なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Ian Glasper『Trapped In A Scene - UK Hardcore 1985-1989』

book_hardcore CHERRY RED


ハードコアやOi!を含む80年代前半のUKパンク・バンドを扱った『Burning Britain - A History Of UK Punk 1980 - 1984』、
CRASS周辺のUKアナーコ・パンク勢が綴られた『The Day The Country Died : A History Of Anarcho Punk 1980 - 1984』に続く、
イアン・グラスパーによる80年代UKパンク本の第三弾である。


例によって基本的にはタイトルになった時期に活動していたバンドを一つずつ紹介していくスタイルで、
NAPALM DEATHから始まり、
EXTREME NOISE TERRORやHELLBASTARDやSTUPIDSやSNUFFをはさんでACTIVE MINDSまで、
偏向せずに当時のUKシーンのすべてを捉えている。
とにかく漏れがない……と思ったが、
気づいた限りでは結成が80年代の末だからなのかLEATHERFACEが抜けている。
それはともかくアルバムをリリースしたバンドはもちろんのこと、
7”レコードすら出してないバンドにもしっかりとページを割いており、
今回も鬼神の如き仕事ぶりである。

『Burning Britain~』や『The Day The Country Died~』よりは写真が少なめだが同じような構成で、
新たにインタヴューして得た発言をふんだんに盛り込みつつ筆者の意見も交えてバンドを紹介していく。
たとえばNAPALM DEATHだと、
87年リリースのデビュー・アルバム『Scum』のレコーディング時に唯一のオリジナル・メンバーだった、
ニック・ブレンにも話を訊いている。

内容は当然超マニアックだ。
インタヴューの発言は語る人間によって言い回しが違うから時々わかりにくい表現も出てくるが、
筆者が書いた地の文は読みやすい。
身内だけがわかればいいみたいな文章とは次元が異なり、
伝えようという意思がみなぎっている。
様々なシーンやバンドなどとリンクさせながら話を進めているのも開放的な意識の表れだろう。
またしても個人的にインスパイアされた。

ハードコア・バンドにもドラマあり。
ポリティカルな曲にもドラマあり。
全528ページ。
凄まじいボリュームだが、
好きなバンドからじっくりと向き合いたい一冊である。


●Ian Glasper『Trapped In A Scene - UK Hardcore 1985-1989』(CHERRY RED BOOKS)
最後にEARACHE、PEACEVILLE、MANIC EARS、MEANTIMEのレーベル・インタヴュー付。
文章はすべて英語です。

PS
第四弾の『Armed With Anger, How UK Punk Survived The Nineties』 も2012年に出ています。
(2013年4月28日追記)


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コメント

少しだけハードに

夏のワンマンから、もう二ヶ月ほどもごぶさたしてしまいました!

先日のブログでは、行川さんにイノウエを知っていただくきっかけになった小野寺あやのさんのレポートが記されていて
(しかも、近江楽堂はいつか井上もワンマンを……と狙っていた場所でしたので)
大変興味深く読ませていただきました



また、ハードコアやOi!までは参りませんが
初の試みとしてこの11月4日にトロフィーズというロッケンロール・バンドとのツーマン・ライブを実施することになりましたので、
お知らせさせていただきます

イノウエユウ“リスペクト"ツーマンVol.4
『トロ&侑』
11月4日(水)
大久保ホットショット
出演:フィール'ズ(オープニングアクト)、ザ・トロフィーズ、井上 侑
開場:19時 開演:19時半
チケット:前売2,000円 当日2,300円(共にD別)

※実は名だたる凄腕スタジオ・ミュージシャンの集合体なトロフィーズ。先日の阿佐ヶ谷ではそのギタリスト・松尾バンナさんが一曲弾いてくださいましたですね。

ツーマンゆえ時間も長め、そして奇跡のセッションも(笑)みっちりリハを重ねた上で敢行いたします(内緒です)

ぜひいらしてくださいませ。

現場監督様
書き込みありがとうございます。
音楽的にはかなりかけ離れているにもかかわらず、このブログをチェックしていただいてうれしいです。
そうです、小野寺あやのさんのライヴを観に行って、たまたま同じ日に同じ場所でやった井上侑さんに出会ったのですね。
11月のライヴ、先のことはまだ何とも言えませんが、手帳に書いておきます。

てかあんた、英語読めないでしょう?

はじめまして

行川さんこんにちは。調べてもわからないのでちょっとお聞きしたいんですがこの本は三部全て和訳はされてるんですか?

シュウヘイ様

シュウヘイ様
ていねいな書き込みありがとうございます。
すべて英語で3冊とも和訳されてないです(その点を書き加えておきますね)。
でも、たとえばMAXIMUMROCKNROLLの文章によくあるクセの強さはなく、使っている単語や表現も平易です。内容はマニアックですが、だからこそ英語圏以外の人にもわかりやすく伝えようという気持ちが表れていますね。
このあたりのバントに強い関心を持っているのでしたら、飛ばし飛ばしでも読むと面白いと思います。

PS シュウヘイ様

シュウヘイ様
同じ筆者の『Burning Britain』の文章は、
http://www.cherryred.co.uk/books/book_burningbritain.php
で一部読めます。
これはVICE SQUADの項で、メンバーの発言の“”内は地の文の部分よりは多少読みにくいかもしれませんが。
最新刊の『UK HARDCORE』にも、バンドごとにこのようなディスコグラフィーが付いています。
参考になったらさいわいです。

MRRやPROFANE~は英語が難しくて興味があっても手に取りづらかったのですがこれなら読めそうなので探して読んでみます。ご丁寧に教えていただいてありがとうございました!

シュウヘイ様
コメントありがとうございます。
書き手にも寄りますが、ぼくもMRRやPROFANE~の英語にはある種のエリート臭を感じて読みにくかったりします。
音楽と同じく言葉にもその人の意識は表れますね。
チャレンジ、ぼくもうれしいです。

はじめまして

このブログで興味を持ち、今『Trapped In A Scene』を読んでいます。読んでいて聴いてみたくなったバンドがあればYouTubeで大抵聴けるので便利な時代です。そんな中、音源を残さなかったので聴くことができないSkum Dribblurzzzがかなり気になります(ライブをやってもギャラを受け取らなかったというエピソードも含めて)。

『Trapped In A Scene』の前は『Burning Britain』を読んでいました。この本は『パンク・ロック/ハードコア史』で知りました。ある本から新たな本を知ることは自分にとって読書の喜びの一つです。

これからも刺激的な本や音楽の紹介を期待しています。

駐輪場のカラスさん、書き込みありがとうございます。
イアン・グラスパーのこのシリーズはグレイトですよね。
読みやすい英語ですし、載っているバンドの系統の幅広さも素晴らしいです。視点の広さ深さを感じます。ぼくも死ぬまでには彼のシリーズ4作を読破したいです。
音盤化してなくても聴ける時代ならではの探求の仕方、いいですね。このシリーズのバンドには特にふさわしいと思います。ぼくもやってみたいです。
本から本を知る・・・・最高ですね。音楽でもなんでもそうですが、リンクしていていって掘り下げていくのは理想的です。そういう展開はトレンドに流されて触れたものとは違ってしっかりと自分の中に刻まれるものです。ありがとうございます。
PS
これ書いたときシリーズ最後と思って“最終章”と書いてしまいましたが、続きも出たので手直ししました。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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