なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ALL THAT REMAINS at 渋谷クアトロ 3月11日

For We Are Many


メタルコアを代表する一つの米国マサチューセッツ州出身のバンドによる日本ツアー初日。
世間の動きとは関係なくいい意味で冷静に観られなかった。


SHADOWS FALLのアルバム・デビュー時のシンガーだったフィリップ・ラボンテ(vo)が、
“fucking”混じりのアメリカン・スタイルで「同じ会場で同じホテルで~」とMCをしたように、
ALL THAT REMAINSはちょうど2年前のこの日ここのステージに立った。
ぼくは自分にとって別格のHIGH ON FIREのライヴに足を運ぶつもりだったから
『...For We Are Many』を引っ提げたあの日のALL THAT REMAINSのライヴは
最初から眼中になくて観に行ってない。

その程度のファンと言われればそのとおりだが、
昨年の最新作『A War You Cannot Win』のところで書いたように、
あの日のALL THAT REMAINSは無謀というより勇気あるライヴの決行だった。
周りに合わせる必要なんかない。
いくら孤立しようが自分自身の意志を貫くそれがハードコアである。

お客さんが集まっていたその瞬間に自分たちができることをしたそんな彼らの行動に対し、
2年後の今回たくさんのファンが集まって“ATR! ATR!”という熱烈なコールを浴びせて応えた。
『A War You Cannot Win』も米国ビルボードのいわゆる総合チャートの13位まで上昇。
とはいえ今回の東京公演が2DAYSで大丈夫なのかと少しばかり抱いた心配も杞憂に終わり、
ほぼ満員。
やっぱりファンはよくわかっている。
大半のメディアが無視しようが知ったこっちゃない。
優れているかどうかなんてのも知ったこっちゃない。
そんな評価基準はロックと対極のものだ。
解放されるか否か大切なのはそれだけだ。

大人のロック? なんだそりゃ。
こういう顔面直撃のロックに震えず肉体的にも精神的にも耐えられない“大人”にだけはなりたかない。
理屈と言い訳で武装して気が抜けた“非武装のロック”にウンザリしているときは特に、
音そのもので勝負するメタルコアがむしょうに聴きたくなる。
死ぬまで精神と身体が欲しがる。
だから死ぬまで聴き続ける。


永遠に消え失せることがないハードな心象を綴る歌の世界観を突き抜けるべく、
ALL THAT REMAINSはメタルコアの中でも最もキャッチーになってきているバンドだが、
むろんライヴの音は激しい。
抜けのいいドラムはメタルコア特有でギター・ソロは完全にヘヴィ・メタルだ。
スラッシュ・メタルとデス・メタルとドゥーム・メタルとブラック・メタルのリズムのリフとビートに
ハードコアの強度とポピュラー・ミュージックの旋律をブレンドしたサウンドが核なのは変わってない。

ヴォーカルもそんな様相とはいえメロディアスな歌唱も目立ってきているが、
でもクリーン・ヴォイスと呼ぶほど切り替えずにナチュラルなのが魅力だ。
ナマで『A War You Cannot Win』の曲を聴くと、
音のアタック感の強化に強化した歌メロの融合が最近のALL THAT REMAINSの肝だとわかる。
今年1月にヘヴィなMUSEを観てショックを受け、
ソングライティングの大切さと歌の旨い(≠巧い)シンガーの凄味を再認識したのだが、
音楽スタイルは多少違ってもこの日のALL THAT REMAINSのライヴには近いものを感じた。

ステージングは実にシンプルだ。
適度に動いて適度にMCを入れるオーソドックスな展開である。
カリスマ性に富むメンバーはいない。
でも何気にみんなキャラが立っている。
お客さを上手にノせるフロントマンでキャップ帽が似合う“小兵”フィリップ(vo)。
もう一人のオリジナル・メンバーでムサ苦しさがグレイトな大柄のオリー・ハーバート(g)。
もう一人ややヒッピー風でコンパクトな手技と荒い足技が冴えるジェイソン・コスタ(ds)。
スキンヘッドが素敵でに笑顔もキュートな大柄のマイク・マーティン(g)。
そしてバッキング・ヴォーカルも光る小柄でカッコいい女性メタラーのジーニー・セーガン(b)。
そんな5人がフック十分のナイスな曲をふつうにプレイしていく。
ファンも曲によって手拍子や合唱なモッシュ・サークルで応える。

なんかいいライヴだった。

こんがらかった頭の風通しが良くなって音楽を楽しめた。
少しだけ解放された気がする。
ALL THAT REMAINSに感謝したい。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/981-d724b6da

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (294)
映画 (262)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (48)
PUNK/HARDCORE (420)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (99)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (124)
FEMALE SINGER (43)
POPULAR MUSIC (27)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん