なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

MACHINE HEAD『MACHINE F**king HEAD Live』

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90年代初頭からコンスタントな活動を続けて7タイトルのオリジナル・アルバムをリリースしている、
北カリフォルニア・ベイエリア出身のグルーヴィな“モダン・ヘヴィ・メタル・バンド”のライヴ盤。
2003年リリースの『Hellalive』に次ぐ2作目のライヴCDだ。
昨年の『Unto The Locust』のリリースに伴うツアーの中から抜粋したテイクを編集したものらしく、
ディスク1が約58分の9曲入りでディスク2が約43分6曲入りというトータル約101分15曲入り。
むろん正確なタイトルは『MACHINE Fucking HEAD Live』である。


インターネット時代に突入してから世界中にライヴ音源が“無数乱流”しているわけだが、
それだけに今やライヴ盤をリリースするにあたっては作品化に対してのある種の“哲学”を要する。
今回のアルバムは観客の歓声や合唱も絶妙に挿入したミックスになっており、
演奏がしっかり聞こえると同時に臨場感も重視したと思われる。
全曲10分以内とはいえ1曲以外すべてが5分以上という長めの曲ながら一緒に歌えるパートも設け、
檄を飛ばしつつファンとの一体感を大切にするやり取りをはじめとして、
伝統的なメタル・パフォーマンスを引き継ぐMACHINE HEADならではの作りだ。
数回分のライヴをまとめたCDにもかかわらず流れがスムーズなのは、
テンションにブレがないからである。

“モダン・ヘヴィネス”とも呼ばれた90年代後半のグルーヴィなメタリック・サウンドの一翼を
KORNと共に担ったバンドだが、
MACHINE HEADは彼らの百万倍ハードコアの血が流れるヘヴィ・メタル・マナーにのっとっている。
跳ねるビートも使いつつスラッシュ・メタルの強度のリフと旋律で緩急のドラマを織り成し、
中低音がぐいぐい出ているミックスが奏功して腕っ節が強い音ながらも繊細な響きもたたえ、
激しい感情的な起伏をコントロールしながらおのれを解き放つパフォーマンス。
“剛”に見えて“柔”でもある。
ツイン・ギターのソロ・プレイも何気にリリカルだ。

意外と細部を緻密に作り込むスタジオ録音盤が“MACHINE HEAD”という名の兵器での戦争だとしたら、
本作は素手でケンカしているようなサウンドである。
ハードコア・スタイルのようで“泣き”の表情も覗かせるロブ・フリン(vo、g)の歌心も剥き出しだ。
だがスクリーモやメタルコアのバンドみたいにスクリームと歌唱を半ば機械的に分けることなく、
みんな混じっているからヴォーカルは生々しい。
それが自然ってもんだし人間味を感じる。

落ち着いた紳士的としても語りつつ観客にハッパを掛けているCDだが、
時にトレンドに流されながらも根は古典派の虚勢がぼくにとってはかわいい。
プリミティヴな威勢を刻んだベタなアルバム・タイトルも意外と小心者のロブ・フリンらしい。
だがバンドが変わるたびに多少スタイルを変えつつ、
王道でも流行りでもエクストリームでもない実は“狭間”のメタル街道を80年代半ばから歩む、
ロブ・フリンの鋼の執念が全編に宿っている。

愚直に活動を続けて着実に進み上昇しているバンドならではの足腰の強い鳴り。
肥大化したエゴを善人ヅラで隠蔽する浮ついた馬鹿はもういいかげんに勘弁してほしいものだが、
正直に“俺様”を貫くがゆえにファンが絶えぬ誠実な“馬鹿”はたのもしい。
このアルバムもブルータルなインテリジェンスに貫かれた馬鹿力に突き動かされている。
だから様式に甘んじることもない。

覚悟を決めたMACHINE HEADの熱い叙情が波打つ一枚。
オススメ。


★マシーン・ヘッド『マシーン・ファッキン・ヘッド・ライヴ』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-14784/5)2CD
8ページのオリジナル・ブックレットに加えて、
日本盤は収録曲のスタジオ録音テイクの歌詞とその和訳が載った28ページのブックレット封入。
ブラケースが紙ケースに収まった仕様である。
11月21日(水)発売。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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