なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

V.A.『The RAMONES Heard Them Here First(ラモーンズ・クラシックス)』

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RAMONESとジョーイ・ラモーン(vo)がカヴァーした24曲のオリジナル・ヴァージョンを収めた約65分のCD。

RAMONESのファースト・アルバム『Ramones』(76年)から
ジョーイ・ラモーンの『Don't Worry About Me』(2002年)までに収められたカヴァーを発表した順に、
クリス・モンテスの「Let’s Dance」(62年)から
ルイ・アームストロングの「What A Wonderful World」(67年)までのカヴァーを収録。
さすがにRAMONESのカヴァー・アルバム『Acid Eaters』(93年)の全曲は入れてはいないし、
他にも多少漏れはあるが(ライナーで詳しく言及している)、
BEACH BOYSの2曲をはじめとして大切な曲をフォローした作りだ。
ジョーイ・ラモーンがホリー・ベス・ヴィンセントと組んで82年に出したシングルの原曲である、
Sonny & Cherの「I Got You Babe」なんてレアなところも押さえている。


RAMONESのセンスを磨いたアーティストたちの珠玉の曲の連続だ。
結果的にパンク・ロックを生み出したバンドのRAMONESが、
なぜシンプルなテクスチャーにもかかわらず簡単にうかがい知れぬほどディープだったかが、
とてもよくわかる。

ジョーイ・ラモーンがここいらの曲のヴォーカルへの憧れを持っていたことも想像できる。
パンク特有の芝居がかった歌い方をしていた同期のパンク・シンガーとは完全に一線を画した、
ヴォーカルの秘密が脈打っている。
ジョーイも一般的な基準からいけば巧いシンガーではないのかもしれない。
我流の歌い方ゆえにそう聞こえないのかもしれないが、
あくまでもナチュラルな発声だった。

ハードコアの影響で
『Too Tough To Die』(84年)以降はスピード感や“硬質感”が増したRAMONESだが、
基本的に古き良きロックンロールやポップスを愛し続けたバンドだ。
ガキの頃にラジオから流れてきたヒット曲で焦がした熱き心が彼らのエナジーだから
ほぼすべてが60年代のロックンロール/ポップスで、
モノラル録音が半数を占める。

というわけで、
MOTORHEADが91年にリリースした『1916』に収めた「R.A.M.O.N.E.S.」と、
RAMONESが最終作『Adios Amigos!』(95年)でやったトム・ウェイツの「I Don’t Wanna Grow Up」(92年)は、
異色である。
80年代の曲がないのはともかく、
50年代の曲がリッチー・ヴァレンスの「Come On, Let’s Go」(58年)だけという点も特筆すべきだ。
むろんチャック・ベリーなども基本なのだろうが、
RAMONESには特別な“フィフティーズ信仰”がない。
だからこそポップな曲が書けたとも思える。

いつも言うが本物に古いも新しいもない。
潔癖症の“エコなプロデュース”で合理的に去勢されて即物的になってしまっている
ロックンロールやポップスの素敵な旨みを思い起こされもする。
音楽にとって表現にとって大切なものが伝わってくるし百万年後もとろけることができる。
ここにはロックンロールそしてポピュラー・ミュージックの奥義が詰まっている。
ルー・リードの名曲のタイトルを借りれば
まさに“ロックンロール・ハート”の一枚。


★V.A.『ラモーンズ・クラシックス』(Pヴァイン PCD-17570)CD
オリジナル曲のデータやシングル等のジャケット/レコード盤のレーベルや関連資料の写真などで彩った
厚手の紙の20ページのグレイト!なオリジナル・ブックレットに加え、
日本仕様版にはそこに載っている長文ライナーの和訳と歌詞が付いた16ページのブックレットも封入。


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コメント

ぼくは危ない時に音楽に助けられた一人ですが今も助けられています。そう考えた時にロックンロールレディオの歌詞が浮かんで、ラモーンズのメンバーもそうだった事を思い出して、この編集盤を聴くとグッときます。JOEYが他界前に「ワンダフルワールド」を選曲してる所も泣けます。しかし、これラモーンズファンじゃなくても思いっ切り楽しめる内容になってますね。ギリギリまで入れてあって、アートワークも見応え充分です。さすがACE。個人的にTIME HAS COME TODAYがカッコイイなぁと。こうやって聴いてみると改めてTRASHMENの面白さがわかります。浮いてるほど素晴らしいです。

かくさん、書き込みありがとうございます。
確かにこのCDはRAMONESの曲「ロックンロール・レディオ」を具体化させたもの・・・・と考えるとますますグッときます。ジョーイが生前に作ったソロ・アルバムは死期を悟った上の作りだったと思います。TRASHMENとMOTORHEADが一緒に入っているのが出来過ぎなようで必然・・・・それがRAMONESの奥深さでしょう。
ノスタルジーや懐メロとは別物でホント色々と示唆に富む一枚です。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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