なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ORANGE GOBLIN『A Eulogy For The Fans...ORANGE GOBLIN Live 2012』

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英国の4人組の“ヘヴィ・ロック・バンド”によるライヴ中心のDVD とCDの2枚組。
DVDは日本製のDVDプレイヤーで鑑賞可能だ。

同じフィールドの音ながらエキセントリックな要素が薄くベーシックなスタイルだからか、
99年に初来日公演を行なった時のメイン・アクトだったCATHEDRALや、
以前スプリットEPの相手にもなったELECTRIC WIZARDよりも地味なポジションに思えるが、
愚直だからこそ熱くて大好きなバンドである。
昨年の最新作『A Eulogy For The Damned』もよく聴いた。
“年間ベスト2012”で外したくせに言うのもアレだが、
2012年の英国ロックのベスト3アルバムであることは間違いない。


DVD本編は実質約60分。
昨年8月に英国で行なわれたヘヴィ・メタル・フェスの“オープン・エアー・フェスティヴァル”でのライヴだ。
ステージ上はやや暗めで画面の切り替えも忙しい編集だが、
バンドの勇姿はバッチリ楽しめる。
ドラムの音がでかく聞こえて実際のライヴを現場で体感する時に近い音のバランスになっており、
ギターとベースとドラムが音の大きさを競っているみたいな演奏も
まさにロックの醍醐味ってもんである。

肌に焼けつくブルージーなギターはハードコア以降の激しいアタック感を有し、
MOLLY HATCHETのような米国サザン・ロックのダシも効いている。
フィンガー・ピッキングのベースのグルーヴ感は、
HIGH ON FIREなどのRELAPSE Records周辺の“メタル”に通じる。
腕っ節の強いドラムはパンク・ロックみたいにハジけて音が突き抜けている。

レミー系の喉を震わせながらスタンディング・マイクを握りしめて歌う
素晴らしくムサ苦しい巨体シンガーがMCでしゃべっているように、
“ヘヴィ・メタル・パーティ”なサウンドではある。
むろんドゥーミーなのは言うまでもないし、
根は浴びれば浴びるほど酒が美味くなるシンプルなロックンロールだ。
ステージ上でも自分らの音に酔えば酔うほどスピード・アップしており、
99年リリースのセカンド『Time Travelling Blues』のアルバム・タイトル曲と「Blue Snow」も
加速している。
モッシュ云々のノリではないが、
ORANGE GOBLINのファンだけではない観客も曲が進むにつれてノリが激しくなっているのがわかる。


“特典映像もたっぷりだ。
まずは昨年6月にフランスで行われた“ヘルフェスト2012”のライヴが約48分入っている。
すべて本編と曲がダブるセットリストの10曲だが、
こちらの方がステージは明るめで音のバランスも良好である。
他の映像は、
『A Eulogy For The Damned』の「Red Tide Rising」と「Acid Trial」のヴィデオ・クリップ、
メンバーが会場に向う車中も含む約7分の“ヘルフェスト”ドキュメンタリー、
「Red Tide Rising」のヴィデオ・クリップの7分を越えるメイキング、
7分強のスライド・ショーだ。
CAPTAIN BEYOND、 HELMET、WITCHFINDER GENERAL、VENOMTURBONEGRO
のTシャツやデニム・ジャケットに身をまとったメンバーたち。
めまいがするほどグレイトなセンスである。


CDはDVDの本編と同内容の12曲入りだが、
こちらの方が音のバランスがいい。
ドゥーム・メタル/ストーナー・ロックを超えたストロング・スタイルのヘヴィ・ロックであり、
侘び寂びの効いたブリティッシュ・ロックの伝統をアップデートしていることもよくわかる。
生活日記みたいな内向きの歌や取って付けたメッセージなんかお呼びじゃない音そのものの胆力に
持っていかれる。
ロックにしっかり向き合っているってことは人間そのものにもしっかり向き合っていることを意味する。
表現にウソがないバンドは最高だ。


“大人のロック”と“幼稚なロック”にお嘆きの淑女紳士に捧ぐ。
解放される2枚組である。


★ORANGE GOBLIN『A Eulogy For The Fans...ORANGE GOBLIN Live 2012』(CANDLELIGHT USA CDL525CDDVD)CD+DVD
12ページのブックレット封入。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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