なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

CYCOSIS『Death To My Soul,Live The Cyco dream』

CYCOSIS『Death To My Soul,Live The Cyco dream』


大阪のメタリック・ハードコア・パンク・バンドのファースト。
これまでEP『Enter The Cyco』(2015年)や
オムニバスCD『Genocide Express From Nowhere』(2016年)などで音源を発表してきたが、
これが初のフル・アルバムになる。


いわゆるクロスオーヴァー・スタイルながら、
米国のS.O.D.やMUNICIPAL WASTEIRON REAGANほどメタリックではない。
曲によってはギター・ソロも臆せず簡潔に入れつつ、
ミディアム~スロー・テンポのパートを続けることなく、
ほぼツー・ビートで走り抜ける。

4作目の『One Voice』(92年)までのAGNOSTIC FRONTを思い出すが、
色んなバンドのダシが効いている。
ブックレットに載った写真でメンバーが着用しているTシャツ等にロゴがプリントされている、
米国のANTHRAX、TOKEN ENTRY、ATTITUDE ADJUSTMENT、DEATH SIDE、PANTERA
CARCASSCORROSION OF CONFORMITY、YOUTH OF TODAY、VERBAL ABUSEなどの、
旨みが消化されているのだ。
ジャケット等のアートワークに『4 Of A Kind』のアルバム・カヴァーみたいな画が描かれているように、
D.R.I.のスパイスも十分。
英語の歌詞を躊躇せずに歌い倒す“非恫喝系”のヴォーカルをはじめとして、
タフ・ガイ気取りとは一線を画すメンバー全員バラバラのヴィジュアルにも雑食感が表れている。

ニューヨーク・ハードコア・クルーっぽいコーラスもバッチリ。
メリハリの効いたレコーディング仕上げで突き抜け感が五割り増しで、
アルバム全体の構成も行き届いていて一気に聴ける胸のすく一枚だ。

PS
シークレット・トラックはATTITUDE ADJUSTMENTの「Grey World」のカヴァーか?


★CYCOSIS『Death to my soul,Live the Cyco dream』(HARDCORE KITCHEN HCK-045)CD
約26分12曲入り。
大学ノートかレポート用紙に手書きで綴った英語の歌詞をメンバー写真のコラージュの上に貼りつけた、
8ページのブックレット封入。


WIRE『Pink Flag』[スペシャル・エディション]

WIRE PINK FLAG


ポスト・パンク最初期のアルバムの一つでもある、
ロンドン出身のWIREが1977年の11月に出したファーストの2枚組CDでのリイシュー盤。
ライナーを書かせてもらいました。


丁寧にリマスタリングされていて目の覚める音に仕上がっている。
しょぼかったオリジナルLPの音も愛おしいが、
この音の方が実際に出していたサウンドに近いだろうし、
見えない音の裂け目から今まであまり聞こえてこなかった音声も息を吹き返した幽霊みたいに漏れてくる。
ほんとビックリするほどだ。

ライナーでけっこう書いているから今ここで繰り返さないが、
ポスト・パンク・ロックでありつつ、
パンク・ロックでもあり、
ハードコア・パンクの原型でもある。
FUGAZIのイアン・マッケイがヴォーカルだったMINOR THREATをはじめとして
米国のハードコア・パンク・バンドが次々とカヴァーした名曲「12XU」も聴ける。
その曲だけでなくアルバムを通して聴くと、
初期UKハードコアの重大ルーツがMOTORHEADだったのに対し、
初期USハードコアの重大ルーツがWIREの『Pink Flag』だったこともわかるのだ。
スローな曲はFLIPPERの元ネタにも聞こえる。

約36分のディスク1には本編の21曲、
約30分のディスク2には未発表のデモやオルタナティヴ・ミックスの18曲が入っている。
後者はラフでこれまた面白い。

パッケージの方も実に丁寧な作りである。
7"レコードのジャケットより一回り大きい約18センチ四方のハードカヴァー(デジブック)仕様。
そこに綴じ込まれた80ページのブックレットには長文の英文ライナーと歌詞が載っているが、
見開きの片方のページのほとんどをWIREのオフィシャル・カメラマン撮影のクールな写真が飾り、
40枚近いメンバーの雄姿が拝める。

ヴィジュアルも含めてWIREに対する認識を塗り替えるグレイト・リイシューだ。


★ワイヤー『ピンク・フラッグ[スペシャル・エディション]』(ディスク・ユニオン PF11DU)2CD


シド・ヴィシャス(「大人のMusic Calendar」)

sid vicious


シド・ヴィシャス(元SEX PISTOLS)の誕生日に合わせて、
http://music-calendar.jp/2018051001
でコラムを書かせてもらいました。


ELECTRO HIPPIES『Collected Works 1985 - 1987』

ELECTRO HIPPIES『Collected Works 1985 - 1987』


80年代の後半中心に活動した英国のハードコア・パンク・バンドが
タイトルの時期に録った前期の編集盤。
曲のダブりは多いが、
凝った曲もやっていたりするし、
作品全体の流れ云々より様々なレア音源を詰め込んだCDとして臨みたい。
デモでも音質まずまずだ。


NAPALM DEATHEXTREME NOISE TERROR、DOOM、HERESYなど、
80年代前半ほど数はいなくても個性派が多かった当時のUKハードコア・シーンの中で
ELECTRO HIPPIESは、あまり目立たない方のバンドだった。
当時のUKハードコアの“トレンド”の、
極端に速かったり、USハードコアっぽかったり、メタリックだったり、クラストだったり、
というサウンドで他のバンドほど固めてなかったからだ。
逆に言えばそういった要素が全部入っていた。
と同時にドラマーがバンドの核で曲をリードし、
ハジけたサウンドのパンク・ロックっ気は当時のハードコア・シーンの中で際立ち、
ある意味ポップとも言える音だった。
そういった肝は、
ポリティカルな曲主体の中で異彩を放ってパンクを強烈に皮肉った名曲「Am I Punk Yet?」が象徴する。

後にSEDITIONやSCATHAをシーンに送り込んだFLAT EARTH Recordsの
主宰者を含むGENERICとのスプリットLP『Play Loud Or Not At All』で最初に発表し
(そのレコード自体もFLAT EARTHからのリリースだった)、
CARCASSのジェフ・ウォーカーとビル・スティアが主宰したNECROSIS Recordsから
1989年に単独LP『Play Fast Or Die』でも発表した13曲も入っている。
それらの曲も含めて、
そのジェフが“ノーマル・ヴォイス”でシャウトしている全体の半数近くの曲がやっぱり聴きどころ。
当時のELECTRO HIPPIESはSIEGE直系のブラスト・ビート多用のファスト・コアだった。

ジョン・ピール・セッション出演時の9曲の音源も
12”EP『The Peel Sessions』やピール・セッションのオムニバスCDに提供したものに比べると、
これまで僕が買ってきたこのレーベルのCDに多いダンゴ状の塊の音で仕上がっている。
その代わりへヴィに聴こえるとも言えるし、
たやすく手に取って聴きやすくなったことはやっぱりありがたい。


★ELECTRO HIPPIES『Collected Works 1985 - 1987』(BOSS TUNEAGE BTRCRS095)CD
約80分60曲入り。
行替えなしで1ページにギッチリ収めたライナー、
主要曲の歌詞、
本作の曲のオリジナル版のインサートやアートワークの縮小などで構成した12ページのブックレット封入。



NAPALM DEATH『レア音源解禁!!(原題:Coded Smears And More Uncommon Slurs)』<その2>

Coded Smears And More Uncommon Slurs

英国出身のNAPALM DEATHがリリースしたばかりのレア音源集。
2枚組CDに31曲を収めている。
前回のブログとライナーでたくさん書いたからあらためて今ここで多くを語らないが、
現物を手にして感じたことを付け加えておく。


計約93分で聴き応えありありだ。
時系列の曲順ではなくオリジナル・アルバムのように全体の構成が考慮された流れになっている。
オリジナル・アルバムの曲と一緒に録った曲が大半を占めるが、
現物で聴いたらより生々しく感じられ、
ベースとドラムが目立ってよりヘヴィだ。

そこらのデス・メタル・バンドが泣いて逃げ出すジャケットがかなりエグいが、
36ページのブックレットのデザインも生肉のような感触である。
歌詞は曲順どおりに印刷されていないが
(アトランダムに並べたのか何か規則性があるのかは不明)、
読みやすく載っているし、
日本盤は別紙に歌詞の和訳が曲順どおりにプリントされている。
むろん歌詞やアートワークにも
NAPALM DEATHの根がハードコア・パンクということが生々しく表れているのであった。

最近はあまり見ない17ミリの分厚いプラケース仕様という体裁も実にイイ。
2~3枚組のCD作品だと80~90年代にはけっこう見たにもかかわらず、
紙ジャケットが増えるにつれて減っていき、
2枚組CDだったら1枚ものCD用のプラケースと同じ厚さのやつに収まっていることがほとんどである。
それだけに2枚組でコレというのも妙に新鮮で紙ジャケット以上に大切に扱いたくなるブツだ
(蓋を開ける際はゆっくり・・・・、
中に収納されたブックレットの隅がプラケースの端に引っかかって曲がらないように注されたし)。
かさばるが“合理主義”なんてロックの対極にあるものだし、
物理的にも重みがあるというのはへヴィ・ミュージックらしいではないか。

いつも書くようにパッケージ全体で表現であり、
NAPALM DEATHにふさわしい重量感で迫ってきて手元に置いておきたい存在感を放ってる。
まさに単なる寄せ集め盤とは一線を画すひとつの“作品”だ。


★NAPALM DEATH『レア音源解禁!!(原題:Coded Smears And More Uncommon Slurs)』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10106-7)2CD
日本盤はカヴァー曲以外の歌詞の和訳付。
ジャケットと同じ大きさで同じデザインのステッカー封入。
2枚組CDにもかかわらずお値段抑えめでありがたい税抜き2500円。


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プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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