なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

BAKI『lemonade』

BAKI.jpg


80年代初頭からEXECUTE、GASTUNK、#9などのフロントマンとして活動してきているBAKIが、
シンガーソングライターとしての一面をいかんなく発揮した独演ニュー・アルバム。
ここ5年ぐらいコンスタントにやっているソロ・ライヴでもお馴染みの、
アコースティック・ギター弾き語りの8曲入りだ。
#9で活動を共にして本作リリース・レーベルの主宰者でもある藤掛正隆がエンジニアを務め、
カヴァー・アートのディレクションをモリカワ・セイイチロウが担当している。

BAKIが今やっているバンドのMOSQUITO SPIRALの「Rebirth」の“セルフ・カヴァー”以外は、
一人で作詞・作曲を手掛けている。
こういう形態で歌うと表現者として裸が見えてくるわけだが、
パンク以降の発声の実直なヴォーカルを聴かせてくれる。
ちょいブルースの曲あり、
チェット・ベイカーをちょろりと思い出すジャジーな曲あり、
LED ZEPPELINのサードに入っているような曲ありだ。

ちょっとアレンジを変えれぱロック・バンドでいける曲ばかりながら、
湿った質感やギターが歌に寄り添う演奏も含めて70年代の日本のフォークを思い出すが、
BAKI流のエモーショナルな“浪花節”が滲む。
CD盤を見ると“NO NUKES”“反核”の文字も目に飛び込んでくるが、
いわゆるメッセージ・ソングとは違う。
思いを歌っているし、
ジャケットからイメージできるように願いや祈りを歌っているようにも聞こえる。
洒落たメロディのやさしいラヴ・ソングが特に好きだ。

心あたたまる一枚。


★BAKI『lemonade』(FULLDESIGN FDR-1036)CD
薄手のプラケース仕様の約35分8曲入り。
二つ折りインナー(ジャケット)の内側には歌詞などがクレジットされている。
7月10日発売。


NOISE A GOGO'S/MACROCHORD『SUPER SCUM BASTARDS』

NOISE A GOGOS


アルバムを一枚ずつリリースしている日本の“scumバンド”同士が2曲ずつレコーディングし、
お互いの曲を一曲ずつカヴァーもし合ったスプリットEP。
昨年8月にリリースされたレコードである。

mach55のメンバーらが結成したMACROCHORDは、
“メタル・パンク meets メロコア with ノイズ”といった様相。
ちょいSTOOGESが入っいて、
ドラムの手数の多さもポイントも高い。
歌メロがしっかりしていて、
キャッチーなソングライティングが光るオリジナル曲のエンディングが
BLUE CHEERによる「Summer Time Blues」のカヴァーのイントロという小技も心憎い。

GORE BEYOND NECROPSYから派生したNOISE A GOGO'Sの方は、
ノイズがダンスしながらクラスティに爆走する。
聴いていて吐き気がするほどの躁なヴォーカルもひっくるめて、
かなりうっとーしくて大変よろしい雑音ドライヴだ。
とぼけ風味も効いて図太い。
R&Bなオープニングでお茶目なハーモニカも飛び出すオリジナル曲の方も、
さらに押せ押せのクラスト・ファスト・ノイズ・パンク・ロックンロール。
GORE BEYOND NECROPSY時代からなんも変わらぬ粘着ドロドロ底無し沼サウンドに磨きをかけ、
なんせ元気ですっかり降参なのであった。

レコーディングの新たな名所になっている東京都西東京市のスタジオであるノイズ・ルームで
共に録音とミックスが行なわれ、
雑然ノイズ具合がいい塩梅の仕上がりだ。


★NOISE A GOGO'S/MACROCHORD『SUPER SCUM BASTARDS』(HELLO FROM THE GUTTER HFTG-017)split 7” EP
リスナーを困惑させるためか、
レコードのラベルの表記とその面の曲が食い違う作りになっている
(NOISE A GOGO'Sの面の方にMACROCHORD、
MACROCHORDの面の方にNOISE A GOGO'Sの音源を収録)。


DARKSFEAR(ダークスフィア)『YOUR MIND』

ダークスフィア


BEYOND DESCRIPTIONChaosmongersとハンマーでベーシストを務め、
WORLD DOWNFALLとDUDMANではヴォーカルを務める、
アダチ(b)らが結成した4人編成のバンドの3曲入りのデモCD。

ハンマーを脱退したやすし(ds)と2016年初頭に東京でバンドをスタートさせ、
ken(g)がまもなく加入して曲作りを始める。
ヴォーカルはなかなか決まらなかったようだが、
水戸を拠点にしていたARRANGEMENTSのセーコ(vo)を誘い、
彼女がピンでヴォーカルをするのは初めてだったため
最初にスタジオに入った時はDISCHARGEのカヴァーをやったという。
今年の3月に本作のレコーディングを行ない、
4月にライヴ・デビューし、
5月に本作がリリースした。


『YOUR MIND』は約8分3曲入りで薄手のプラケース・パッケージながら、
CD-RではなくプレスCDのフォーマット。
音質良好でジャケット裏に歌詞も載せている。

80年代半ばのGAUZEとSYSTEMATIC DEATHが束になって休まず突っ走り続けるみたいな、
ストレートなハードコア・パンク・サウンドだ。
フックを設けた曲や多少テクニカルなギターも含めて初期衝動というより良い意味で練られていて、
80年代後半の日本のハードコア・パンクを思い出す。
やや高音域の声のヴォーカルも含めて小気味よい。
歌詞はほとんどのパートが英語だが、
2曲目の「Not Your Life」で気合満々の男性メンバーがバッキングで吐く日本語にも痺れ、
その部分の言葉にDARKSFEARのハードコアの肝が集約されている。

自分たちのペースで長い活動を望みたくなるバンドだ。


★DARKSFEAR(ダークスフィア)『YOUR MIND』(No Label, No Nimber)CD
薄手のプラケース仕様で歌詞付の約8分3曲入り。
https://www.facebook.com/0DARKSFEAR0
http://blog.livedoor.jp/blacky_voi_vod/


FUTURA『Futura』(DEMO 2017)

FUTURA.jpg


FUMIGADOSの女性シンガーを擁したLA拠点のハードコア・パンク・バンドによる
4曲入りのデビュー・デモ・カセット。

オープニングで狼煙を上げる。
ABRASIVE WHEELSあたりの80年代初頭のキャッチーなUKハードコア・パンク・バンドが
若干エッジの尖った音作りで攻めているような、
粗削りのパンク・ロック・サウンドが痛快だ

スペイン語の歌詞が主体のFUMIGADOSと違い、
こちらは1曲以外英語。
飯を食うための仕事のことやトランプ大統領のことを歌い、
最後はラヴソングだろうか。

素朴で日常感じたことをそのまま歌う自然な姿勢、
背伸びしてない言葉も含めて、
プリミティヴな裸のピュア・パンク・ロック作品。
リアル・アンダーグラウンドながら今後注目が集まりそう。


★FUTURA『Futura』(VERDUGO VD_16)Cassette
ジャケットはもちろんのことカセット・テープ自体のパッケージもしっかりデザインされた丁寧な作りだ。


RAD/XANTS[The CROISSANTS] split 7”EP

RAD/XANTS


北カリフォルニアのサクラメントを拠点にするパンク・バンド同士の好スプリット・レコード。

女性ヴォーカルを擁するRADは7”レコードの片面に11曲を叩き込み、
2013年のファースト・アルバム『Loud & Fast』からさらに加速している。
あえて元ネタを明かしているかのように、
情熱で焼け焦げた80年代前半のボストン・ハードコアのフレーズを折り込み、
女性の強さとしなやかさが混じったハードコア・パンク。
以前から影響が感じられたボストンのJERRY'S KIDSの「I Don't Belong」のカヴァーもカマす。
歌詞もひっくるめて原始的パンク・アティテュード全開。
あっというまでまさにグレイトだ。

XANTSの方は普段The CROISSANTSと名乗っているバンドで3曲提供。
ジョニー・サンダースのHEARTBREAKERSRAMONESの流れをくむパンク・ロックを
ハードコア以降の感覚で増幅している。
「Attraction To The Mainstream」「Don't Play Cool」「Everyone's A Rocker」といった曲名にも
RAMONES譲りのシニカルなテイストが表れていて、
スロー・テンポのラスト・ナンバーでI don’t careなboredomぶりが炸裂するラウドな気怠いサウンドも、
言うこと無しだ。

能書きなんかより五線譜をはみだしたサウンドそのものでパンクを伝える。
それが基本だとあらためて思う痛快盤。


★RAD/XANTS[The CROISSANTS](SACRAMENTO SAC0229)split 7”EP
↑の画像は二つ折りのジャケットの表を開いたもの(実際のパッケージはどちらか片面が表)。
左がRADのシンガーで、右はXANTS[The CROISSANTS]のドラマーと思われる。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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