なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Nico『The End...』

nico the end


VELVET UNDERGROUNDの67年のファースト・アルバム『Velvet Underground & Nico』でも歌った、
女性アーティストのニコによる4作目のソロアルバムの“拡張版”2枚組CD。
リマスタリングされているようだ。


本編は約42分8曲入り。
ニコはヴォーカルと作詞作曲とハーモニウムを担当し、
元VELVET UNDERGROUNDのジョン・ケイルがプロデュースや様々な楽器の演奏でサポートしている。
ROXY MUSICのフィル・マンザラ(g)と元ROXY MUSICのブライアン・イーノ(syn)も参加したが、
ほとんどの音はニコとジョン・ケイルによるものと思われる。
ニコがハーモニウムを弾き語りジョンがインプロヴィゼイション的に音を入れていったような作りで、
むろん音は“ドローン・サイケデリック”である。

曲そのものの大半は淡々とした流れでところによっては牧歌的な風情も漂うが、
虚飾を削ぎ落とした単色の映画の如き凄味に満ちている。
DOORSの「The End」の9分半に及ぶカヴァーもさることながら、
讃美歌風のドイツ国歌「Das Lied Der Deutschen」のカヴァーも
祖国を想うかのように現在は公式の国歌として認められてない詞も歌い込んでいて強烈だ。
オリジナル曲の歌詞もエゴの出し方が素晴らしすぎて地獄のラヴ・ソングにも聞こえる。

十代後半に初めてこれを聴いた時あまりに重く陰鬱に感じて“二度と聴きたくない”と思い、
実際ぼくは何年も何年も封印していた。
圧倒的なセカンド『The Marble Index』(69年)とサード『Desertshore』(70年)ほどの磁場はないが、
ニコ自身も様々な意味で落ちていくあたりの危うさを味わえる。
女性シンガー・・・いや全ヴォーカリストの中で最強の一人であることに変わりはない。


ディスク2は約49分9曲入りで7曲が未発表音源。
71年2月20日(1曲)と74年12月3日(4曲)の“ジョン・ピール・セッション”、
75年2月7日のBBCテレビ出演時のライヴ音源(2曲)、
74年6月1日のライヴ(2曲)を収めている。
『Desertshore』収録の「Janitor Of Lunacy」以外は『The End..』の曲で、
「Secret Side」と「The End」は2テイクずつ入っている。
74年6月1日の2曲は、
イーノやフィル・マンザネラ、ケヴィン・エアーズとの連名によるライヴ盤『June 1, 1974』の時のステージだが、
この「Das Lied Der Deutschen」のライヴ・テイクは初登場だ。

ニコのハーモニウム弾き語りがほとんどと思われるが、
やはり色々な他の楽器が挿入されて多少なりとも聴きやすくプロデュースされた本編とは違い、
丸裸のニコが味わえるからさらに強力である。
堂々と歌い倒す。


誰かを救おうなんて微塵も考えてない。
自分のためにやる人の音楽が一番胸にこたえると再認識させられる。
タイトルどおりに“終末の希望”のアルバムである。


★Nico『The End…』(UNIVERSAL UMCREP2018)2CD
ライナーやアルバム本編の歌詞、写真で彩った20ページのブックレット封入。


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コメント

はじめまして。あけましておめでとうございます。

昔から行川さんの文章が大好きで参考にしてました。ここ数年はあまり音楽自体を聴いていなかったのですが、また最近興味が出てきたので、行川さんのブログを発見した時は嬉しかったです。
ニコは自分も好きなのですが、THE ENDもデラックス版が出ていたのですねー。自分も、二十歳前後に聴いた時には、ちょっと重く感じてあまりハマらなかった記憶が・・・(笑) また久しぶりに聴いてみたくなったのでチェックしようと思います!

そういえば10年程前に、ふちがみとふなとのライヴ(博学と無学の時の)で、行川さんにお会いしたような気がするんですけど・・・あれは行川さんだったのでしょうか?(笑)


それでは長々と失礼しましたー。

じゅんさん、書き込みありがとうございます。
昔からとのこと、ほんと感謝します。
ニコのこのリイシュー、有名人だからもっと話題になっても不思議はないと思うのですが、これまたイマイチのようで。まあ内容的にはポピュラーなものとかけ離れているから自然なことかもしれませんが。書いたようにぼくも聴いていると気が滅入って昔は封印しましたが、実は歌詞も普遍的で今の気分にピッタリです。
ふちがみとふなとのライヴで会話された方ですか・・・・。ライヴも何度か行っています。2011年の終盤にリリースされた目下の最新作は、2011年12月31日のブログでupしたベスト・アルバムにも選ばせてもらいました。あの方々も誠実な音楽活動をされていますね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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