。
一人称はほとんど“I”である。
大半は“わたし”と“あなた”の“タイマン勝負”で、
ここぞというときにしか“we”は使わない。
傷を舐め合う“仲間”は求めず責任は自分が負う。
おのれに向き合って掘り下げなければ先に進めないから。
今置かれている“場所”から突き抜けるべく“I am all alone”と歌う疾走はとてつもなく切ないが、
だからこそ
か弱く見えて強靭なのである。

そんな言葉を追いながら耳を傾けていると泣けてくる。
まさに感動の一枚。


★TERRIBLE FEELINGS『Shadows』(SABOTAGE SABO50)LP+DLクーポン
ジャケットも内袋も味のある紙質で手元に置いておきたくなるトータル・パッケージもグレイト。
レコード盤も重い。
細かいところで多少違うところがあるのかもしれないが、
カナダのDERANGED Recordsからもリリースされており、
CDでも発売のようだ。


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コメント

グレイトですよね。

時代が時代なもんで「枠」を通り越してる気がします。


私が購入したLPは行川氏と同じですね。

内袋等、分かります(笑)

ITOさん、書き込みありがとうございます。
まさにグレイト!ですね。そう、内袋一つとっても表現になっているのです。場の空気を変える音の仕上がりや自己を見つめた歌詞も含めて、自分たちがやっていることに対する責任感や誠意も伝わってきます。ホントすごいレコードで頭デッカチなものがますます聴けなくなります。

やっと購入しました。ちなみに私はCDで入手しましたがこちらもうれしい紙ジャケで味があります。
通勤中ずっと聴いてますが正に涙腺ゆるみっぱなしで、胸が熱くなりました。本当に素晴らしい音楽ですね。文中にもあるようにパンク云々とか、ちょっと超越してるような印象で当分ハマリそうです。
7インチも入手せねば・・・。

chumbaさん、書き込みありがとうございます。
このアルバムはいい意味でパンク云々を超えた滋味があふれています。英語だからスウェーデン語のパンク・ロックが苦手な英米パンク・ファンの方にも受け入れられやいてのではないかと。
ぼくは現物を確認していませんが、3枚の7"をまとめたCDも日本盤で発売されているようですね。

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まとめtyaiました【TERRIBLE FEELINGS『Shadows』】

女性ヴォーカルを擁するスウェーデンのパンク・ロック・バンドのファースト・アルバム。3枚の7”レコードで発表した8曲とのダブり無しの真っ向勝負で、さらに奥底へと進んだ珠玉の作品である。GORILLA ANGREBやVICIOUS~MASSHYSTERI、BOMBETTESのラインの2000年代後半以...

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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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