なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

STONE SOUR『House Of Gold & Bones - Part 1』

HoGaB Part1 Cover_LR


SLIPKNOTのシンガーのコリー・テイラーがフロントに立つもう一つのバンドの約2年ぶりの4作目。
2部構成の前編だが、
最高傑作と言ってもいいナイス!なアルバムだ。


復活AMEBIXのドラマーとしても知られるロイ・マヨルガ(元NAUSEA[NY]~SOULFLY)も、
セカンドの『Come What(ever) May』(2006年)からずっとメンバーだ。
今回もダイナミックなビートでSTONESOURを支えながら数曲でシンセサイザーも弾いている。
ベースはSKID ROWの設立メンバーの一人であるレイチェル・ボランが助っ人で演奏している。
出てきたシーンや音楽的な“お里”が別々の面々が、
アイ・コンタクトみたいな調子で場を共にするロック・ミュージシャン同士のつながりがたのもしい。

TOOLやMUSEやBETWEEN THE BURIED AND MEなどに加え、
90年代のKING CRIMSONも手掛けたデイヴィド・ボットリルのプロデュース。
適度なメジャー感に覆われた緻密な作りで、
大スクリーンで見る映画のようなSTONESOURのスケールのでかさとデリカシーを
しっかりと音盤の中で息づかせている。
奥行きと広がりある音像も素晴らしく、
一発録りではないレコーディングにおけるプロダクションの大切さを再認識する。
ひとつひとつの響きは命であり、
それが伝わってこないとせっかくの演奏を殺すことになるのだ。

“PINK FLOYDの『Wall』 meets ALICE IN CHAINSの『Dirt』”という具合に
コリーが言い表したくなる気持ちもわかる作品だが、
まったりしたアメリカンなムードが漂いつつ、
もっとずっとアグレッシヴでアップ・テンポのパートも多い。
サビを設けたソングライティングで“歌ものヘヴィ・ロック”とも言えるが、
ロイ・マヨルガの影響なのかDEVIATED INSTINCTばりのメタル・クラスト風の曲もある。
一方で麗しいギター・ソロもふんだんに差し込まれ、
曲によってストリングスがささやかに挿入される。
エクストリーム・メタル以降のニュアンスが香るパワー・バラードもあるし、
ほのかにサイケデリック・テイストも曲によっては匂わせる。

つやっぽい歌唱でワイルドに濡れた喉を震わせるコリー。
歌の旨さと上手さがSLIPKNOTよりも際立つから繊細な痛みの歌心もはっきりと伝わってくる。
歌詞は“様々な苦悩と戦いを余儀無くされた男”の物語らしく、
“同情が無関心に変わる”と歌う曲「RU486」をはじめとして
葛藤ゆえのフラストレイションの意識の流れを音とともに描いてゆく。

プライヴェイトな内容にも思えるが、
自叙伝というわけではないとのことだから“俳優”のような感じで役に入り込んで歌い込んでいる。
やはりネガティヴな空気感が立ち込めているが、
あらゆる因習や集団から解き放たれるためにはこういう歌しかありえない。
世界との対峙しつつ、
やはり“一対一で向き合う”のである。
ワシントンDC産ハードコア・パンク・バンドの方のYOUTH BRIGADEが「Point Of View」で歌った、
“外側で起こる対立は無意味でむなしい/内面の苦闘こそが変化をもたらす”というフレーズを思い出す。

善悪の彼岸に突き抜けるための佳作である。


★ストーン・サワー『ハウス・オブ・コールド・アンド・ボーンズ パート1』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-14689)CD
初回のみ、観音開きみたいな折り畳み式の特殊紙ジャケット仕様。
日本盤は、
8ページのオリジナル・ブックレットに載った本作付随の長編ストーリー(byコリー・テイラー)の和訳や
本編の歌詞とその和訳が掲載された28ページの日本独自のブックレットと、
1曲ボーナス・トラックが追加された47分12曲入り。
丁寧な作りのトータル・パッケージだから手元に置いておきたくなる日本盤だ。
10月24日(水)発売。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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