なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

SWORD『Apocryphon』

Apocryphon cover_72


テキサス州オースティン出身のヘヴィ・ロック・バンドのThe SWORDが
『Warp Riders』以来約2年ぶり発表した4作目。
本国アメリカでは昨年10月にリリースされてビルボードのチャートの17位まで上昇したが、
グレイトなボーナス・トラック大量追加で遂に日本盤も発売された。


バンドとともにプロデュースをしたのは何とJ・ロビンス。
GOVERNMENT ISSUE~JAWBOX~BURNING AIRLINES~CHANNELS~OFFICE OF FUTURE PLANS
で80年代からUSパンク/ハードコア~ポスト・ハードコアの道を歩んできているミュージシャンだが、
エモ・ロック系を中心にプロデューサーとしても活躍してきた人である。
彼が手掛けた日本のNAHTとREACHの2000年のアルバムのネガティヴな印象がぼくの中に蘇ってきた。
Jがプロデュースする一つ前の彼ら各々の作品ほど伸び伸びとしたパワーを感じ取れなかったからだ。
というわけで肉体的なバンドが不得意で畑違いではないかという不安を抱きながらアルバムに臨んだが、
まったく杞憂だった。
J・ロビンスのプロデュース・ワークを見直したと同時に、
ありふれた“メタル・プロデューサー”でなく意外性に富む人と仕事をしたSWORDのセンスと勇気に
敬意を表したい。


ツイン・ギターならではの音の厚みや旨みと一人は歌いながら弾く編成を活かした
“BLACK SABBATH meets LED ZEPPELIN”といった佇まいでぐいぐい押していくアルバムだ。
と同時にテキサス産ならではの土臭く粘っこいブギも息づき、
前のめりだけでなく時に程よいまったり加減のスピードで曲にコクがある。
むろん70年代ロックの焼き直しとは一線を画し、
ドゥーム・メタルにストーナー・ロック以降のサイケデリック感覚を吸わせ、
ハードコア~スラッシュ・メタルで磨いた強靭な音にも痺れる。
なにしろ聴き応えだけじゃなく“歯応え”もありありの響きなのだ。

前作『Warp Riders』は比較的ヴォーカルが前面に出た仕上がりだったが、
70年代のオジー・オズボーンが表情豊かになったかのような味のある歌声を活かしつつ
今回はリフも際立つ作りでバンドならではの絡みがたんまりである。
クレジットによれば、
ジョン・D・クロノス(vo、g)とカイル・シャット(g)が二人で作った曲で構成した前作に対し、
本作はセカンドまでと同じくバンド全体によって作曲(composed not written)した曲が連なる。
といった制作過程も影響した4人の個性のアマルガムのサウンドだからダイナミズムも格別だ。
2006年のアルバム・デビュー時から不変だったSWORDもドラマーが変わったが、
腕の振りが大きそうで腕力も十分のジョン・ボーナム的な彼のビートが他の3人のケツを蹴飛ばす。
曲によって挿入するシンセサイザーも妖しいムードを高めている。

単なる“歌”の領域を越えた歌詞もたいへん素晴らしい。
ほんの数ヵ所に“we”が使われているだけで“I”が出てこないのも特徴で、
世界や地球や宇宙を見渡しながら正邪を超えてシンプルに綴り、
“human”“earth”“universe”といった言葉もキーワードになっている。
むろんエコとヒューマニズムの大安売りみたいなやつじゃなく、
死を意識したような世界観で突き抜け、
マジカルでもあるサウンドと共振して人間を解き放つ。

ボーナス・トラック含めて約75分CDを聴き終えたあとロックの醍醐味と神髄を実感させられる。
これは聴けば聴くほど味が出る“スルメ盤”であり、
真正面から向き合いたい佳作である。
ジャケットやCD盤のアートワークもひっくるめてオススメ。


★ザ・スウォード『アポクリフォン』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-14857)CD
本編の歌詞が載った24ページのオリジナル・ブックレットが封入された、
味のある質感で存在感のある三つ折り紙ジャケット仕様。
日本盤は、
ライヴ4曲+ZZ TOPの「Cheap Sunglasses」のカヴァーを含むスタジオ録音2曲を加えた16曲入りで、
追加されたライヴ4曲の歌詞+すべてのオリジナル曲の歌詞の和訳と
バンドの立ち位置や曲のテーマにも言及した伊藤政則執筆のライナーも載ったブックレットも封入。
持っておきたくなるトータル・パッケージだ。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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