なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ARCH ENEMY『The Root Of All Evil』

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CARCASSを抜けたあとの96年にマイケル・アモット(g)が結成した、
スウェーデン拠点の“メロディック・エクストリーム・メタル・バンド”。
オリジナル・シンガーのヨハン・リーヴァが歌った初期3枚のアルバムの中から13曲を選び、
4作目『Wages Of Sin』(2001年)から加わったアンジェラ・ゴソウ(vo)を含む現メンバーでの再録音盤だ。

ヨタって多少パンク風に発声した当時のヨハンのヴォーカルがぼくはイマイチだったからありがたい。
念のために言っておくと決してヨハンが無能というわけではなく、
クビを切られた後にやったNONEXISTなどでは生き生きしたヴォーカルを聞かせてくれた。
何に対しても言えることで誰にでもハマる場というのはある。


アンジェラを擁してのARCH ENEMYの最初の来日公演を思い出す。
単なる盛り上がりを超えた会場内の異様な空気感は何かが始まる瞬間の胎動であった。
女性がフロントに立つエクストリーム・メタル・バンドが突き抜けた点も含めて、
メタル信者ではないぼくでもロックとしてひとつの新時代の到来を感じた。

ストイックなほど贅肉を削ぎ落として地に足の着いたストロング・スタイルのアンジェラのデス・スクリームが、
初期の曲に新たな命を抜きこんだ作品が『The Root Of All Evil』である。
公言しているジェフ・ウォーカー(ELECTRO HIPPIES~CARCASS~BLACKSTAR)からの影響で、
生々しい。

マイケル・アモットとクリストファー・アモット(g)以外で最初の3作すべてに参加したメンバーはいないから、
ダニエル・アーランドソン(ds)とシャーリー・ダンジェロ(b)の演奏も聴きどころ。
むろんアモット兄弟も現在進行形のギター・プレイだから昔の演奏とは多少違う。
2003年の『Anthems Of Rebellion』をプロデュースした売れっ子のアンディ・スニープがミックスし、
オリジナル・ヴァージョンとは逆のタイトに引き締まったモダンな音も単純に気持ちいいのだ。

マイケルがメンバー当時のCARCASSの曲、
つまりサードの『Necroticism - Descanting The Insalubrious』と4作目『Heartwork』の名残がある曲の数々。
まだエクストリーム・メタル色が濃い時代の曲の数々が初々しく、
2000年代に入ってからの大半の曲よりもアグレッシヴだ。
実際はメロディック・デス・メタルとも言い切れず、
曲の元ネタをよく明かすように“美味しいとこ取り”のバンドだが、
それはヘヴィ・メタルやオールド・ロックへのオマージュなのである。

もはや唯一無二の存在になっているARCH ENEMYは意外なバンドたちもインスパイアしている。
日本のハードコア系にも洗礼を受けているバンドがいて、
色々な縁があって東京で何度かARCH ENEMYと対バンしたEDGE OF SPIRITもそうだろう。
今のDIE YOU BASTARD!のギタリストも、
おにいちゃんの方ではなく弟のクリストファー・アモットのギター・プレイに影響を受けており、
ブルータルな曲の中に聞かせどころを作ってテクニカル&メロディアスなギターを挿入するやり方も通じるのだ。

『The Root Of All Evil』の日本盤には、
EUROPEとQUEENSRYCHEのカヴァーと、
2004年12月17日のライヴ(DVD『Live Apocalypse』と同じ)が3曲追加されている。
特に後者のラフな演奏を聴くと、
日本ツアーの際にマイケルがANTI-CIMEXの7”EPを求めてパンク専門店を訪れた話もうなずけるのであった。


●アーク・エネミー『ルート・オブ・オール・イーヴィル』(ヨシモト RアンドC YRCG-90019)CD
初回盤は小箱パッケージで折込みの大型ポスターが封入されている。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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