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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Dr. FEELGOOD『All Through The City(with Wilko 1974- 1977)』

Dr. FEELGOOD『All Through The City


パブ・ロックを代表する英国のDr. FEELGOODの初期、
つまりウィルコ・ジョンソン(g、vo)が音楽的なリーダーだった黄金時代のアンソロジー。
CD3枚とDVD1枚がハードカヴァー状の縦長のデジパックに収まり、
ウィルコが語る“ライナー”や写真、漫画で構成した52ページのブックレットが中綴じになっている。

ディスク1は75年のファースト『Down By The Jetty』とセカンド『Malpractice』の2in1、
ディスク2は76年のライヴ盤『Stupidity』と77年のサード『Sneakin' Suspicion』の2in1、
ディスク3は74~76年録音のレア音源集、
そしてDVDは数回分の生演奏映像で占められている。
『Down By The Jetty』は2006年のマスタリングで(たぶんデラックス・エディションのものと同じ)、
他の3枚のアルバムとディスク3の大半は2012年のマスタリングだが、
いずれもエッジが立っていながらもふくらみ十分のグレイトな音に仕上がっている。
というわけでLPでしか持ってなかったアルバムをCDでも聴いてみたいと思うファンには最適だし、
CDで全部持っているファンも持っていたくなるし、
Dr. FEELGOODやウィルコ・ジョンソンの入り口としても決して高価ではない。


同じくヴィック・メイルが手掛けてMOTORHEADの『Ace Of Spades』的な硬質ロックンロールになった
他の3タイトルは話題に挙がるが、
それらと比べてあまり顧みられな『Sneakin' Suspicion』の良さも一緒に楽しめる作りだ。
今でも世話をしている仲とはいえ当時アルバムに入れることをウィルコが拒否した
ルー・ルイスによるソングライティングの「Lucky Seven」と、
プライヴェイトなことを曲にしないバンドの禁を破ってウィルコが奥さんを題材に書いた「Paradise」は、
ウィルコ脱退の一因にもなった名曲である。
アルバム・タイトル曲と「Paradise」は今でもウィルコのライヴ・レパートリーだ。

ディスク3はアルバム未収録のシングルのB面の曲やEPの曲も含まれているが、
23曲中16曲が未発表音源なのがうれしい。
ウィリー・ペリーマンの曲「Dr. Feelgood」のカヴァーから始まるが、
その曲をJohnny Kidd & The PIRATES時代にカヴァーもしてウィルコのギターの“師匠”である
ミック・グリーン(PIRATES)が参加した別プロジェクトの3曲も聴きどころ。
カヴァーも含めて未発表曲やインスト・ナンバーもいくつかやっており、
ライヴも74年録音のテイク2曲+75年録音のテイク1曲収めている。

日本製のDVDプレイヤーで鑑賞可能のDVDは75年の5回の“ライヴ”から抜粋されている。
3回分のテレビ・ショウの11曲(計約33分)と、
2回分のライヴの11曲(計約32)分+インタヴュー数分という構成だ。
アルバム・リリースがまだ1~2枚の頃で収録時期が近いだけに曲のダブりは当然多いし、
ステージ上で前進と後退を繰り返す弦楽器隊の独特の動きなどステージングも大きく変わることはない。
でも撮り方が別というのも功を奏して全パフォーマンス違って見える。
観客もそうだが、
演奏もそうだし、
メンバーの表情も
メンバーの“足さばき”もそう。
ヴィジュアル的にも楽しませるバンドだったとあらためて思わされるのであった。


★Dr. FEELGOOD『All Through The City(with Wilko 1974- 1977)』(EMI 5099955980524)3CD+DVD


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コメント

美味し過ぎなものが出ましたね。ソリッドでふっくらした音はこのバンドの魅力だと思いますが、さらに良い感じになってるという事はほって置けません。時々このバンドにパンクのキーワードが出るのは事実で間違えはないと思ってますが、聴いてるとどうでもよくなってる自分が毎回います。極めてシンプルなんですが、カバーは出来ても、味までは絶対に他のバンドが出せないのがこのバンドとモーターヘッド、ラモーンズだという事はこの3バンドを聴き続けてる所にあります。シンプルさとオリジナリティに乾杯!

かくさん、書き込みありがとうございます。
ファースト以外はLPしか持ってなかったので既発売CDとの音の比較はできませんが、バンドの持ち味がよく出た音に仕上がっています。
パンクへの影響は、あくまでも70年代後半の英国の中での話で、たとえばアメリカは関係ないですから。
その3バンドは、ほぼ同時期に出てきたロックンロール・バンドの基本ですね。虚飾なくベーシックだからこそ味はまねできないわけです。

ギャング・オブ・フォーのアンディ・ギルがその影響を述べ、当時ようやく出た日本盤CDを早速入手するもR&B臭に馴染めずそのまま放置。当時の自分はイナタい音への抵抗があったのです。
その後数年経過で苦手だったヴェルヴェッツやテレヴィジョンなども克服消化し耳が肥えていくうち、ふとスイッチが入り埃を被った1stのCDをトレイへ…。その先はすべてが自分の中にストンと落ち、大袈裟な表現であまり好きじゃないが電流の走ったような衝撃。ああ、ギルのギターワーク、まさにウィルコ直系じゃないか!
60年代ビートバンドに先祖帰りする音でありつつソリッド感は70年代半ばのソレ以外のナニモノでもなく、かといって他の当時のどんなバンドの音とも似ていない。試しに70年代ロックのコンピを独自作成してみても、どこに入れても浮くフィールグッドの音。シーン的にははぐれ者であったニューヨーク・ドールズ系の音とも質感を異に、同じシーンのパブロックの範疇内からもはみ出すソリッドすぎる音。音楽的根っ子は明快でも天から降ったか地から沸いたか、真にプログレシヴなR&Bバンド。それが自分なりに定義するフィールグッドです。
にしても1st「ダウン・バイ・ザ・ジェティ」、米ボストンのザ・リアル・キッズの1stと並ぶ本当に完璧にグレイトなロックンロール・レコードであります。

Re: タイトルなし

Nuggetsさん、コメントありがとうございます。
僕も長い間・・・たぶん二十代頭ぐらいまではR&B~ブルースの匂いのするものはあまり受け付けませんでした。自分のロックの入り口で大好きなLED ZEPPELINやAEROSMITHもそういう色の濃い曲は古臭く感じてイマイチでした。80年代前半はハードコア・パンク/ポスト・パンクにどっぷりで、古臭いスタイルは敵!みたいな意識でした。
そんな中で、ウィルコ・ジョンソンが初来日!ってことになって、やっぱりこれは行かねば!というわけで、観に行きました。1985年、渋谷駅近くの駅前会館(今も健在)という建物の上の階にあったLIVE INNでのライヴを観て、姿勢を正した感じです。ちょっとしたカルチャー・ショックでした。Nuggetsさんが感じた感覚に近いと思います。パブ・ロックも超えていますね。
数年後に気づくのですが、灰野敬二がなぜウィルコ・ジョンソンを好きかもわかるというか、ギターのカッティングで二人には近いニュアンスがあります

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パブ・ロックを代表する英国のDr. FEELGOODの初期、つまりウィルコ・ジョンソン(g、vo)が音楽的なリーダーだった黄金時代のアンソロジー。CD3枚とDVD1枚がハードカヴァー状の縦長のデジ...

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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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