なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

SHADOWS FALL『Retribution』

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新世代の“ハードコア・メタル”をリードする米国のSHADOWS FALLの6作目。
パッケージの裏にロゴがクレジットされたワーナー系のILGやFERRET MUSICらの協力の下、
バンド自身のレーベルのEVERBLACKを立ち上げてリリースしたアルバムである。

ニック・ラスクリネクスが手がけた2007年の前作『Threads Of Life』がバンド内でも違和感を覚えたのか、
付き合いの長いお馴染みのゼウスにプロデューサーを戻してレコーディング。
中低音域がよく出た文句無しの仕上がりだ。
チマチマした息苦しさから解き放つパワフルなロックだから、
個人的にも最近のヘヴィ・ローテーションになっている。


メタル・コアとも言われるバンドだが、
アルペジオも多用して80年代のMETALLICAの流れをくむドラマチックなサウンドは、
けっこうトラディショナルでもある。
だからあらためてぼくは“ニュー・ウェイヴ・オブ・アメリカン・ヘヴィ・メタル”と言いたい。
しかもハードコアのエッジを思いっ切り効かせたメタルだ。

これまでで一番ヘヴィである。
それは気合の入った音だけの話ではない。
平易な言葉でザックリえぐる歌詞もバンド史上最もシリアスなトーンで、
ハードコア上がりであることが露わになっている。

一緒に歌えるキャッチーなフックも十分の短めの曲と6分を越える3曲とのコントラストが絶妙で、
楽曲クオリティも高い。
ツイン・ギターで当然ソロ・プレイもあるが、
コテコテの“泣き”のフレーズで埋め尽くさないのもSHADOWS FALLらしいところだ。

今回遂にボブ・マーリーの「War」をカヴァー、
というよりは“スラッシュ・リメイク”したテイクも収録。
ブライアン・フェアー(vo)が絶大な影響を受けたレゲエ・ミュージシャンであり、
ポリティカル&リアリスティックな歌詞も今回のアルバムにハマっている。

そのブライアンのヴォーカル、
アルバムのクレジットから察するにレコーディングでもポイントに置いていたようである。
たまに下手という意見も聞くし確かにとうてい上手いとは思えないが、
巧いシンガーを聞きたければ他を当たってくれ。
それこそカラオケボックスにだっていくらでもいるだろ。
歌でもなんでもそうだが巧いやつは味気ない。
“white trashな姿勢”の健在ぶりを示す“fuck”連発の新たな名曲「A Public Execution」をはじめとして、
そもそも不ぞろいなパンクっ気がブライアンの歌唱の持ち味ではないか。
前作ではやや強制的な“矯正”もぼくは感じたが、
今回は無理なく歌い倒しているのだ。


以下は、ぼくが買った↓のカタログ・ナンバーのデラックス・エディション盤の話。

まずボーナス・トラックでカヴァーが3曲追加されている。
オジー・オズボーン(BLACK SABBATH)がソロで発表した「Bark At The Moon」。
続いては先日のMAGMA'09でも熱演したハーレー・フラナガンが率いたCRO-MAGSの「Age Of Quarrel」で、
ハーレーがリーダーシップを握った89年の『Best Wishes』収録曲というのも渋い。
そしてダン・リルカー(BRUTAL TRUTH)も在籍のNUCLEAR ASSAULTの「Critical Mass」。
メタルとハードコアの間のSHADOWS FALL流の立ち居地がとてもよくわかる選曲で、
いずれも素晴らしい出来だ。

さらに一般の国内製プレイヤーで見られるDVD付である。
今年6月の“ミュージック&アーツ・フェスティヴァル”の模様を含むライヴも5曲収録され、
GRATEFUL DEADのTシャツ着用で超ロング・ドレッド・ヘアーを振りまわして歌うブライアンも拝める。
音質はまあまあだが、SHADOWS FALLのラフな近況といった趣でファンなら楽しめるはず。
さらにギターとドラムの“教則コーナー”も付いているのであった。

歌詞が読みやすいデザインのブックレット綴じ込みの三面デジパック仕様で重みもあるパッケージだ。


●SHADOWS FALL『Retribution』(EVERBLACK INDUSTRIES SHF2-521135)CD+DVD
このデラックス盤は限定だからお早めに。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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