なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

GREYMACHINE『Disconnected』

DYMC-095_20090622190539.jpg

ジャスティン・K・ブロードリック(JESU他)がアーロン・ターナー(ISIS他)らと組んだプロジェクト・バンド、
GREYMACHINEが遂にファースト・アルバム『Disconnected』をリリースする。
これがまた肯定的な表情を見せてきたJESUやISISとは対極のベクトルに向かい、
“陰鬱マシーン”と化してエクストリーム・ヘヴィ・ミュージックを轟かすのであった。
ライナーを書かせていただいたが、『Disconnected』の中身を知らない方々向けに書いてみる。

他のメンバーがデイヴ・コクランとダイアムード・ダルトンというのも興味深い。
デイヴは80~90年代にHEAD OF DAVID、SWEET TOOTH、GOD、ICEなどで、
ジャスティンと一緒に活動してきたミュージシャン。
2007年以降はJESUのツアー・ベーシストになっており、
同年11月の日本ツアーでも強靭な低音でCDとは一味違うJESUの魅力を引き出した。
一方のダイアムードは長年JESUのベーシストとして活動してきた人。
80年代初頭からジャスティンがやっているアンビエント/ノイズ・ユニットのFINALの2000年代の音源集『3』に参加していることから察するに、
彼とはプライベートでも親交があると思われる。

無慈悲かつ冷厳な『Disconnected』のサウンドは、
ジャスティン初のリーダー・バンドだったGODFLESH(1988~2002年)の初期に直結していると言えよう。
打ちのめすほど暗く重いにもかかわらず、うつむきながらダンス可能な点も重なる。
と同時にヴォーカルや曲のテクスチャーもひっくるめて、
THROBBING GRISTLEやWHITEHOUSEといった英国のノイズ・ユニットや、
初期SWANSや初期SONIC YOUTHあたりの80年代のニューヨークの“ノイズ・ロック”とも接点をもつ。
さらに破壊的でダブの要素も強い。
85~86年のNAPALM DEATH時代のジャスティンの同志だったミック・ハリスのSCORNの初期、
SEX PISTOLS脱退後にジョン・ライドンが始めたPILの『Metal Box』、
ところによってはマーク・スチュワート(元The POP GROUP)のアルバムも思わせる。

プログラミングのビートを多用していると思うが、凡庸の打ち込みものとは次元が違う掘りが深く侘び寂びの効いた音に仕上げており、殺伐とした響きが神経に侵入してくる。
得体の知れぬ生命体の細胞分裂みたいな音像なのだ。
NAPALM DEATHとGODFLESHの間の時期にプレイしていたHEAD OF DAVIDとFALL OF BECAUSEの時のように、
ジャスティンがドラムも演奏している点もポイント。
だからこそJESUやGODFLESHの何倍もおのれのカオスを剥き出しにしている。

アレンジもプロデュースもミックスも手掛けているだけにGREYMACHINEはジャスティン主導だろう。
けどGODFLESHをはじめとして子供の頃から彼の音楽の影響を受け続け、
自分のレーベルのハイドラ・ヘッドからJESUのアルバムをリリースしてきたアーロンがジャスティンに促されて“パンドラの箱”を開け、
同じくギターとヴォーカルとエレクトロニクスでネガティヴな光を強烈に放っているのもうれしい。

本編の曲名は以下のとおり。
「Wolf At The Door」
「Vultures Descend」
「When Attention Just Isn’t Enough」
「Wasted」
「We Are All Fucking Liars」
「Just Breathing」
「Sweatshop」
「Easy Pickings」

これまたJESU以前のジャスティンが好んでタイトルに付けそうな“ファック・ユー!”アティテュード満載だ。
ジャスティンが英国のグルーミーなパンク/ハードコア上がりというところも見え隠れする。
音楽的にもアナーキスト・パンクだったCRASSの方法論と、
80年代初頭のDISCHARGEの閉塞感もミックスされている。
スタイルじゃない。硝煙にも似たアノ匂いである。

言わずもがな焼き直しではない。
『Disconnected』には各メンバーの人生が刻まれており、現在進行形の意識が聞こえてくるフレッシュなアルバムなのだ。
個人的にはNAPALM DEATHからずっと追ってきたジャスティン・K・ブロードリックに惚れ直したが、
もちろんGODFLESHやJESUのファンの方々、そしてISISのファンの方々もシビれること必至である。

日本盤のみ12”シングル「Vultures Descend」のB面に入っていた「We Are All Fucking Liars」の別ヴァージョンがボーナス・トラックになっている。
ジャスティンのセレクトのビデオ静止画をレイアウトしたアーロンのアートワークも、またまた冴えわたってそうである。
 
●GREYMACHINE (グレイマシーン)『Disconnected (ディスコネクテッド)』(Daymare Recordings DYMC-095)CD 7月24日発売


なお日本では8月19日にJESUの2タイトルのCDがリリースされる。
一つが2007年に限定発売された『Pale Sketches』、
もう一つが50分を越える1曲のみ収録という『Infinity』。
いずれも日本盤にはボーナス・ディスクが付くとのことだ。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/9-e975dbff

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (291)
映画 (254)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (48)
PUNK/HARDCORE (413)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (95)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (121)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん