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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DARKTHRONE『The Underground Resistance』

Darkthrone-The-Underground-Resistance.jpg


ノルウェーの“エクストリーム・メタル・デュオ・バンド”の15作目。
これまた震えるほどカッコいいアルバムだ。

ブラック・メタルの代表的なバンドの一つとして認知されつつ、
ここ数年のアルバムはクラスティなハードコア色が強いメタル・パンク・アプローチだったが、
ややヘヴィ・メタル方向に舵を戻したソングライティングではある。
だが今回のマスタリングはPOISON IDEAのリイシュー盤を手がけるなど売れっ子の
ジャック・コントロール(WORLD BURNS TO DEATH)。
元の録り音やミックスが黒光りするほど生々しいというのもあろうが、
奥行き十分に鳴りわたる硬質な響きが強烈な文句無しの仕上がりになっており、
やっぱりイイ意味でパンクな音なのである。

ギターはメタリックな刻みというよりはクラスト・テイストでつぶれており、
ツー・ビートも多用。
新種のハードコア・パンクにしか聞こえない。
ONSLAUGHT、SACRILEGE、CONCRETE SOX、ENGLISH DOGSの
85年頃の音がもっとヘヴィになったような暴虐度のスパイスが効きまくっている。
HELLHAMMERと日本のGHOULの後期のミッシング・リンクにも聞こえる。
一部の曲はセルフ・ライナーで解説が載っており、
IRON MAIDEN、URIAH HEEP、HELLOWEEN、CELTIC FROST、PENTAGRAM(米国)などの精が宿った
ヘヴィ・メタルの血と骨と肉は、
むろん濃く強く厚く音の旨みを成している。

約42分6曲入りというヴォリュームからも自己表現に対する覚悟を感じさせる。
一曲一曲をじっくりと向き合わせる凄味に満ちており、
ラスト・ナンバーは13分半だ。

それもして妖気が半端じゃない。
響きのひとつひとつに込めた気合いと念は
サンプリングでごまかして血が通ってないニセモノを殲滅する勢いだ。
伸びやかな歌唱からダミ声までしっかり発声する実質ツイン・ヴォーカルの歌声だけでなく
楽器の音にも憎悪の歌心が脈打っている。
今やもっと激烈で破壊的な音楽は山ほど存在する、
だがこれほど暴力的に聞こえる音楽はほとんどない。
激しいのに不気味なほど落ち着き払っている。
無言で斬首するかの如しなのである

自然の中で戯れているブックレットの写真のメンバー二人が、
SCORPIONSAMEBIXのTシャツを身にまとっているのも素晴らしすぎるセンスではないか。
ドラマチックな“クラスト”のアルバムにピッタリである。

生きていく希望が横溢している。
これぞまさにグレイト。


★DARKTHRONE『The Underground Resistance』(PEACEVILLE CDVILEF425)CD
20ページのブックレット綴じ込みのハードカヴァーのデジパック(デジブック)仕様。


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コメント

凄そうですね!


是非ともチェックしてみます(^O^)

ノクターノ・カルトの曲がクラストっぽくて、フェンリツの曲が80年代ヘヴィメタルっぽい感じがしますね。
HALOWEENってHELLOWEENでしょうか?

「だがこれほど暴力的に聞こえる音楽はほとんどない」「生きていく希望が横溢している」。聴きたい!「F.O.A.D」のインナーでメンバーが、WORLD BURNS TO DEATHのTシャツ着てましたね。

>>HALOWEENってHELLOWEENでしょうか?

あーあ

書きこみありがとうございます。
>ITOさん
これは凄いです。音でも絵でも文章でも一つ一つに込めたものによりスムーズな体裁から逸脱するのです。
>巨人小笠原さん
スペル・ミス、指摘ありがとうございます。修正します。あのジャーマン・メタル・バンドです。ヴォーカルもそうですが、曲のタイプも分かれてますね。
>かくさん
以前のセルフライナーでDEATH SIDEの名前を出してもいましたし、かなりハードコア・パンクも好きみたいですね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
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