なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ISIS『Temporal』

DYMC-177.jpg


米国ボストン出身で後期はLAを拠点にした“ヘヴィ・ロック進化形バンド”
ISISのレア音源をまとめたCDとミュージック・ヴィデオをまとめたDVDから成る編集盤。
日本盤はボーナスCD1枚追加の計4枚組で以下の文章も日本盤に準じている。
ディスク1のCDが約56分6曲入り、
ディスク2のCDが約56分8曲入り、
ディスク3のCDが約40分5曲入り(日本盤のみ)、
ディスク4のDVDが約34分5曲入りだ。
ジェイムズ・プロトキン(元OLD)が音のマスタリングを行なっている。


CDはほとんどが一般的には未発表の音源で、
『Oceanic』(2002年)のデモが3曲(うち1曲日本盤のみ)、
『Panopticon』(2004年)のデモが3曲(うち2曲同上))、
『Wavering Radiant』(2009年)のデモが4曲(うち2曲同上)、
『Wavering Radiant』制作前後の録音の4曲(MELVINSとのスプリット12”EPの曲も含む)、
『In The Absence Of Truth』(2006年)収録のキラー・チューン2曲のリミックス、
カヴァー2曲、
未公開曲が1曲という内訳だ。
時系列の曲順ではないが、
それでもCD全体の流れに違和感がないのはISISの肝が不変だった証拠である。

基本的にラフな状態で世に出さず緻密に仕上げたアルバム等で曲を発表してきたバンドだけに、
デモが非常に生々しく聞こえる。
ヴォーカルが入ってないものも含むがデモはすべて音盤としてリリースできるレベルの音質で、
曲の輪郭の大半が完成ヴァージョンと変わらないとはいえ肉感がかなり違う。
ISISを語る際に使われることがあった“ポスト・メタル”“ポスト・ロック”の匂いは薄く、
スキのない音像のオリジナル・アルバムのテイクより何倍もロックしていてライヴに近い。
ライヴと分ける意識もあったのだろうしISISのプライドが許さなかったのだろうが、
こういう音の仕上がりでもアルバム一枚作ってほしかったと思わされるエキサイティングな音なのだ。

先週のグレイトな日本公演でも“本家”が披露したGODFLESHの代表曲「Streetcleaner」と、
BLACK SABBATHの「Hand Of Doom」のレアなカヴァーも貴重だ。
前者はISISに影響力大のバンドでこのカヴァーはPIG DESTROYERとのスプリット7”EPにも収められ、
後者はかなりのレア音源でややオジー・オズボーンっぽいヴォーカルとブルース臭も香るギターが興味深く、
共にカート・バルー(CONVERGE)が99年に録音とミックスを行なっている。

『Wavering Radiant』収録曲の「20 Minutes / 40 Years」の“アコースティック・ギター・ヴァージョン”は
メロディの美しさが際立つ。
そして16分半に及ぶ今回唯一の完全未発表曲「Grey Divide」は2001年録音で2012年のミックス。
ラスト・アルバム『Wavering Radiant』に入れても違和感がないダイナミック&たおやかな曲で、
ほぼインストの“最後の新曲”ということでISIS自身に対するレクイエムにも聞こえ、
まさに埋もれていた名曲である。


DVDには、
『Panopticon』の1曲、
『In The Absence Of Truth』の2曲、
『Wavering Radiant』の1曲、
MELVINSとのスプリット12”EPの1曲の映像が入っている。

ジャケットなどのアートワークと同じく
プロモーション・ヴィデオというよりミュージック・ヴィデオと言うべきアーティスティックな作品で、
ISISの演奏シーンは一切無くメンバーは登場すらしてないように見える。
いわゆる“口パク”等の“演技”を彼らが潔しとしなかったのかもしれないが、
あれは冷静に見れば滑稽にも映るし映像を表現とするならばイカサマでしかない。
だがこれはパーフェクトにリアルな表現を追求したISISならではの映像集なのである。
サスペンス短編映画風あり、
モノクロのポーランド映画風あり、
『ホリー・マウンテン』などのアレハンドロ・ホドロフスキー監督の映画風ありで、
音楽と共振しながらイマジネイションを拡大させるのであった。


やはりISIS、単なる蔵出しリイシューとは次元が違う。
ファン必携。


★アイシス『テンポラル』(デイメア・レコーディングス DYMC-177)3CD+DVD
12ページのオリジナル・ブックレット封入の四面デジパック仕様で、
現在MAMIFFERなどで活動するアーロン・ターナー(vo、g)によるデザインのアートワーク。
日本盤は前述のボーナスCDと、
ISISと密な付き合いを続けてきた濱田忠(デイメア・レコーディングス)執筆の緻密なライナー付。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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