GREEN DAY『¡Tre!』
2012-12-29

米国北カリフォルニアのベイエリア出身のGREEN DAYが試みたアルバム連続リリース三部作のラスト。
前2作よりも量的にヴォリュームのある約47分12曲入りで、
質的にもヴォリュームたっぷりの聴き応えありあり盤だ。
BEATLES、ROLLING STONES、The WHO、ルー・リード、RAMONES
などなどの“ロックンロール”の流れを感じさせるが、
アップテンポの曲をはさみながら、
今回は伝統的なアメリカン・ロックのレイドバック感覚と落ち着いたメロウな曲も目立つ。
ホーンとストリングスも入ったドゥーワップ調で始まり、
アコースティック・ギターを使った曲も入れながら、
ラストはピアノとストリングスがバックの歌で始まってギター・ソロの後にドラムが入るバラードだ。
といっても例によって音が生きていてパワフルなもんだから大人に成り切らないところがさすがである。
ミディアム~スロー・テンポの曲をプレイしてもまったくダレないのだ。
ベーシックなことをやっていようが安泰を求めず挑戦的だから生き生きしている。
シンプルなリズムにもかかわらず小回りが利いてちょっとしたオカズも差し入れるドラムの音がでかく、
ベースとのユニゾンでリズム隊がヘヴィなのも重要。
ドラムとベースが歌の伴奏みたいなバンドとは次元が違う。
「Brutal Love」や「99 Revolutions」といった曲名からも想像できるように
歌詞もラヴソングに留まらずなかなか刺激的だ。
「Sex, Drugs & Violence」というタイトルはEXPLOITEDの名曲「Sex & Violence」に引っかけたのだろうか。
「Dirty Rotten Bastards」という曲名は意味を考えれば
D.R.I.の正式バンド名の“DIRTY ROTTEN IMBECILES”からヒントを得たのは間違いない。
その「Dirty Rotten Bastards」は
『American Idiot』(2004年)に入っていても違和感のないドラマ性のある6分半の曲で、
ハードコア・パンクもひっくるめて次々と心象風景が移り変わる曲の流れが見事と言うしかないのだ。
というわけで、またしてもヘヴィ・ローテーションになっている。
3作続けて聴くとGREEN DAYがなぜ3タイトルに分けてリリースしたかがわかる。
まず大前提として駄曲がひとつもないから落とす曲もない。
いい曲だけ一枚にまとめて出せ!なんて文句言われても無理なのである。
で、全37曲CD2枚にギッチリ入れても、
2時間以上続けてすべての曲にちゃんと耳を傾けるのは現実問題難儀である。
曲を詰め込めるだけ詰め込むCDなどは確かにアンソロジー的なものは便利だったりするが、
合理的で味気なく思えることもある。
だったら曲と歌詞の作風によって分け、
それぞれひとつのアルバムとして完結させ、
しかも通して聴くともうひとつの“映画”が見えてくる・・・・そんな3部作なのだ。
それにしても3作共、
“友達、家族、ファン”に加えて“punisher(処分者)”に捧げるとクレジットされているのも興味深い。
★GREEN DAY『¡Tre!』(REPRISE 2-531978)CD
六つ折りのポスター風のジャケットで読みやすく裏に歌詞が載っている。
約47分12曲入り。
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