なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

STONE SOUR『House Of Gold & Bones – Part 2』

HoGaB Part2 cover-LR


SLIPKNOTのシンガーのコリィ・テイラーがフロントに立つもう一つのバンドの5作目。
自国アメリカの“ビルボード200(アルバム総合チャート)”の7位にランクインされた
昨年の『House Of Gold & Bones – Part 1』と同時期にレコーディングされたものだが、
前編/後編で分けてリリースした必然性のある構成で今回もディープに展開される。


メロウな歌からスタートしたかと思ったらまもなく暗黒チューンに突入。
甘いパートを含むフック十分のソングライティングでアコースティックな音を挿入しつつ、
澱みの中であがくかの如くパンク・ロックのハジケた音も内包している。
ドゥーミーなパートの中で憎しみを秘めたグルーヴが息づき、
最後までダークなメタルの要素が息づく“歌ものヘヴィ・ロック”と言える。

演奏も録音もミックスもマスタリングすべてビシッ!と気合入れて行なわれた仕事ぶりも奏功し、
呼吸感もしっかりとレコーディングされている。
STONE SOURは音楽に対して誠実に向き合い、
ひとつひとつの声や音に対して責任を持っている。
サウンドは正直だ。
彼らは頭でやってない、
すべての感覚と感情がワイルド&デリケイトな声と音の震えから伝わってくるし、
血と肉から削ぎ落して放ったからこそヴォーカルもギターもベースもドラムも骨と肉に響いてくる。

特にロイ・マヨルガ(NAUSEA[NY]~SOULFLYAMEBIX)のドラムは相変わらずキレがよく、
味わい深くコクもある。
バンドの核はドラムだとあらためて思わされる演奏なのだ。
なにしろ実によく“歌っている”ドラムで、
コリィのヴォーカルにしっかりと寄り添っている。
ロイはシンセサイザーとピアノの演奏でも貢献し、
セカンドから加入したメンバーとはいえすっかりSTONE SOURの音の核になっている。

個人的に今年1月のMUSE来日公演を観て以来、
今さらながらしっかり歌えるシンガーへの関心が強まる一方なのだが、
このアルバを聴くたびにヴォーカリストとしてのコリィ・テイラーの魅力にあらためてとろけてしまう。
巧い人はカラオケボックスもひっくるめて無数いるが、
旨い人はそれほど多くはない。
SLIPKNOTで「ナカユビタテテミロ~!」とMCするコリィとは一味違う、
内面のダーク・サイドのヒダを丁寧に綴る歌唱に惚れ惚れする。
ポーズのない歌声だから生々しくて艶っぽい

日本だとインテリジェンスとアートの香りが漂うメディアからはこういう系統の音楽が黙殺されがちだが、
肉体的なだけではなくインテリジェンスにも富むアルバムである。
ところによって曲のアレンジが、
70年代のPINK FLOYDやルー・リードの『Berlin』を思い出すほどで、
パート1も含めて映画化を希望したい“ロック・オペラ”である。
“ワイルド・サイド”を歩くロックの王道を感じさせる言葉を司るコリィは
詩人としても評価されてしかるべきだ。

歌詞は「主に、ある男の残りの人生を描写している」という。
“おのれの冥府の方向を自分自身で見つけよ”という囁きの如く、
ぼくの中に深く歌が迫ってきた。
パート1からカウントダウンしていくかのような流れで、
独りの人生は終末が近づけば近づくほど輝きを増すニヒリスティックな光が希望だと暗示するように、
甘えを殺ぎ落としたラスト・ナンバーの表現には音と相まってゆっくりと感動の渦が巻く。

これまたオススメ盤である。


★ストーン・サワー『ハウス・オブ・ゴールド・アンド・ボーンズ パート2』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-14885)CD
日本盤は本編未収録曲「Shine」(ラフ・デモ)を追加した約55分13曲入りで、
本編の歌詞/和訳と、
コリィが8ページのオリジナル・ブックレットに書いた
長編『ハウス・オブ・ゴールド・アンド・ボーンズ』ストーリー(パート2)の和訳を掲載の、
28ページのブックレットも封入。
初回生産限定で、
パート1のものと組み合わせると家みたいな形になる特殊パッケージの紙ジャケット仕様だ。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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