なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

GOJIRA『L’Enfant Sauvage』

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96年結成のフランスの“プログレッシヴ・エクストリーム・メタル・バンド”の5作目。
ROADRUNNER Recordsとの契約に伴い今回めでたく日本盤も発売になる。

CAVALERA CONSPIRACYの2008年のデビュー・アルバム『Inflikted』とその後のツアーに
ベースと部分的にリズム・ギターで参加していた、
ジョセフ・デュプランティエ(vo、g)がフロントに立つバンドである。
権利関係でバンド名をGOJIRAに変えたとのことだが、
もともと日本の怪獣のアルファベット表記であるGODZILLAというバンド名を名乗っていただけに、
読み方はローマ字読みそのままの“コジラ”で問題ない。


実にユニークなメタル・アルバムだ。
世代的に聴いてきた音楽が近い米国産メタルコアとニアミスする音ながらも
“非馬鹿力”なヴォーカルも含めて単細胞ではなく生々しく、
プログレッシヴだが頭デッカチではなくダイナミック。
LAMB OF GODの近作でお馴染みのジョシュ・ウィルバーが共同プロデュースを行ない、
タイトな音作りに一役買っている。
と同時に、
ブルータルながら内にも向かっているヨーロピアン・テイストのサウンドにゾクゾクしてくる。
ところによってブラスト・ビートもブレンドしながら、
パワフルでありつつ陰鬱なミディアム・テンポのリフ中心に悲しみの旋律をじっくりと編んでいく。

影響を公言しているDEATHの流れをくむメロディアスなテクニカル・デス・メタルがルーツの音楽性だが、
ミディアム・テンポの曲の時のMORBID ANGELや80年代のMETALLICAの楽曲構成力と、
90年代以降のNEUROSISのスロー・ダーク・ヘヴィ・グルーヴを内包。
90年代半ばのNAPALM DEATHのようなシューゲイザー解釈も聞こえてきて、
HIGH ON FIREBARONESSのメランコリックな旋律と、
CONFESSORの変則リズムのリフも絡み合ったかのような音像も呈す。

KILLING JOKEがエクストリーム・メタルに挑んだようなスタイルに加え、
ミカエル・オーカーフェルト(OPETH他)のノーマル・ヴォイスみたいな歌唱も聞かせるヴォーカルも、
デリケイトなブルータリティで魅せる。
歌詞は英語だが、
声の響きと共振して意識の壮絶な炸裂である。
やはりアメリカをはじめとする世界の主流を意に介さないフランスのバンドならではの
“I don’t care”アティテュードが非常にたのもしい。
「The Axe」の歌詞みたいに“自分で自分に向けた刃に脅されてきた”ような内容なのだ。

他者を非難するばかりの人間は免罪符が欲しいだけでしかない。
だからこそ我が道をゆくハードコア極まりない歌詞を見てGOJIRAに深く惚れる。
自己を掘り下げたところからしかナマの表現は生まれ得ない。
周りに流されず独自の政治的な意識を隠し持つバンドでもある。
世界中で当時多発する森羅万象の痛みを集約して、
デス・メタルとブラック・メタルのリアリスティックなネクスト・ステップに挑んだかの如き、
強烈な孤高の綴れ織りがひたすら美しい。

昔から英語圏に媚びぬお国柄も相まってロックがあまり育たないフランスの中から出てきた
凛々しいフレンチ・テイストあふれるエクストリームなメタルの佳作である。
オススメ。


★GOJIRA『ランファン・ソヴァージュ~野性の少年~』
日本盤は2曲ボーナス・トラックが追加された約61分13曲入りで、
そのすべての歌詞と和訳が付いている。
6月20日(水)発売。


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コメント

ST. VITUS、RUSH、GOJIRAの三枚を購入しましたが、どれもカッコ良くて愛聴しております。とくにGOJIRAはシーシェパードをバックアップしてるということで嫌われがちですが、彼らが創り出す音は本物だと思います。
他にはTHE CULTとSHADOWS FALLの新譜をよく聴いてます。前者はイアンの円熟味を増した「うたごころ」に惹かれます。後者もブライアンの歌唱力UPと、ギタリストが全力でデス声をふりしぼってバックアップする姿がいじらしくて思わず聴き込んでしまいました。

korokuさん、書き込みありがとうございます。
そうなんです。実は文中で故意にぼかしたのですが、GOJIRAはシーシェパードをサポートしているんですよね。でも全面肯定する“信者”になる必要はないわけです。近い感じでいわゆるミリタント系ヴィーガン・ストレートエッジ・バンドにしてもそうですが、本気のバンドは根本的に響きが違います。GOJIRAは周りのバンドと馴れ合ってない感じのところも好きです。
CULTはイアンがCRASSの追っかけだったことも含めて思い入れがあるのですが、新作でも伸び伸びしていましたね。SHADOWS FALLはまだ聴いてないんです。もちろん楽しみです。

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96年結成のフランスの“プログレッシヴ・エクストリーム・メタル・バンド”の5作目。ROADRUNNER Recordsとの契約に伴い今回めでたく日本盤も発売になる。CAVALERA CONSPIRACYの2008年のデビュー・アルバム『Inflikted』とその後のツアーにベースと部分的にリズム・ギター...

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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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