なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Stephen Malkmus and the JICKS at 渋谷DUO music exchange 9月20日

マルクマス


PAVEMENTの実質的なリーダーだったことで知られる米国のスティーヴ・マルクマス(vo、g)と
そのバンドがミニ日本ツアーを敢行。
初日の東京公演を観た。
場内はほぼ満員である。

スティーヴのソロ名義で出したファースト『Stephen Malkmus』(2001年)リリース直後の
くだけすぎだった初来日公演とは全然違う。
昨年の最新作『Mirror Traffic』で叩いていたジャネット・ワイス(SLEATER-KINNEY~WILD FLAG)から
ドラマーがジェイク・モリスに替わったが、
彼のタイトなビートと味のあるコーラス・ワークがバンドを適度に引き締めた素晴らしいライヴだった。


『Mirror Traffic』の曲中心のセットリストで1曲目は「Tune Grief」。
その曲をはじめとして
80年代初頭のカリフォルニアのパンク・ロックを思い出すエイト・ビートも多かったが、
むろんサンフランシスコのFLIPPERを愛するスティーヴのゆるゆるセンスに覆われているから、
歌詞以前に曲そのもの音そのものがシニカルである。
それでいて風通しがよく
まるで開演前に飲んだ第三のビールの“のどごし<生>”みたいな味わい。
プレミアムの味じゃないが喉ごしが非常にイイんである。

やっていることは基本的にPAVEMENTと変わらず、
アメリカのいわゆるインディ・ロック~ギター・ロックだ。
スティーヴ自身もそのスタイルを確立させたミュージシャンの一人だから当然と言えば当然だが、
FALLやSWELL MAPSあたりの英国の“非メイン・ストリームのポスト・パンク”もまろやかに消化し、
今は“インディ・ロックンロール”と呼びたいサウンドに深化している。
たやすい音楽では決してなく、
意外と手ごわくてディープだ。

それにしてもスティーヴ、
今年46歳だと思うが、
ヴィジュアルの変わらなさも称賛すべきだろう。
スマートな“インディ・ロックおぼっちゃん”でいちおうスポーツマンであり、
ボーダーのポロシャツがよく似合う“ヘタレ・オルタナ大将”の佇まいも健在である。

シンガーにもかかわらずステージの真ん中ではなく
向かって左の端っこ立ってプレイしていたことにも、
爽やかなようでねじれたスティーヴの“根性”が見て取れた。
70年代後半のBLACK SABBATHにおけるオジー・オズボーンを意識していたというより、
自分が単なるフロントマンではなくギター弾きでもあることをほのめかしているようにも見えた。
時にギターを振り上げ、半分ジョークだろうが頭の後ろで弾いたりもした。
スティーヴのギターは変態でありキテレツだが、
カッティングなどのリズムがしっかりしているから気持ちいいし、
なにより官能的な音色がたまらない。

そんなスティーヴがだらけすぎなすように音でハッパをかけるのが、
ジョアンナ・ボーム(b、vo)、マイク・クラーク(g、kbd)、ジェイク・モリス(ds、vo)のJICKSの面々。
女性のジョアンナをはじめとして曲間のアットホームなぬるま湯具合もいいあんばいで、
基本的には終始まったりなのだが、
演奏が始まったら初来日時とは別バンドの様相でビシッ!とヤることヤってくれる。
本編ラストの長尺ナンバー「Real Emotional Trash」は曲名どおりのサウンドで、
ジャム・セッションっぽい演奏からサイケデリックな汗が滲み出て、
長いギター・ソロにはQUICKSILVER MESSENGER SERVICEを思い出すほどシスコ・サウンドの流れも感じた。

本編ではBEATLESの「A Day In The Life」のカヴァーをやり、
アンコールではPAVEMENTの「Speak, See, Remember」と「Here」も披露。
昔からやってきている曲をナマで聴き、
以前とは比べ物にならないほどのスティーヴの歌心の横溢がはっきりと伝わってきたのである。

実にナイス!なライヴであった。


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Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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