なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Ian Glasper『Armed With Anger, How UK Punk Survived The Nineties』

Armed With Anger


チェリー・レッド・ブックスから昨夏刊行された本。
イアン・グラスパー(元DECADENCE WITHIN)によるUKパンク/ハードコア本の第四弾であり、
これまでの3冊以上にアンダーグラウンドな90年代のシーンを掘り下げた700ページの労作である。

英国でもパンク/ハードコアがさらに音楽的な広がりを見せた時期だから80年代以上に種々雑多で、
LEATHERFACE、EXTINCTION OF MANKIND、ABOVE ALL、CITIZEN FISH、DISAFFECTなど、
メロディック・パンク、クラスト・コア、ニュースクール・ハードコア、スカ・パンク、アナーコ・パンク勢に加えて、
メジャー・デビューもしたオルタナティヴ・ロック系のTHERAPY?も含めている。
SEDITIONとSCATHAが抜けているとはいえ100弱のバンドが紹介され、
FLAT EARTHなどのレーベルやファンジンを紹介するコーナーもある。

例によってバンド・メンバーらの発言を豊富に盛り込んで適度に写真も挿入。
今回はほぼすべてが真にアンダーグラウンドのバンドだから計り知れない労力が想像でき、
執念に近い恐るべき仕事ぶりに感動を禁じ得ない。
それっぽいことほのめかしているようで実は何も核心を言ってない日本の無責任なサブカルみたいに
英語圏でも知性をふりかざすような文章を書いて悦に入るスノッブは少なくないが、
イアン・グラスパーはポイントを押さえて核を明確にする言葉で端的な文章を紙に刻みつける。
要は文章自体がハードコアなのだ。
読みやすく、
そしてさりげなく感情が震えている。

かなりのUKパンク/ハードコア・マニアでも聴いたことがないバンドが多いと思われるし、
当時かの地でシーンに関わっていた人間でも知らないようなバンドも少なくないだろう。
でも死ぬまでにこの本を読破したい。


スポンサーサイト

コメント

Seditionは三作目で記述があるとはいえ、Scathaが載っていないのは何故なのでしょうね
とは言えこの本が最高なのに異論はないです

ぬえさん、書きこみありがとうございます。
このシリーズの第一集から、レコードを出してないバンドも漏らさず載せるほど緻密な構成をしてきただけに謎ですね。取材できなかったのか、メンバーの発言が載ってないバンドも紹介していましたし。SEDITIONの掲載に関しては失念していました。Scathaにはパンク/ハードコア・スタイルではない曲もありますが、ニュースクール系も載っているだけに。でもこの本は特にマイナーどころだらけで、労力に頭が下がります。

表紙のKnuckledustから意外でした
一発目のVoorheesですらどメジャーなんじゃねーの!?と錯覚するほどの濃さですよね
Disaffectが載っている分だけに本当にScathaは謎ですね
そういえばFlat EarthのHPでほぼ全ての作品がダウンロードできるみたいですね、ジャケットからインナーに至るまで全部付いていて大盤振る舞い過ぎです

ぬえさん、書き込みありがとうございます。
知名度関係なく紹介していますからね。かといってシリーズ第一集ではEXPLOITEDも取り上げるなど、閉鎖的なDIY根性に凝り固まっているわけでもない姿勢も共感できます。
Scathaに関しては、音楽的にアルバムがパンク/ハードコアじゃないと判断したからかなとしばし思いましたが、7"レコードの「Fuck The System」なんてバリバリのハードコア・パンク・ナンバーですし、謎です。
FLAT EARTHは、ジョン・ピールにも注目されてNAPALM DEATHをはじめとして一般音楽誌でも取り上げられた80年代後半のシーンの中でヒットしたレコードがなかったからか、商業性とは関係なく続けていますね。レーベル主のバンドのGENERICとELECTRO HIPPIESのスプリット盤は売れたのかも・・・・後者だけが単独でEARACHE傘下のCARCASSのレーベルから再発されたのも象徴的です。

Necrosis Recordsですよね、4タイトルしかないのに強力でしたね!
ところで、洋書なのですがNETWORK OF FRIENDS- Hardcore Punk der 80er Jahre in Europaというのは御覧になりましたか?80年代初期ヨーロッパ本のようですがドイツ語なので私は読んでいません…写真多めらしいので楽しめそうのですがインタビューが読みたくて読みたくて…
Marco und Tax/NEGAZIONE, Tony Nitwit/BGK, Jacho/H.O.A., Mauro/RAW POWER, Jugga/MOB 47, Anton/URPRIGHT CITIZENS, Paul LÄRM/SEEIN’RED, Peter/PANDEMONIUM, Roger/LIFE BUT HOW TO LIVE IT?, Kent/L.U.L.L., Archi/INFERNO, Kalv/HERESY, Tommy/STUPIDS, Gunnar/SO MUCH HATE, Flo/SQUANDERED MESSAGE

ぬえさん、書き込みありがとうございます。
その本は見てないです。今は翻訳ソフトで頑張れば多少は解読できるでしょうが、いちいち打ち込まないといけませんし、ドイツ語でインタヴュー中心だとしたらキツイですね。よく内容を調べて写真がけっこうあるのでしたら、チェックしてみます。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/952-572dc8a1

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (288)
映画 (242)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (42)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (400)
EXTREME METAL (128)
UNDERGROUND? (91)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (118)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (82)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん