なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

『Tokyo Flashback 7』発売記念ライブ(長谷川静男、織茂サブ・ユニット、東洋の魔女、でらくし、長谷川祐子+出口雅浩+内田静男、盆の窪)

東京フラッシュバック


ストロング・スタイルのインディ・レーベルの老舗PSFが、
東京のリアル・タイムのサイケデリックを提示するシリーズ・コンピレーションCDの第七弾の、
『Tokyo Flashback 7 P.S.F. Psychedelic Sampler 7』(PSF PSFD-189)の発売記念ライヴ。
9月13日に高円寺のライヴ・ハウスのShowBoatに行ってきた。
この界隈のミュージシャンにも何気にファンが多いパンク/ハードコアも、
能書きよりも音自体に本質が表れているわけだが、
同じように素行やファッションとは関係なく音そのものがサイケデリックな現在進行形の6組が集結した。


長谷川静男は人の名前ではない。
長谷川裕倫(あぶらだこ、kito-mizukumi rouber)と内田静男(kito-mizukumi rouber)のデュオの名前で、
これまでに3枚のアルバムをリリースしている。
長谷川はあぶらだこでも吹いている管楽器の篳篥(ひちりき)、
内田は弓も使ってベースを奏でる。
二人とも腰掛けてのプレイだが、
共にレコードやCDで聴いたら何種類もの楽器を使っているのではないかと思わせるほど、
多彩な音色のリアル・サイケデリック・ドローン・サウンドにうならされるのであった
ちなみにこの日の内田はLIMP WRISTのTシャツを着て演奏した。
VOL.0も購入してEL ZINE誌の次号を心待ちにするほどアンダーグラウンドのパンク/ハードコアを好む人で、
そういった匂いも表れているように思う。
なお例によって長谷川裕倫の方は、
翌日の仕事に万全を期すために速攻で帰宅の徒についた模様である。

織茂サブ・ユニットは、
インプロヴィゼイション・ユニットの“いろ”の二人を両親にもつ81年生れの織茂サブと、
77年生れの並木智彦によるデュオ。
織茂は自作の尺八、
並木はブルース・ハープを吹くのだが、
そのブレンド具合は筆舌に尽くしがたい。
特に織茂はエキセントリックでもなくトリッキーでもないにもかかわらず尺八の概念を変えるような演奏で、
歌心も滲みまくりなのである。

東洋の魔女はこの日唯一のロック・バンド・スタイルでいいアクセントになったが、
パフォーマンスそのものも目を引いた。
活動開始が昨年1月にもかかわらずじわじわと話題になっているのもうなずける。
光束夜から裸のラリーズの色を抜いてHIGH RISEを加味したみたいな……と、
ヴィジュアルも含めて思った。
といっても“東京サイケデリック・アンダーグラウンド”の様式美から解放された新世代の面白さを感じたし、
女性ならではのユニークなリズムのドラムでさらにポイント・アップ。
バンド名を告げる朴訥とした最後の言葉もグッときたのである。

でらくしは、阿呆船のメンバーでもある鈴木峻(sax、vo)の呼びかけにより、
ギター、ベース、ドラムの4人で昨年結成。
フリー・ジャズにハードコアの要素が加わったようなパフォーマンスだが、
鈴木は客席に降りてきてサックスを吹きつつ絶叫しまくってカオスを呼び込む。
ちなみにライヴでは一人腰掛けて高柳昌行も頭をよぎる演奏もしていたギタリストは、
グラインド・コア・バンドのSETE STAR SEPTや、
中学生棺桶とマグダラ呪念のスプリットCDも出したレーベルのLOST RIVERS PRODUCTもやっている人。
終演後に彼はCONCRETE SOXのTシャツを着て佇んでいたのである。

長谷川祐子+出口雅浩+内田静男は、
前述のCD『Tokyo Flashback 7 P.S.F. Psychedelic Sampler 7』にはルソンドゥロス名義で収録されている。
ヴォイスとギターの長谷川は秀作カセットもリリースしたonna kodomoで活動していた人で、
フルートとギターの出口は現代即興というプロジェクトも主宰してその名義のCDもリリースし、
ベースと“一弦”を操る内田は長谷川静男に続いてこの日2度目の登場。
長谷川の悠然とした声と3人のアコースティックな響きの音で幽玄な時を刻み、
内田が参加していたこともある灰野敬二のユニットの滲有無も思い出したのである。

そして盆の窪は2007年結成の即興トリオ。
ギター、コントラバス、キック抜きのドラム/打楽器により、
一般的な奏法に縛られぬ手法で音をハジキ出す。
極めて音数少なく寡黙なサウンドでフリー・ジャズからも現代音楽からも自由で静かに熱く息を吐く様は、
この夜の締めにふさわしかったのである。


まさにどこかのシーンに属しようがないほど音楽そのものがインディペンデントで、
アンダーグラウンドという言葉も関係ない深いところでやっている面々。
甘えようもないほど“個”が立つ人たちは強い。



<追伸>
PSF Records主催で10月20日(火)には
“ソンコ・マージュ VS 三上寛”というライヴが、
高円寺ショーボート(http://www.showboat.co.jp)で行なわれる。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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