なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

GREEN DAY『¡Dos!』

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『¡Uno!』に続く三連作の2作目。
オリジナル・アルバムとしては通算10作目で、
むろん今回もロブ・カヴァロがバンドと共にプロデュースしている。
またしてもケチのつけようがないパーフェクトな出来だ。


まっすぐなパンク・ロック・チューンが『¡Uno!』よりは少なく、
音楽的な広さと深さをさりげなく見せつける。
ラヴソングが大半と思しき歌詞の世界にぴったりの波乱万丈のエンタテインメント・アルバムである。
カントリー/フォーク・タッチで始まったかと思えばハードなロックンロールになだれこみ、
ドゥー・ワップ風の曲あり、
ハードなリフの曲あり、
ボ・ディドリーのリズムの曲あり、
ブルースのフォーマットを応用した曲あり、
女性のゲスト・ヴォーカルがラップを入れる曲あり
ブラジル音楽っぽいアコースティック・ギターが光る曲ありの、
恐るべきソングライティングに舌を巻く。

どんな曲をやってもパワフルで胸のすく“GREEN DAY節”になるミュージシャンシップの高さは、
メンバー一人一人が自分自身の音を持っていることに裏打ちされている。
音楽に向き合っている人間であれば当たり前のことだが、
GREEN DAYは音楽に対して本気だし努力を怠らない。
だからポップでメロディアスにもかかわらず響きのひとつひとつが生きている。
メンバー感のコンビネーションも適度にゆるくて絶妙なのだ。

凝って作り込んだアルバムではないが、
ヴォーカルやコーラスの重ねや音のバランス感など
メジャー・プロダクションならではの強みを活かした細部に対する気遣いが伝わってくるし、
何回も何回もしっかり耳を傾けたくなる仕上がりである。
ベースとドラムだけでなくギターもひっくるめてヘヴィなリズム・セクションは“歯ごたえ”十分だし、
風通しが良くて抜けがいい音なのにイイ意味で重い“ビート・ロック”だ。
ギター2本の編成になったことで昔のGREEN DAYではあまりありえなかったギター・ソロも、
違和感なく彩りを添えている。

RAMONESの『Leave Home』以降のアルバム、
Johnny Thunders & the HEARTBEAKERSの『L.A.M.F. Revisited』、
SEX PISTOLSの『Never Mind The Bollocks Here’s The SEX PISTOLS』みたいに
しっかりプロデュースされたダイナマイト・サウンドのパンク・ロックンロールの質感だ。
メンバーの耳がいいというか音楽に対してイージーなバンドとは響きが違う。
音楽をたくさん吸収して無意識のうちに耳の感覚を鍛えている

日本語ロックに目立つのだが、
音そのものが弱いから言葉に頼っていて結局日本語が通じない人にはアピールできないものがホント多い。
そもそも自分を棚に上げて文句をたれる手垢にまみれたメッセージなんていらない。
疲弊している人間はそんなもん聞きたかない。
だって音楽は個人を解放するものだから。

やっぱりサウンドは正直だ。
まっすぐな音イッパツで黙らせるノらせる走らせる。
特にビリー・ジョー(vo、g)とマイク・ダーント(b、vo)はハングリーだった頃の心意気を忘れず、
音楽でメシを食っているバンドならではの覚悟を決めた馬力にもあふれている。
今回もディープに迫る。

またしてもヘヴィ・ローテーションである。


★GREEN DAY『¡Dos!』(REPRISE 2 533420)CD
約40分13曲入り。
6つ折りポスター・ジャケット仕様で裏面に歌詞が載っている。


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コメント

真っ直ぐなパンク 真っ直ぐなロック

いつも行川先生からは刺激を頂いております。

私が海外の音楽を中心に聴くようになった理由に、英語力が乏しい故に音そのものへの注意力が高まったという事があります。
歌詞の意味を追うことに腐心するあまりアタマデッカチになりココロで聴けなくなることを危惧・回避したとも言えるかもしれません。

Green Dayも活動歴が随分長くなりましたが逞しく活動してきたなぁと思いますね。
変化や前進を試みていくことと自分達らしさを失わないことという二律背反への挑戦のような姿勢は本人達のキャラからは想像出来ないタフさを感じます。
三部作最終作にも期待がかかります。

Green Dayがリスペクトしたかつてのレーベルメイトも昨今新作を出されましたね。
こちらのレビューも行川先生には期待しております。

真一郎さん、書き込みありがとうございます。
たとえば友川カズキ(かずき)が日本語の歌でも海外の先鋭的な人に愛されてるのは、歌詞が理解できなくても声の響きでアピールするからだと思います。日本の大半の人が外国の歌でグッときたときの感じ方に近いでしょう。いかにも政治的な歌詞だけど無責任で誠意がない音のバンドをたくさん聴いて色々気づきました。
GREEN DAYはタフですね。10タイトルもアルバムを出しているのにクオリティが落ちてないのは、ビリー・ジョーをはじめとする天才的なソングライティングによるところも大きいでしょうが、自分を磨いていると思いますよ。
かつてもレーベル・メイトの新作というのが思いつかないですが、調べてみます。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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