なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

GOJIRA『The Flesh Alive』

GOJIRA.jpg


今年リリースした鮮烈な5作目『L'Enfant Sauvage』でよりワールドワイドにアピールした、
フランスの“プログレッシヴ・エクストリーム・メタル・バンド”のライヴ作品。

日本製のプレイヤーで再生可能の2枚のDVDと1枚のCDで構成され、
2008年の4作目『The Way Of All Flesh』をリリースした後のツアー映像が大半と思われる。
DVD1には“Garorock Show”(約93分15曲)と“Les Vieilles Charrues Show”(約15分3曲)、
DVD2には“Bordeaux”(約80分14曲)と
“The Way Of All Flesh Inside”と題された『The Way Of All Flesh』のメイキング映像等(約62分)、
CDには65分13曲+PC等の“壁紙”用の7画像が入っている。
一つのツアーであまりセットリストを変えないバンドなのか3枚のディスクで大半の曲がダブっているが、
そのためか売値は比較的安価に抑えられているし、
むろん映像も音像も盤によって違うからGOJIRAの魅力が多角的に楽しめる。


DVD1はけっこう大きなライヴ会場で、
コンピューターも使っていると思しき映像もステージ後方に映しながら
Perfumeのライヴにも匹敵するディープな青のライティングとフラッシュを絶妙に使って鮮やかだ。
むろん基本的にはバンドの演奏と歌が主役のシンプルな作りだが、
観客も適度に映しながらのカメラ切り替えと
ところによって行われる画像処理も含めて、
映像の適度な“忙しさ”が場面転換の多い曲に連動してこっちの気分を煽る。

DVD2のライヴは、
よりラフな編集と映像でGOJIRAの“ワイルド・サイド”を浮き彫りにしている。
“The Way Of All Flesh Inside”の方は、
『The Way Of All Flesh』のレコーディング光景と
そのリリース後のツアーやリハーサルの模様をたっぷり収録。
フランス語の部分は英語、英語の部分はフランス語の字幕が出るが、
言葉数は少ない。
おふざけシーンも含むが、
GOJIRAのイメージどおりと言える静かでシリアスな空気感に覆われている。

そしてCDはさらに硬質な音の塊で容赦なく叩き込きこんでくる。
しかもCDにしては彫りが深い音でレコーディングされている。
一概にDVDとCDとでどちらが音的に優れているとかは言えないが、
本作だとDVDは実際大会場のためか広がりがあって音の分離がよく聴きやすい音になっていて、
映像も相まって各パートが何をやっているのかわかりやすい。
かたやCDは迫力で勝っていて凝縮感がたまらないのだ。


特にライヴはどれも、
歌詞も含めてロックが過激化したデス・メタルのアグレッシヴな進化形を見せつけて息を呑むばかりだ。
マックス・カヴァレラがやってきている一連のバンドの強靭なリフとプリミティヴなリズムを内包し、
後期DEATHのテクニカルかつ荘厳な味わいとMORBID ANGELの戦闘性がブレンドされ、
ニュースクール・ハードコアの強度でおのれのはらわたのサウンドを叩きつけるようなステージである。
それほど派手な動きはないが、
まさに渾身なのである。

適度にエレクトロニクスも使ってモダンな作りも施されている。
官能的な旋律と優美な残虐音もフランス産ならでは。
一般的なフランスのイメージと一味違うブルータリティという点で映画『カルロス』にも通じるが、
もっとギリギリでハードコアな表現だ。
と同時に霊的ですらある。

発している声の痛みに打ちのめされ、
ヒリヒリした音にも甘えがない。
ライヴはエンタテイメント性を含むステージにもなっているが、
どこを斬っても葛藤との格闘である。
言葉はウソをつく。
響きはウソをつかない。
そんなことを再認識もする

エコロジカルな思想のバンドでもあるが、
クリーンに滅菌されて血が通わない無味無臭のエコな音楽じゃなく、
タイトルどおりに“生き生きした肉”の震えをたたえる音楽である。
作品タイトルに引っかければ、
生きている肉を切ったら血が出ることを隠蔽はできない。
覚悟と体力を持って人間の残虐性にも向き合う。
だからこそGOJIRAのライヴには人間味を感じる。

浴びているとこっちも気合が入るし、
なおかつ覚醒もされる。
受け手も体力を必要とする生演奏だから必ずしも3枚続けて体験する必要もないだろう。
なぜなら一枚ずつでも血が入れ替わりそうなほど強烈な作品だから。


★GOJIRA『The Flesh Alive』(MASCOT MVD 7387 7 US)2DVD+CD
3面デジパックDVDパッケージで、
そのデザインをベースにした九つ折り両面ポスターと12ページのブックレットが封入されている。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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