なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

KILLSWITCH ENGAGE『Disarm The Descent』

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アメリカン・スタイルのキャッチーなメタルコアの基本を作り上げた、
米国マサチューセッツ州拠点の5人組が約3年半ぶりにリリースした6作目。

ここのところ本ブログで連発している快作群に続き、
これまた年間ベスト・アルバム級の作品だ。
セカンドの『Alive Or Just Breathing』(2002年)を超えた最高傑作であり、
KILLSWITCH ENGAGEの底力を見せつけた起死回生のアルバムと言い切りたい。


ハワード・ジョーンズ(vo)が糖尿病の治療のために脱退し、
セカンドまで歌っていたオリジナル・シンガーのジェシー・リーチ(vo)が復帰。
ジェシーはアダム・デュトキエヴィッチ(g、vo)とTIMES OF GRACEというプロジェクトをやっていて、
切っても切れない縁であることを『The Hymn Of A Broken Man』(2011年)でも示していた。
KILLSWITCH ENGAGEでのケミストリーはさらに格別で、
エンタテインメント性も高い楽曲にスピリチュアルな熱い息を吹き込んでいる。
バンドが蘇った!と言えるほどだ。

プロダクションの問題も大きい。
ファーストと同じくセルフ・タイトルの前作『Killswitch Engage』は、
“ビッグ・サウンドの仕事人”ブレンダン・オブライエンがプロデューサーに就き、
メジャー感の音の膜に覆われたアルバムになっていた。
リーダーのアダムはポピュラリティも大切しているから、
そういうアルバムも作りたかったんだろうなと考えもしたが、
妙な安定感が漂っていたのも事実である。
さらにシンガーの脱退で“危機説”も流れ、
TIMES OF GRACE も好作品を出したしKILLSWITCH ENGAGEはフェイドアウトか…と思いきや、
ここで“KILLSWITCH ENGAGE never die!”と高らかに宣言したのである。

他のバンドもたくさん手掛けているそのアダムがプロデューサーに復帰。
前作の反省も活かしたと思しき鮮烈な音作りで仕上げている。
90年代半ば以降のメタル・ハードコア/エクストリーム・メタル系の音を作り上げた、
アンディ・スニープがミックスとマスタリングを行なったのもポイントだ。
KILLSWITCH ENGAGEもセカンドとサードを手掛けてもらったことがあり、
まさにその2タイトルのシャープな味わいが2013年の響きでアップデートしている。

ブラスト・ビートがやや目立つが、
むろんグラインドコアともブラック・メタルとも似つかずのブレンド具合で走り、
“KILLSWITCH ENGAGE節”健在でスタイルは何も変わってない。
スクリームとメロディアスな歌唱がナチュラルに融合したヴォーカルにも表れている、
人間すべてが内包する“剛”と“柔”/“醜”と“美”の二律背反の表情をたたえたアグレッシヴなサウンドに
ホント磨きを掛けている。
すべてのフォロワーをはるかかなたに引き離すほど
どの曲も目が覚める音で輝いている。
こういう言葉が似合うキャラのバンドではないのだが、
ほんと気合い満々だ。
メンバー一人一人の演奏も異様に生き生きしている。

ソロ・プレイも含む2本のギターや疾走するベース/ドラムと共振して、
ヴォーカルからも生命力が横溢している。
ハワードもナイスなヴォーカリストだったが、
ハードコア・マインドよりポピュラー・ミュージック・シンガーの心根だった。
ジェシーは生粋のハードコア・シンガーで非常に生々しい。
むろん単細胞なタフガイ絶叫とは次元が違う歌心に溢れた喉を震わせる。
鏡を見ても永遠に自分の上っツラしか見ない“ヴィジュアル系パンク”を葬り去るべく、
心の鏡に死ぬほど首までブチ込んでおのれ自身と向き合っている歌詞も強靭そのものだ。
逃げることなくに自己の対面を試みる深遠な素晴らしい歌詞である。

KILLSWITCH ENGAGEは今夏、
“フジ・ロック・フェスティヴァル'13”でライヴを行なうという。
どういうわけかメタル系の参加が極めてレアなフェスだけに歴史的なステージである。
アウェイになったらなったで「ファック・ユー!」とカマして気にせず曲連発して駆け抜けそうだが、
おちゃめすぎのリーダーのアダムがリードして曲もステージングも敷居が低いバンドだけに
新たなファンをガンガン鷲づかみにしそう。
そんな光景が確信できる一枚である。

音にも声にも甘えがない。
だから死ぬまで、
いや抜き抜けて死んでからも聴き続けられる。
これまたグレイト!


★キルスウィッチ・エンゲイジ『ディスアーム・ザ・ディセント』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-14858)CD
16ページのブックレット封入。
↑のカタログ・ナンバーとジャケットの通常版の日本盤は、
2012年の強力ライヴで「The End Of Heartache」と「Vide Infra」を加えた約50分14曲入りで、
歌詞の和訳付だ。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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